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つない堂コラム 〜地域企業を活性化する才能主義、起業家精神、致良知〜

私達は2020年に建築請負業から、地域を活性化するコミュニティー・デザインの会社へと事業ドメインを再構築し社名も変えました。地域が良くなるには(自社を含めて)地域を構成する企業が元気でなければならないとの強い想いを持って様々なチャレンジし続けています。 

ジリ貧確定の地域企業

インターネットの圧倒的な普及は、地域に根を張る中小企業が容赦無く、大企業と比較検討される環境を作り上げました。地域企業は価格、スピード、知名度といった表面的な価値では絶対的に不利になり、違う軸で価値を届けなければ淘汰されるしかありません。
しかし、地域企業が潰えてしまうというのは、同時に地域の需要も失われる結果を招きます。田舎に行ってカーナビを見たらあらゆる小売店が無くなりコンビニばかりが乱立していることに驚かされますが、地域企業は着実に淘汰されつつあります。消費者が受け取る価値の基準が、早い、安い、うまい的なファストフード、ファストファッションに代表される大量生産モデルのままだと、地域企業に生き残る道はありません。保有するリソースの量と質が圧倒的に違う以上、同じ土俵で戦っても生き残れるわけがありません。

地域企業の強みを開く【才能主義】  

地域に根差す企業が持つリソースとは何か?その問いへの答えを私は職人技、職人魂だと思っています。神戸の震災からの復興に関わった際、この世を成り立たせているのは実際に身体を動かして「作る人」である。との気付きは強烈でした。これはモノづくりだけに限った話ではなく、様々な専門職が提供する生活サービスの全てに当てはまると思うのです。 例えば、書店の店員さんが顧客との関係性を築き、その人が読むべき本を指南できれば、それも立派な職人と言えると思うのです。これまでその強みが地域企業の経営に生かされなかったのは、地域企業がそこにいる人に対して職人へと成長させる機会と仕組みを作ってこなかったからでは無いかと思うのです。ここで言う職人とは卓越した職業人であり、自尊独立した人格とスキルを併せ持った人を指しています。顧客のニーズを汲み取り、顧客がまだ気付いていない課題や真の願望を指し示し実現する。そして、一生涯の関係性を構築するのが職人の定義だと私は考えており、そのような人材を育成することを長年心がけてきました。それぞれが持つ信念や価値観、良心に従い主体性を持って働ける環境を整えれば、誰もがその才能を開花し活躍出来ると信じています。弊社では見習い期間を終えた全員が職人であり、営業マンであり、プロジェクトマネージャーです。スタッフそれぞれに個性があり、志向も違いますが、大きな目的(=四方良しの社会の実現)はしっかりと共有して地域、顧客に向き合ってくれています。

未来を創る【起業家精神】

単に卓越した職人が集まっているだけでは、地域企業の生き残りはありません。組織として機能するには存在意義や理念の共有が欠かせないからで、何の為にその職についているのか?との問いに対する答えが、全員全く同じでは無いにしても、大きな方向性が一つになっていなければ単に烏合の衆です。それでは思考が短期的、利己的になってしまい結局、組織は自滅してしまいます。 もう一つ重要なのは、顧客と継続した関係を続けることが出来るか否かです。認知量では絶対的に大手企業に分があります。優秀な人材を集めたり、デザインやコンテンツ創出の力も格段の差があるのは否めません。では、どうやって戦うか?その答えは「人と人との関係性の構築」にしかありません。そこで必要になるのが長期的な視点を可能にする、全員の経営者感覚、起業家精神です。未来を創造する気概を持って目の前の顧客に寄り添い、生涯付き合いたい先だと認識してもらうことで、認知量を凌駕して、自社独自のコミュニティーを構築できる可能性が大いにあります。

才能を開花させる【致良知】

 職人としての強みを私は「才能」と呼んでいます。職業人として卓越するための能力はコツコツと地道に積み上げることで、誰にでも確実に身につけることが出来ます。有名大学を出た若者ではなく、不登校だろうと悪さをしていようと自分の心の中の良心に気づき、しっかりとそれを見据えて「職業人、社会人として如何に生きるか?」との問いに真摯に向き合う姿勢さえあれば、必ず「目的」を見出すことが出来ます。目的が明確になれば、毎日の地道な継続が可能になります。習慣化ができれば、秀でた技術も圧倒的な知識も必ず手に入ります。国家資格の取得さえも可能で、その道のプロフェッショナルとしてその力をいかんなく発揮できるのです。根本に人としての良心、優しさ、想いやりさえあれば、必ず人からの信頼を得られる。と中国の思想家 孟子は人が誰もが持つ才能を「致良知」と表しました。私もそれを信じていますし、その思想に立脚した人材育成を自社内で実践してきました。今はそんな人材育成を全国に広める活動を熱心に行っています。
結論、地域企業が淘汰の時代を生き残り、持続的に成長するには人に焦点を当て、人を信じ、人を育むしかないと思うのです。

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