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お金の話をオフェンスとディフェンスの両面で考える。#投資と投機と貯金と新しい資本主義

人の人生は「ひょんなきっかけ」とそれから派生する「人とのご縁」で大きく変わると言われます。何かしら新しいことに興味を持ち、行動を起こしてみるとそこから芋づる式?にご縁が広がって、思わぬ方向に(良くも悪くも)人生が転ぶのは、50数年生きてきて、肌感覚でその通りだと思います。壮年から初老に差し掛かる年齢になっても、新しい学びの場に足を運んでしまうのは、これまでの人生の中で幾度となく、そのような経験をしてきたからに他なりません。自分がこれまで触れてこなかった新たな概念や考え方、そんな人たちが集うコミュニティーに入っていくワクワク、ドキドキの感じが忘れられないのだと思います。

お金に対する興味と関心

このところ、私が熱心に学んでいるのは「お金」のことです。今更な感も否めませんが、以前からずっと、近い将来、人類はきっと成熟して、地球は有限であり、際限のない成長拡大はありえないという原理原則に気がついて、環境破壊を繰り返しながら人類だけが増殖を繰り返すフロンティアスピリットの幻想から目を覚まして、環境負荷を軽減した持続可能な自立循環型社会へとシフトするのだとぼんやりと考えており、世界が変わるかどうかはともかく、自分たちの周りではせめてそんな成熟した社会へのシフトを小さなステップでも実現したいと思っていました。そしてそれは経済の問題と切り離せないことを考えると、現在社会の価値基準になっている貨幣やお金のことを学び直す必要があると思っていて、それがこのところ、連続して、まるで畳み掛けられるように学んだり、考えたりする機会に恵まれています。赤い車に乗り出すと、町中に走っている赤い車がやたら目につくように、人が興味を持つ事しか見ない習性があるといますが、私が再び経済についての興味が深まったことで目に付くようになったのかもしれません。

貨幣も腐るべき

長い間、自立循環型経済に興味を持ってきた私が、大きな影響を受けたのは「エンデの遺言」で有名な期限付きの地域流通貨幣の仕組みです。腐る経済とも言われますが、世の中のものは全て腐って価値を失っていくにもかかわらず、唯一貨幣だけが置いておくだけで価値を上げるのがそもそもおかしい。という理論を目にした時は、ハッとさせられました。ピケティーが新資本論で書かれていた、現代の資本主義はカネがカネを生み、トップ数%の資本家は富を拡大し続け、際限なく貧富の格差を拡大すると言うのも同じ理論ですが、この延長線上に成熟した誰もが幸せな世界はあり得なくて、経済は根本的に見直されなくてはならないと強く感じています。

オフェンスとディフェンス

古代ギリシャの哲学者集団ストア派のひとりのディオドロスは世界は能動的なものと受動的なもので出来ていると言われました。論語にまとめられた孔子の思想、中庸に共感している私としては常に物事は両面に心を配る事が大事だと考えており、現代の資本主義が抱える大きく深い問題を内包する貨幣経済に対しても理想論を語るだけではなく、そんなスタンスで具体的な行動に表しながら向き合うべきだと思っています。能動的(オフェンス)な実践としては、ミニマムな取り組みではありますが、地域に循環型の小さな経済圏を構築することで、巨大金融資本によるコントロールと別のレイヤーで豊かな暮らしを維持する方法を模索しています。
受動的(デュフェンス)な行動は、あちらこちらに綻びが生じ始めている管理経済的システムの流れを把握して、カネの奴隷にならない様に予防をしておく事です。

ミニマムな地域経済循環の取り組み

小さいながらも地域に自立循環型の経済圏を作り上げる取り組みは株式会社四方継の地域コミュニティ事業「つない堂」で地味で地道過ぎる感も否めませんが、地域に根を張って活動されている様々な事業者の人達とのコミュニティを作り、その中でお金を循環させる仕組みを構築しようとしています。現在、続々と新しい仲間が増えており、その仲間になった事業者さんと提携して会員向けのお得情報の配信を期限付きのサービス券=腐る通貨として発行する事で、地域の活性化と循環型経済システムの足掛かりを作ろうとしています。元々、安心で快適な暮らしを提供する建築会社として営業していた私達が「建築、暮らしだけじゃないその先に!」とのスローガンを掲げて、地域コミュニティ企業へとドメインを変えた大きな理由です。
その他にも、建築事業としては、木材の産地の山や製材所と繋がり、仲間内で生産される材料を直接仕入れ、地域で家づくりをされる方に地材地消を薦めて、山に利益還元をする仕組みも構築しており、地域の方にコワーキングスペースとして解放している本社ショールームはその地元のヒノキ材を体感してもらえるスペースになっています。これらの取り組みは、共感型資本主義と言う新しい経済の枠組みに対する準備と言う位置づけです。

紙幣は所詮紙切れだと言うファクト

管理貨幣経済のリスクについては、世界で飛び抜けて多い国債発行額の増大から、日本人では誰もがその危うさを感じているハイパーインフレとデフォルトの可能性から目を逸らすことなく、もしもの時への備えを万全にしておく様に、自分自身が気をつけるのはもちろん、周りの人にも注意喚起を行っています。管理貨幣経済とは銀行による信用創造という錬金術で、ある意味幻想を見せて経済を活性化させてきた大いなる社会実験です。近年、経済学の中で大きな注目を浴びているMMT理論では国債や紙幣を発行することによる国内向けの国の借金はその国が持つ生産能力や資産と同額まで拡大してもハイパーインフレになる事はなく、むしろどんどん財政出動を行うべきだとの主張がなされています。今の管理経済社会では、ある意味そのボーダーラインを明らかにすることは必要なのかもしれませんが、際限なくお金を吸って国民にばらまくわけにはいかないのは自明の理です。アメリカドルを基軸通貨として世界がカップリングしているシステムの中で、コロナによるパンデミックの影響で、これまで人類が経験したことがない位の量で世界中で紙幣が刷らればらまかれています。国際的な信用があるとされる日本円や日本国債も例外ではありません。経済は停滞しているはずなのに、株価は上がり続け、木材を始めあらゆる資源が高騰し始めています。何が最も安全に資産価値として認められるのかを誰もが考えるべき時に来ているような気がします。

VUCAを生き抜ける直感を鍛える。

VUCAと言われる不透明で不安定、複雑曖昧なこの世の中、先行きのリスクを考えればキリがないように思ってしまいますが、最もやばいのは思考停止に陥って、考えるのをやめてしまうこと。確かに、情報が多すぎて何が本当か分からない状況でもありますし、数字やデータと言う一見事実だと思えるものも、意図を持って切り取ると全く違う意味を示したりもします。YouTube上で熱く語られるスピーカーの人たちは、真反対のことを耳にしても両方が真実だと思えるような、それらしいエビデンスを示されます。様々な角度から情報を収集し、自分の頭で考えることが重要だと思いますが、考えても結論が導けないことが多すぎて、最終的には自分が持つ直感に頼らなければならないのかもしれません。そして、直感を鍛えられるように学びの場に足を運び、よくわからないことから目を探さずにアグレッシブに向き合う姿勢こそ大事ではないかと思うのです。

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新しい時代に向けて、能動的に取り組んでいます。

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