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課題解決に立ちはだかる壁をぶっ壊せ

先日、経営実践研究会の兵庫定例会で、私がかねてから進めている、志×技能×未来をテーマにした新しいキャリア高等学校プロジェクトの事業構想のプレゼンテーションを行いました。関西一円だけではなく遠くは東京や神奈川からも40名を越す方々にお集まり頂き、私が解決を目指す、学歴マイノリティにチャンスが無いこと、建設・建築業界の圧倒的な職人不足の2つの社会課題についての事業提案に耳を傾けて頂きました。

経営実践研究会@兵庫定例会

根本的解決へのアプローチ

課題や問題に向き合い、解決を図る際に大事なことは、表面的な対処のみに終わらずに根本的な解決が果たせる様に問題を発生させている本当の原因を突き止め、そこに焦点を合わせる事だと思っています。学歴社会からドロップアウトした若者にチャンスがない社会、そして建築業界の圧倒的な若手不足、職人がいなくなり日本のインフラが機能不全に陥るという2つの社会課題は根本的には同じ原因が深く関わっており、それは昔から学歴社会に適応する以外の才能を発揮する場としての受け皿になっていた建築業界の事業者の劣化、意識の低さだと思っています。

ほぼ100%の人が感じ、無視する問題

全国各地で講演や研修に呼ばれた際に私は「建築業界の課題はなんですか?」と訊くようにしています。そこで返ってくる答えでは98%の人が「若手不足」「職人不足」だと口にされます。そして、年齢、性別の差なく皆が共通の問題意識として持っている若手職人の人材育成、採用の不備・不全に対して課題解決に取り組まれる会社はほとんど皆無といっても過言ではなく、実質放置されているのが現状です。その理由は数々ありますが、最も大きなものは建築事業者の「在り方」そのものだと思っています。大多数の事業所は収益を取れないどころか、多大な投資となる若手職人の育成に対して取り組むことを避けて、誰かが育ててくれた職人を効率よく道具のように使えることを目指されます。結局、今だけ、金だけ、自分だけ思考に陥ってしまっているのです。

経営者の在り方が問題を引き起こしている

長年、様々な場で職人の採用と育成を訴え続けてきた私の周りでは、職人の正規雇用に取り組まれる事業所が徐々に増えてきましたが、その数は業界全体から見れば大海の小波にもならない程度で、勘の良い、ごく数少ない経営者が将来に対する持続性を高めるために職人の内製化に取り組まれておられますが、全体的には髪の毛1本変わっていません。必要な時だけ外注扱いの職人を雇い、受注が薄くなると容赦無く切り捨てるのが建築業界のスタンダードとしてすっかり定着してしまっているのが最も根深い問題であり、若者の現場離れ、職人不足を引き起こしている最大の理由です。

新しい高等学校プロジェクトプレゼン

経営者の意識変容

この度、私が立ち上げる新しいキャリア高等学校プロジェクトでは、若者と建築事業者の両方に価値を提供するスキームを組み立てていますが、問題の根本を変えるのは「どのようにやるか」のやり方ではなく「なんのためにやるか?」の在り方です。建築業界の常識をひっくり返し、経営者の意識を変えなければ、これまで行われなかった職人の正規雇用、労働基準法の遵守、若者に魅力を感じてもらえるキャリアプランの構築など出来るはずもありませんが、それは困難を極めます。これまで、一般社団法人職人起業塾で啓蒙活動を行って来る中で、多くの若者に対して意識変容を生み出してきましたが、その取り組みがスケールすることなく限られたコミュニティー内での活動に終始してしまっているのは経営者に対する私のアプローチが弱かったからに他なりません。

ヒューマン・インフラが業界を変える

そんな経験を踏まえて、今回のプロジェクトは経営者に対する学びの場をスキームの中に組み込みました。今だけ、金だけ、自分だけの思考を捨てて、未来に、生きがいを、多くの人に与える思考をもってもらうには継続的かつ深い学びと実践の場が必要であり、そのような思考が構造化されて事業所の運営に実装されるところまで丁寧にサポートする必要があると考えています。それが経営実践研究会での研修とその結果として意識と在り方の変容を見える化する未来創造企業の認定取得です。建築業界だけの価値観に囚われることなく、社会全体から見て良い会社だと認められるようにならなくては職業選択の自由を持った若者に選んでもらうことは出来ないのは自明の理、私だけの力で出来なかった経営者の意識改革を経営実践研究会に所属する各業界で活躍する方々の力を借りて成し遂げることこそ、課題解決の前に立ちはだかる大きな壁をぶっ壊すことにつながると思っています。新しく整備されつつあるヒューマンインフラを活用して、今度こそ根本的な問題・課題解決へと進みたいと思っています。

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志を明確にして、生きがいを創造する研修事業を行っています。

https://www.shokunin-kigyoujyuku.com



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