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大義はあるか?大義は何か? 〜ソーシャルカンパニーフォーラムin愛知〜

名古屋で開催されたソーシャルカンパニーフォーラムin愛知に参加して来ました。私が所属しているCSVモデル(社会課題解決型ビジネス)の普及とそれらの企業がタイアップして一社では成し得ない課題解決に対してプロジェクトを立ち上げ、社会変容を推し進める「実践」を行う、経営実践研究会では6月に大阪で行うナショナル・フォーラムで1年間の総決算を行い、新たな年度に入って8月の東京を皮切りに青森、京都、兵庫、愛知、福岡、大阪と各都市を巡ってフォーラムが行われます。毎回200名以上のメンバーや各地でのゲストが参加して学びと情報共有、そしてインプットを社会実装に繋げるアウトプットを行なっています。今回も時代の変容を感じ、また、新たな時代を切り開く人たちから大きな勇気を頂きました。

本業で社会課題解決を目指すのは儲かるからだ

会員が壇上に上がり、実践例を発表する会員プレゼンテーションは今回も本当に素晴らしく、地域企業の経営者の意識が変わ、り行動変容を引き起こすことでそれぞれの地域が、業界が変わっていくのを体感させられました。しかも40代の若い経営者が多く、日本の未来はそう暗くないのかもとの希望さえ感じられる内容でした。経営実践研究会のアドバイザー4名によるパネルディスカッションでは、まるでショート講演を立て続けに聴いているような錯覚に陥るほど充実した内容で、モデレーターの大矢世話人の用意周到なビジネススタイルを垣間見た気がします。これからの地域企業はどうあるべきなのか?との大きなテーマに対して、経営者が人間力を発揮する在り方を見直す、表面的な利益に振り回されるのではなく、美しい決算書を意識した財務指標を持つ。安いとか品質がいいとかだけの大量生産大量消費のパラダイムから抜け出して、意味のイノベーションを起こすべき、そして「本業で社会課題解決を目指すのは儲かるからだ」との中村哲治アドバイザーの言葉はまさに共感資本社会へと移行する社会に向き合う在り方を示されました。素晴らしい帰納というか着地のディスカッションでした。

存在意義中心のビジネスモデル

今回、私が特に楽しみにしていたのは、カンブリア宮殿やがっちりマンデーなどのメディアにも数多く取り上げられて私も以前から存じていた浅野撚糸株式会社の浅野雅己社長の基調講演でした。海外の安い労働力に押されて衰退の一途を辿ると言われ続けてきた国内アパレル業界で下請けとして材料供給を行う糸の製造業でありながら、オンリーワンの製品の開発、自社ブランドの製品の販売で苦境を乗り越え、大きく事業を発展させられたのはつとに有名です。倒産の憂き目から起死回生の復活を遂げただけではなく、今では独自開発し、特許を取得したSUPER ZERO®なる糸で世界を席巻する勢いです。また、その工場を福島双葉町に建設し、誰もいなくなっていた地域に産業を起こし、雇用を生み出し、死にかけていた街を生き返らせる、そんな壮大な挑戦までされています。私はHPを見るだけで息を呑みました。
パネルディスカッションの前提条件にもなっていた時代の大転換期ではこれまでの価値観がひっくり返り、財務指標だけで企業は評価されなくなるとされています。「存在意義中心」の企業こそ、多くの人に愛され、存在を許され、持続していくのだと、浅野社長の講演を聴きながら再認識しました。

今が人生そのものであり、その使い方が人生である

浅野社長の講演の中で、何度も繰り返し口にされたのは「大義」という言葉でした。先代から継承した事業に対する判断基準は「大義はあるか?大義は何か?」だった。との言葉はずっしりと重く、企業における社会的責任のCS Rや、共有価値の創造であるCSVと言った横文字の単語とは比べ物にならない強さと決意と覚悟を感じさせられました。これが本来、日本人が大切にしてきた商売観であり、価値観なのだとつい、アメリカから逆輸入されたカタカナを使ってしまう自分を少し恥ずかしく思うと共に、今後は「三方よし」の概念を伝えるのと並んで「大義は何か?」を問うようにしようと思った次第です。
フォーラムの締めの挨拶に立った藤岡会長が、「未来の不安の為にせっせと貯金して今の時間を失っていてどうするのか?それでは老後を生きているのと同じだ」と二度とない一度きり人生の貴重な時間の使い方について、会場に集まった200名を超える経営者に向かって意識喚起をされていました。それはまさに何のために、誰のために人生そのものである「今」という時間を使うのか?との問いであり、日本の経営者であるならば「大義の為に」と淀みなく答えたいと思いました。でなければ、この世に生を受けた意味も意義も失ってしまうと思うのです。素晴らしい学びに心から感謝すると共に、経糸を紡げるように精進したいと思った次第です。ありがとうございました。

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人生をかけて職人の地位向上を叶える教育事業を行っています。
私の大義は学歴社会に踊らされることなく誰もが生き甲斐を持てる社会の実現です。


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