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嘘つきは泥棒の始まりだと知るべし

あなたは約束を守る人ですか?と問われたら大概の人は少し怯みながらも「はい。」と答えます。誠実な人ですか?と問いかけても大体は同じような反応をされます。自己評価に対して他人がとやかく言う筋合いは無いので、それはそれでよしとして、では、約束を守る誠実な人ならあらゆることに対して真摯に向き合っていますか?と質されたら胸を張って「はい!」と言える人はそんなに多くない気がします。もちろん、私も含めて。日本の精神性に学びそれをアメリカに持ち帰って経営やマネジメントの理論として書籍に著し、世界中で圧倒的な支持を受けたドラッカー博士が「経営者に最も必要な資質は真摯さだ」と言われた言葉の重みを感じずにはいられません。

第107回継塾

世界は約束でできている

真摯さを持っている人は約束を違えたりしません。そして、実はこの人間社会は法治国家になる前から約束で出来上がっており、相互間での合意といった分かりやすい約束だけではなく、文書や言語で表さない暗黙の了解も実は約束の中の一つです。
人間(ホモサピエンス)が進化発展し地球の覇者となった理由の1つに「役割」の発明があるといわれます。人がそれぞれ持つ強みや特性を生かして役割を担い、全うすることで大きな効果性と生産性を手にしたから他の生物と全く違う大きな成長、種の繁栄を遂げられたとの理論ですが、実はその役割も約束によって形作られるものであり、大前提として約束を守ることが役割を支えています。狩猟に出て獲物を持ち帰ってくるはずの男性が毎回手ぶらで帰ってきて、住処で子供を守っているはずの母親が赤ん坊を放置していては人類はここまで種の繁栄を手にすることはなかったように、現代社会、組織においての役割とは責任に対する約束であり、それが守られない事業は持続することはありません。

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真摯に誠実に計画を立ててるか?

また、事業とは、端的にかつ乱暴にまとめてしまうと計画と実行が全てです。目的に向かって目標を設定し、どのようにそこに辿り着くかの計画を立てて、その通りに実行すれば目標に達成するし、目的を果たせる事になります。計画という約束通りにメンバーが役割という約束を守り、確実に計画を遂行すればその事業に関わる人は皆がハッピーになることができます。
極論ですが、問題や課題は計画という約束を守らないことで生まれると言っても過言ではありません。昨日のnoteにも書きましたが、絶対に、何がなんでも約束を守るという真摯さを全員が持っていれば、実現可能な計画を立てる(実現不可能、もしくは確約が出来ない計画を立てない)し、そうはならないのであれば計画立案の時点で真摯さを欠く事になると思っています。これらは在り方の問題だと書きました。
そして、もう少し踏み込んで考えればその在り方の定義を明確にしていない事に全ての問題が起因している事に気づかされます。

懇親会は出張天ぷら新太郎

在り方の定義ってなんだよ

在り方から始めよう、と原理原則系のマーケティング理論を学んだ人は皆さん口を揃えて言われますし、私もまずは自省、内観を繰り返してなんのために事業を行うのか、なんのためにこの世に生を受けたのか?との根源的な問いを繰り返しました。その中で目的(志)が明確になり、それに対する向き合い方こそ、在り方だと気づきました。
人生を、命をかけて成し遂げたいこと。命よりも大切なことがはっきりすると、自ずと真摯にならざるを得ません。それが生きる上での最重要事項になるから当然ですが、目的(志)を達することに対して立てる計画は自分自身への命をかけて守るべき約束になります。そこでやっと、在り方が見えるようになると思うのです。
その様に考えると、巷では在り方という言葉があまりにも安売りされているのではないか、と思うことが少なからずあります。それが表面に現れるのが計画の未達、もしくは自分で決めた約束を反故にする人が多すぎることではないかと思うのです。

ウサギ肉のバーベキュー

嘘つきは泥棒の始まり

子供の頃、嘘つきは泥棒の始まりだとよく言われました。誰もが知っているし、大人はその言葉を使って子供を諌めます。しかし、約束を破るとはすなわち嘘つきと同等の行為であり、真摯さが欠けているとしか言いようがありません。確かに、人生は予定した通り、計画通りに全て順調に進むことはありませんし、自然災害や気候変動など人間の力が及ばないような外部環境の変化もあります。イレギュラーやトラブルを全て排除するのは不可能ですが、だからと言って計画通りに約束を守れないのが当たり前になってしまって良い訳ではないと思うのです。今の世の中は責任ある役割を担った大人が気軽に約束を破るのがあまりにも多くありすぎて、感覚が麻痺してしまっているように感じてなりません。
こんな偉そうなことを書いていますが、私自身、全ての計画を予定通りに遂行してなんの約束も破っていないのか?と質されたら「完璧です。」とは流石に答えることは出来ません、恥ずかしながら。しかし、最重要事項に対する在り方だけは真摯さを欠くことなく、何度も計画を修正しながら少しずつではありますが、確実に歩みを進めていると返す事ができます。

スケジュールは大きな石から入れる

大きな石から入れる

昨日開催した、私が主宰する無料の勉強会、第107回継塾のテーマは「約束」でした。上述したように、計画と実行が事業の全てであり、計画を遂行するには最終的に自分との約束を守り切ることしかないと参加者の皆さんにお伝えしました。その中で、自分自身との約束をするにあたり、最も重要なことを決めてその達成に対して逆算して毎日の約束を守るスケジュールの組み立て方を提唱しました。スティーブン・R・コヴィー博士の言うところの「大きな石から入れる」理論です。私はそれを志と置き換えていますが、ドラッカー博士の言う真摯さ(integrity)とは結局、どーでもいいものに対して生じることはないのが当然で、大事にすべきものを見つけるところからしか生まれない様な気がしています。なんのために?その問いを幾度となく繰り返すしかないし、それを多くの大人が行うことで目先の損得勘定に振り回される泥棒だらけの世の中は少しずつ、まともになるのではないかと思うのです。そして、誠実な所に人も富も集まる真っ当な社会になれば良いと思うのです。

松陰先生とコヴィー博士の提言

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計画と実行に真摯に向き合う習慣をつける研修を行っています。


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