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出口無き課題解決は対処、もしくは先送り。@不登校生徒増加問題

最近になって、とみによく耳にするのが不登校になったり、学校を中退したりする若者が近年急激に増えているとの話です。それは、私が今までになかった新しい職人育成の高校を創設しようと奔走する中で教育関係の人との交流が増えたり、強い関心を持ち始めたからではありますが、ネットニュースでも度々目につくようになりました。そして、学歴社会からこぼれ落ちる子供たちに居場所を作ったり、学ぶ環境を整えたりする取り組みをする人もたくさんいることを知りました。私が聞いたところによると、今の中学生や高校生はコロナと同時に入学したこともあり、学校に通うこと自体も少なく、団体での交流を制限されてきた世代で特に引きこもりやすい環境にあったとのことです。その学生たちが卒業を迎える来年の春以降、大きな社会問題になるかもしれません。

不登校児童生徒数の推移(学校基本調査より抜粋)

学校に行かない若者たち

私が若い頃は学歴社会からドロップアウトするのはやんちゃな子供と言うイメージでしたが、最近は随分と様相が変わっており、ごく普通の学生が些細なきっかけで学校に通うのやめて自宅にヒキコモルようになるとのことです。また、私が子供の頃には存在しなかった発達障害と言う非常に曖昧なカテゴリーが作られ生きづらさや集団行動の難しさを自他共に認めてしまったりする傾向も非常に強くなっています。インターネットやSNSが普及して誰もがあらゆる情報が簡単に入手できるようになった今、子供たちが目にする情報も昭和生まれの私たちとは比べ物にならない位圧倒的な量になっています。情報が多いと言う事は、感じたり考えたりすることも多くを深くなると言うことです。また、オンラインを含めた様々なゲームが一般化したことで時間の使い方や楽しみ方も時代とともに大きな変化があったのだと思います。ゲームをしない私にはよく分かりませんが、面白いゲームの世界に入り込むと時間を忘れて没入するのは決して珍しいことではないと思うのです。とにかく、学校に通わない子供は激増しているのが事実のようです。

http://tmaita77.blogspot.com/2019/08/blog-post_11.htmlより拝借

弱肉強食の厳しい世界

そんな世相を受けて、全日制の高校に通うのをやめた学生たちの受け皿として事業を行われる方が数多くおられます。最も顕著なのは通信制高校で、全日制の高校が少子化のあおりで毎年激減しているにもかかわらず、通信制高校は学校の数も生徒数も増え続けています。その他にも、高校に限らずですがフリースクールを運営される方が全国的に随分と多くなっています。SDGsの目標にも設定されている誰も取り残さない世界、全ての人に教育の機会を与えようと、様々な学びの形が作られ若者たちにとって選択肢が広がるのはとても素晴らしいことだと思います。ただ、私が気になるのはその後の出口です。今の社会は私が若くして働きだした時とは随分と変わり、強欲資本主義が隅々まで浸透した弱肉強食の非常に厳しい世界です。そんな中で、生きがいを持ってやりたいことをやって生業を立てるのは簡単なことではありません。有名大学を卒業しただけで能力が高い証明を持っているように勘違いされる今の世の中で、専門の知識を学ぶことなく、ただ定時制や通信で高校卒業の資格を手にしただけで、豊かな暮らしを享受しながら自由な働き方ができるとはどうしても思えません。搾取され、道具のように使い捨てにされる社会人生活になってしまうのではないかと心配でしょうがありません。

SDGs No4

出口なき対処

フリースクールや通信高校を運営されている事業者さんで学生たちが卒業後、どのような進路に進むのかを全く考えていない人は皆無のはずです。ほとんどの人たちは志を持って引き受けた若者たちが社会に役に立ち、幸せに暮らせるようなスキルを身に付けて社会に送り出したいと考えておられると思います。しかし、その現実は非常に厳しいもので、単純作業を主とする労働集約型の事業所で正規雇用されて働けるのがせいぜい関の山、最低限の社会保障を受けられたとしても明るい未来を標榜できるようなキャリアを身に付けることなどほとんどの若者ができずに搾取と使い捨ての対象として働いてしまっています。実際、通信学校やフリースクールを運営されている事業者の方に話を聞くと、そのことに悩みつつも何の方策も得られずに思考停止してしまっている人が少なからずおられます。しかし、出口を考えずして入り口を作ってはダメだと思うのです。

Ikigaiの創造

現在私が志を同じくする仲間達と一緒に創立に向けて推し進めている職人育成の高校はWスクール制度と言う通信高校のカリキュラムを活用した高校です。その学校で主眼に置いているのはあくまでも社会人として一生安定して豊かに、面白い好きな仕事を行いながら、お客様や世の中に喜ばれるような働き方の実現です。一言でまとめると生きがい(好きな事×得意な事×稼げること×求められることの全てが重なる働き方)を得られる生き方を若者に提供したいとの想いです。それを叶える為に受け入れ側の事業所の人事制度やキャリアパスの改革など、ガバナンスの整備をまず進めています。未来を標榜出来る良い会社に就職し、建築の専門家として誇りを持って一生働ける環境を提供することに特化しており、高校の卒業資格など単なるおまけと言っても過言でなく、それ自体が目的になり得る事は絶対にありません。要するに、出口ありきの若者への提案をしており、高校自体は単なる手段でその後の価値創造にこそ私達の役割や使命があると思っています。

Ikigai

人生を引き受ける覚悟はあるか?

不登校・学校を中退する若者の急激な増加は由々しき社会課題です。その対処として今後益々、多様性を認める時代になる流れもあり、様々な学校の形態が求められると思いますし、全日制高校に通うよりも自由度の高い通信制の学校を選択する若者が増えているのは事実です。そんな若者の受け皿を作るのは社会課題の解決に向けた事業ではありますが、表面的で曖昧で無責任、中途半端な出口しか設定しないまま、目の前のかりそめの自由だけを提供する教育機関を作ってしまうと、それは単なる課題・問題の先送りにしかなりません。社会課題の解決とは、根本的な解決に向かうべきで、現在の学校制度に馴染めない若者に対して如何にIkigaiを見出せる環境を提供するか、潜在的な才能を開花させて社会で活躍してもらうか、将来に安心して学生時代の自由を謳歌してもらうかに焦点を当てなけばならないと思うのです。そして、受け入れた若者の人生を引き受ける覚悟を持って事業に取り組んでこそ、胸を張って志と言えるのではないかと思うのです。
私たちはそんな覚悟を持って職人育成の学校を作ろうとしています。
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志×技能×キャリアを身につける職人育成の高校を令和4年4月からスタートします。10月から体験ワークショップの出張授業と生徒募集開始します!

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