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ウッドショックを地域循環の入り口に #ひょうご木づかい王国学校の挑戦

6月の初めに以前から(2年がかりで)お手伝いしていた丹波の古民家再生プロジェクトの現場、DIYを中心とした工事を行って漸く一旦の完成を見た古民家のゲストハウスとしてのオープンのイベントに参加しました。ご縁と言うのは何かとつながるもので、先週末も再び丹波を訪れてその古民家でミーティングと懇親会を泊まり込みで行い、計画通りの活用が動き始めたと喜びました。ただ、今回丹波に足を運んだのは古民家の活用が目的ではなく、地元産木材の利活用を啓蒙する団体、ひょうご木づかい王国学校の名前を冠した県の施設への視察と、今後の活動について話し合う会議のためでした。

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自立循環型社会とビジネスモデル

私は起業した当初の20年位前から原理原則に則って事業を行うこと、その価値観に従って生きることを心の拠り所としており、地球が有限である以上、あらゆるものは無限の成長拡大はありえない、文明の進化、人類の発展とともに世界は成熟に向かい、持続可能な自立循環型の世の中になると信じてきましたし、自社のビジネスモデルもそのようになるように推し進めてきました。その1つが建築業界では珍しい自社大工の採用と育成であり、種を植えて芽吹いた苗を育てるのと同じ理屈でものづくり企業としての人材育成を行ってきました。

それと同じ価値観で取り組んできたのが、地元で育った木材を使った家作りです。外国産材に比べて若干割高になる国産木材は、表面的にはお客様のデメリットに映りますが、少し視点を広げて考えれば、地産地消、地材地消のスキームは今のウッドショック問題のように外国の需要に振り回されたり、為替の影響を受けたりの様な外部環境に左右されることなく、安定した材の供給ができるようになったり、地域で経済が循環して地域自体が潤ったりする大きなメリットがあります。そもそも、住宅は土地に根を張って建てるものであり、地域経済が空洞化して町中がシャッター街になったところに住みたいと思う人はいないと思いますし、誰しも自分の住む街が活気あるに越したことはないと思うと思います。地域が良くなることと家を建ててそこに住み続ける事は本来深い関係があるのです。私たちは循環型モデルを目指す思想的な想いが強く、そんな目の前のメリットデメリットとは関係のないところで地域材の活用を推進してきましたが、ここ最近の外国木材の供給が激減し、ウッドショックと言われる木材価格高騰と、押し出されるように注目されるようになった国産材活用の機運の上昇を複雑な思いで見ています。

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ひょうご木づかい王国学校の挑戦

私が住まい、建築業の生業を続けている兵庫県は、瀬戸内海から日本海までまたがる南北に広い県で、中部には丹波や宍粟など山々が連なった集落があり、実は結構な林産地でもあります。兵庫県でも地元産の木材をもっと活用してもらえるようにとこれまで様々な政策を講じてきましたが、安い外国産材に押されてあまり効果を発揮してきませんでした。そんな兵庫県の地域材利用の啓蒙活動の取り組みを民間機関に移譲したいと、私が代表者となり兵庫県林務課と県木連から引き継いで地道な活動を行ってきたのが「ひょうご木づかい王国学校」です。

私達が兵庫県からその施設を引き継いだ際に、運営費用を捻出するために声をかけて、地域を活性化したいと考える志しの高い工務店や共感してくれた建築関連の事業をされる事業者の方、約50社が集まってくれて今も地道な活動を続けています。具体的な活動内容としては、ヒノキの産地である多可町のメンバーが開発した超低温乾燥のヒノキのフローリングや羽目板をメンバー間で流通させて、地域にいい材を残して使えると同時に利益を山に還元させる仕組みを構築したり、同じようなスキームで循環型の林業を標榜している屋久島森と生きる共同宣言に参画をして、情報の共有をするとともに、屋久島で製材、および製品化された本州では見ることがないワイルドな木目と、癒し効果の高い杉のフローリングをメンバー間に流通させ、屋久島の林業を応援したりもしています。もちろん、そのような取り組みをコンシェルジュがSNSなどで発信して木の住まいに興味がある方への家づくりのアドバイスやサポートも行っています。HPはこちら↓


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新生!ひょうご木づかい王国@Forest door しぐら

今回、メンバーで丹波を訪れたのは、コロナでグランドオープンが伸びておりますが、この度新しく丹波の廃校を利用した施設に、地元ひょうごの木の良さを体感してもらい、地元の木を使う意味と意義を子供たちにもわかりやすく説明する施設が出来上がり、その名称に「ひょうご木づかい王国」を使いたいと兵庫県の林務課を通してオファーがあったからで、同じ志の事業者の新たなチャレンジを諸手を挙げて歓迎し、運営委員会の開催がてらメンバー全員で施設の見学に伺うことになりました。製材から木材卸をされているその事業者さんも当然、新たにひょうご木づかい王国学校のメンバーに加入されることになり、なかなか進まない地元産木材の建築資材への利用を共に推進していこうと気勢を上げることになりました。


最近になって、急に沸き起こってきたと思われているウッドショック問題は、実は短期的な問題ではなく、数年前から予測されていた出来事でした。その証拠に、今まで外国産木材に比べて値段が高いと言われてあまり使われてこなかった国産の杉やヒノキが、この5年ほど中国への輸出が伸び続けており、この逆転現象は林業家の努力はもちろんありますが、マーケットの価格のバランスがひっくり返っていたことを示します。国策でも木材自給率を高めようと言う声が高まり、様々な政策が打たれて補助金がばらまかれました。その結果、国内での木材自給率は毎年上昇を続けておりますが、その内訳を詳しく見ると大型のバイオマス発電所が建設され、せっかく50年、60年と長い年月をかけて育てられた気がチップとなって燃やされているのが現実で、建築用材の供給は大して増えていないのが事実です。そもそも日本の林業は険しい山に植林をしており、北欧やカナダのような大平原で樹木の伐採を行えるところなどありません。林道をつけて伐採した木を少しずつ運び出す大陸に比べると非常に手間とコストがかかるのが実情で、このため、船で運ばれてくる外国産木材に価格競争で負けてしまっておりました。この数十年で外国産材を使う建築がすっかり主流になり、国産材を使うと言うのは、顧客にコストの負担をお願いすることにつながるとともに、競争原理のもと、できるだけコストを抑えて供給したい住宅会社や工務店からそっぽを向かれるようになっていました。そもそも、人のお暮らしに必要なインフラの代表格である住宅を自前の材で建てるには山から木を伐り出してくるコストを負担する必要があったのが、今になってそのツケが回ってきた形です。

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ウッドショックは地域循環型への移行のチャンス

そもそも、地元の木材を使って家づくりをしてきた私たちは、外国産木材の輸入量が減少したからといって煽りを受ける由来はないと思うのですが、需要と供給によって価格が決まる市場原理に巻き込まれ、木材市場の価格上昇の影響を受けています。なんとなく、しっくりこないのと同時に、もっと山の生産者と私たち工務店が近づいて、確固たる信頼関係を構築して適正な価格で木材を購入し、安定的な需要を生み出す必要があると思っています。今回のひょうご木づかい王国学校の運営委員会で、来年から発足から理事長を務めていた私から、新進気鋭の若手経営者へとバトンを渡して、山主、きこし、製材所、木材卸、そして工務店まで一気通貫のスキーム作りに乗り出そうと話し合いました。実際に川上と川下を繋ぐべく動き始めた事業もあり、外部環境に左右されずに、高品質で美しい木の家を供給する取り組みが既に始まっています。ウッドショックをチャンスと捉え、便乗値上げで目先の利益を獲得するのでは無く、本質的な地域循環の取り組みに繋げていければと思っています。運営体制を新たに刷新し、若いエネルギーで突き進むひょうご木づかい王国学校にご期待ください!

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建築、暮らしだけじゃないその先に!




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