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SINIC理論の取り扱い方 〜SINIC理論研究会#4〜

私が世話人として参画している経営実践研究会ではいくつかの専門的な分科会を立ち上げています。その一つがオムロンの創業者、立石一真氏が50年前に未来学会で発表し、その精度の高さが単なる予想や預言の域を超えていると近年大きく注目されている、SINIC理論の研究会です。
その未来予測に示された、実際に現在起こっている時代の大転換が生み出す最適化社会から自律社会へのシフト、これから起ろうとしている社会の変容を民間の実業を行っている経営者が集まって、シンクタンクとなり社会実装のための思考や概念、そして行動への指針を探る取り組みです。
これまでの記事まとめはこちら。

SINIC理論を読み解く

昨年スタートしたこの委員会では、一年ほど前にヒューマン・ルネッサンス研究所の中間氏によって改めて上梓された書籍「SINIC理論」と関連した書籍や文献等を丁寧に読み解き、全体像の把握と書籍に埋め込まれたメタファーを抽出することから始めました。先日、その最終回が終了し、今後はSINIC理論が示す未来予測をどのように事業に生かすか、組織作りに反映させるか、2025年からスタートするとされている自律社会とその後に待ち受ける自然社会への適応をどんな形で社会実装させていくのか?との問いを立て、さらに深く掘り進む研究と、仮説を立てて検証を繰り返すフェーズに入ります。
現時点で実際に自然社会を見越したコミュニティー形成を行われているエクストリームユーザーのところにリサーチにいく計画や、平和と共生と循環が実現されていたとされる縄文時代の足跡を辿りに東北にて視察研修を企画するなど、これから本格的にアクセルを踏み込んでいくことになります。

ホモデウスより

ソーシャルウェルの世界へ

この5年間ほどの間、私たちの想像を超えて、本当に世界は大きく転換したと感じています。テクノロジー、コミュニケーション、世界情勢、日本経済、政治の枠組み、人々の意識等々、その大転換の事例は枚挙にいとまがありません。今年、最適化社会が極まり2025年に自律社会にシフトするとのSINIC理論の予測は、さらに予想不可能だと思える程の価値観がひっくり返るような大きな出来事が起こる示唆だと私は思っています。(あくまで私見です)
だからこそVUCAの時代だと言われるのでしょうが、そんな時代に生きる私達は一体どのような心構えで、どのような状態を保っていればいいのでしょうか。誰も明確な解を持ち得ないからこそ、原点や本質に回帰するしかない様に感じてなりません。
人間はただ単に命を育み、種を残すことだけを行ってきたのではなく、社会を形成し、個人だけでなく社会的な幸福度を高めるための不断の努力を続けて進化と発展を続けてきました。だからこそホモサピエンスの今の隆盛があるとすれば、目指すべき方向性は自ずと決まってきます。

SINIC理論研究委員会の面々

我々は何処に行くのか?

SINIC理論の書籍を改めて読み解いてみて私が感じたのは、この理論はデーターやエビデンスに基づいた未来予測の理論ではなく、人類が目指すべき理想に向かって進んでいくべきであるとの強い意図と意思の哲学だという事です。決して成り行き任せで変化する時代に適応するのではなく、私達自らが変化を創り出し、有史以来人間が目指し、追い求めてきた自由、平和、平等が実装されるべく一歩を踏み出せ、変化しろ。とのエールを送られているように感じました。
ゴーギャンの代表作《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》が書籍の中で紹介されておりましたが、有名なその作品を改めて見ると西欧文化の行き詰まりと自然への回帰は人の幸せへの道、人間回帰への一つのヒントを示唆しているようにも感じさせられます。それは、これからどのように人類は進歩していくのか、歩んでいくべきなのか?との問いを私たちに投げかけているようにも感じさせられます。そして、私達はそれに応えなけれなりません。

《我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか》

メタファーと実践

これまでの研究を通じてSINIC理論が示すメタファーを汲みとって社会に反映させるのに感じたのは、大きく変容する世界をリードする人の存在が非常に重要であり、鍵を握っているのではないか、との仮説です。社会課題の解決、社会改革を突き詰めると教育に行きつきます。方法論や内容はさておき、この観点は従前の通りですが、本書で問題視されていたのは「不良老人問題」でした。
教育改革の前に行うべきは前時代的価値観を捨てきれない、しかも大きな権力を握っている老人達の意識改革であり、またこれからその仲間入りをする大人達、そしてそのリーダー格の経営者に時代に対する認識の再設定と、圧倒的な知識不足の解消を促す機会を創る必要性を強く感じています。現時点での私が受け取ったメタファーと、実践として取り組むべきは、現在進行形の教育改革と、多くの方にSINIC理論を広く知ってもらう活動となりました。
まずは私が主宰する私塾「継塾」で毎回少しずつその内容を伝える取り組みを始めます。ご興味ある方はお気軽にご連絡下さい。

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令和時代に適合した民主化の活動を推し進めています。

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