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建てると築く LCD(ローカルセンターデザイン)としての建築

屋久島で屋久杉由来の地杉を活用して経済の循環させて森を守る活動を行っておられる建築に携わる方々と触れ合い、語り合い、酒を酌み交わして感じたのは、建築を生業とするものが地域に対して貢献できる可能性の大きさとその重要性でした。私たちのような建築業を営む者こそもっと地域にのめりこみ、社会性を持った事業へとソーシャルビジネスシフトをしなければならないし、やるべきだと感じました。

屋久島のカリスマ建築士 浦田氏

LCD(ローカルセンターデザイン)

私が代表を務める株式会社四方継でも実は2年前に20年間親しんできた社名と共に事業ドメイン、そして組織の形態を大きく変えました。私達が行う事業は快適で高性能な家を創る建築、暮らしを支える建築請負業といった受け身にクライアントの意向を叶え、収益を上げるだけの狭い視点ではなく、地域全体の経済が活性化したり、安心で安全、そして楽しさを感じられる地域になるようなもう少し広い視点を持って事業を展開、地域全体の価値創造を中心にデザインすることを社名にも反映し四方良しの世界(地域)を実現することを私たちの存在意義に掲げました。それまでの5年間余り学び、事業への実装を進めてきたUXD(ユーザーエクスペリエンスデザイン=顧客体験のデザイン)やHCD(ヒューマンセンターデザイン=人間中心設計)に対してLCD(ローカルセンターデザイン人の営みと地域の循環を中心に置いたデザイン)にシフトした事になります。

子ども図書館DIY支援

私たちのソーシャルシフト

実際の活動としてスタートさせたのは地域で活躍されている信頼できる事業者や商品の取材や紹介を定期的に行いながら地域ならではのお得情報の配信、またそれらの事業者さんとのコラボしてのイベントを毎月開催したり、建築現場から出る廃材を短く切り揃えてキャンプ用の薪にして提供したり、自社ビルのワークスペースをコワーキングに、3階のテラスをバーベキューサイトにして解放したり、今年に入ってからは地域通貨TUGIIを発行して流通させる実証実験を行ったりもしています。

子ども図書館DIY 漆喰塗り

意志あるところに道は開ける

私たちが歩みを進める次のステップとしては建築以外の事業所と一緒にプロジェクト型の事業を立ち上げたり、スタートアップのお手伝いをすることも計画しています。そもそも職人が集まって作った会社ですから、その中で使う箱=建物を作ったりデザインすることも、もちろん行います。ちょうど現在も地域の子供たちの手によって作られる地域図書館のDIYのお手伝いを若手大工のエース拓己が行っています。そのコミュニティーでは養蜂や農業に携わる人が物々交換を行っていたり、余った野菜をおすそ分けし合うような文化が形成されており、私たちが建築工事のお手伝いした費用の1部も地域通貨で支払われたりもしています。意志あるところに道は開けると言いますが、地域の活性化の事業にシフトすると宣言して以来、そういう方々とのご縁が広がり私たちの活躍の場が徐々に広がっているのを感じています。

主宰のさとのわさんでのランチ

築くのは安心安全の場

建築と言う言葉は建てて築くと書きます。建物を建てた後に気づくのは生活であり、楽しい暮らしです。そして、心理学の大家アドラーが言ったように、人間の持つ悩みや課題は全て人間関係に由来しており、人の営みの中で最も大事なのは良好で安心できる人間関係です。世界有数の経済大国であり豊かさを享受しているはずの日本で自殺者が後を立たず、引きこもりの学生が増加し続けている、幸福度ランキングでは先進国中最下位クラスを低迷している理由の1つはコミュニティーと言う場の安全性が担保された場所がなくなってしまったからではないかと考えています。昨日、私も少しだけ子供たちと一緒に漆喰を塗るDIYに参加しましたが、とても楽しく豊かな時間でした。そのような機会が多くあり、そこで皆が助け合える様になれば日本は随分と幸せな国になるのではないかと思うのです。

自律循環型建築思想の根本

衣食住が人の暮らしに必要な3大要素と言われるように、住まうところ、集う場としての建物は人の営みに非常に重要な位置づけにあります。そこで人は人を知り、人を信じ、人に学び、人間関係を築き上げます。建築とはそもそも、そこまでがワンセットにされるものであるはずで、見た目に美しいとか、洗練されているとかのみを目指した「作品」を作ることではなかったはずです。もちろん、町並みを構成する建物はかっこいいに越した事はありませんが、それも町並みに配慮して地域に溶け込み、地域の価値を上げるようなデザインであるべきで決して個人的な自己実現の表現の場ではないと思うのです。私たちは20年前に環境に配慮した自立循環型住宅の設計思想に触れて環境に負荷をかけない、美しい環境を守れるような建築に留意してきました。その意味では、人と人の関係、地域のコミュニティーは重要な環境であり、そこに注目してこそ真の持続可能な建築が出来る様にになるのではないかと思うのです。地域(社会)課題解決型モデルへのシフト、加速させていきます。

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四方よしの世界の実現を目指しています。地域から。

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