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ヒエラルキー型組織は無能を生む出す仕組み #才能主義の必要性と効果性

実は私は中学校もロクに通い切れていない、学歴社会から完全にドロップアウトした人間で、若い頃は本当にどうしようも無いポンコツな悪ガキでした。そんな私でも社会に出て、親切で面倒見の良い先輩方に恵まれて、ご指導、ご鞭撻のおかげでまともな暮らしができるようになりました。25歳の遅がけから大工の修行に入り、その当時から考えると考えられないことですが、30歳過ぎには一応、経営者になり、今では地域に根ざした工務店とコミュニティー事業や全国での研修事業、台湾での店舗デザインと施工の事業所の3つの法人の代表を務めています。50代も半ばに差し掛かり、自分自身のこれまでの人生や出自を鑑みてつくづく思うのは、人間誰しも生まれ持った才能があり、それを生かす場さえ与えられたら、大きな活躍ができるようになるということです。

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非、上意下達

大工になって現場作業をする中で、お客さんから感謝の言葉を伝えられる様になった時、私のようなポンコツでも、人様の役に立つような仕事が出来るのだと我ながら驚くと共に、大いに感激したのは今でも鮮明に覚えています。そう考えれば、職人として建築業界に入ってきた若者を見る度に、当時の私よりも確実に優秀で、いい人材ばかりだと思うし、彼らの才能を開かせることができれば、彼ら自身も、彼らが所属する事業所も、業界全体もすごく良くなるのではないかといつも感じます。そんな想いもあり、私はボトムアップ理論の信奉者で自身が代表を務める事業所では、ヒエラルキー型と言われる上意下達、トップダウンのピラミッド型の組織を脱して、個々が自分の良心に従い、自由に、主体性を持ってそれぞれの担当する役割を全うしながら全体最適を目指す組織形態を目指してきました。

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逆ピラミッドの才能主義

そんな私も元々は大工あがりの経営者ですので、起業した頃は私をトップとする軍隊式と言っても過言でない、土建業界にありがちなブラック過ぎる酷いピラミッド式組織でした。しかし、社歴を重ねる毎にスタッフの才能を信じようと改善、変容を繰り返してきて、これまでピラミッドを分割するグループ制や、事業部ごとに独立採算制で収益を上げるアメーバ式と言われるチーム制を取り入れたりと組織形態を変容させてきて、現在はプロジェクトごとにメンバーが集まり個々が責任を果たしながら、リーダー格のスタッフが話し合いながら共通認識として持つ私たちの存在意義の発現と全体最適を目指す一体感のあるチームを目指して試行錯誤を繰り返してます。流行りの言葉で言うと、ホラクタシー型に近い組織形態を目指しており、今年からはその運営メンバーに向けて事業承継の取り組みも本格的にスタートさせています。

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目指したのは持続可能な循環型モデル

元々、超ヒエラルキー型のまるでヤ●ザの組織のようなトップダウン式で事業を運営していた私が、このままではダメだ、未来はないどころか現状維持もままならず、会社を潰してしまうと気付いたのは、実は起業して間もない頃でした。経営どころか組織論なども全く勉強したこともない私でしたが、まるで軍隊のように言われたことは確実にやるが、言われないことは何一つ行わない主体性のない兵隊の集まりでは、臨機応変さが求められる建築現場では本質的なものづくりはできないと肌で感じました。それぞれの担当に裁量を預け、主体性とお客さんの立場に立って物事を考える良心に任せることが出来なければ、未来はないと気付いたのです。そこでまず行ったのは、日給月給の半ば外注扱いだった大工スタッフを正規雇用に切り替え、安心して働ける環境を提供すると共に、同じ方向、同じ理念を共有できる状態を整えることから始めました。その上で、誰しもが持っている才能、(ポンコツだった私でも持っていた!)相手の立場に立って、意向に耳を傾けて真摯にものづくりに向き合ったり、より良い提案を行う丁寧さを身につけたり、期待に応えようと責任を全うする姿勢を発揮してもらう事で、本質的な価値提供と、喜びと満足が循環する持続可能なビジネスモデルの構築を目指しました。

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無能を生み出すシステム

そんな経験を経て、これまでの20年間、延々と組織改革に取り組み続けてきた私ですが、昨日参加した、とある組織論のオンラインワークショップでアドバイザーの方が口にされた言葉には大きな衝撃を受けました。それは「ヒエラルキー型組織は結局、無能な人を生み出す構造になっている」というもので、ピラミッド型の組織は常にピラミッドの頂点を目指して少しでも上を目指すし、目指すことを強いられる。その結果、成果を挙げられなくなるまでそれが続き、出世が止まるのはそのレイヤーで無能だと認められたときだとのこと。もしくは、上部のレイヤーに上がることを諦めた時点で無能のレッテルを貼られてしまう構造となっており、その全体の構造自体が無能な人間を生み出すシステムだと言うのです。改めてそんな定義を耳にして自分自身の経験則と合わせて、甚く納得すると共に、今までの取り組みが間違っていなかったと背中を押された様な気がして嬉しく感じた次第です。

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構造と意識の両輪改革

自分自身がいかにポンコツでダメな人間だったかをよく知っている私としては、実は誰もが類まれなる才能を隠し持っているのを誰よりも実感として持っていると思います。そして、建築業界には私と同じように他にできる仕事は無いからと消去法でこの業界に入ってきた若者が少なからずいて、自分は指示されたことをその通りにやるしか能がない人間だと低いセルフイメージを持ったまま働いている者も多くいると感じています。私からすると以上にもったいないし、経営者の観点から見ると膨大な経営資源を腐らせているように目に映ります。現場で働く若者に自分にはもっと大きな価値を目指す力があることを知ってもらう、気づいてもらうと同時に建築業界にどっしりと根を生やした、誰もが持っている才能を叩き潰し、無能な人を生み出すピラミッド型の組織形態を見直す必要があると思うのです。組織の形を見直すだけでも、現場で働く建築実務者の意識を変えるだけでも叶うことがない非常に難しい業界の改革ではありますが、これが実現して職人の地位が向上しなければますます加速する職人不足によって業界は衰退の一途をたどると考えています。時間はかかりますが、理屈はそんなに難しくなく、行うべきアクションはシンプルです。一般社団法人職人起業塾の活動を通して、建築業界を良くしたいと思う同じ志を持つ方々と共に少しずつでも歩みを進めていきたいと思っています。職人が誇りを持って、豊かに暮らせるようにならなければ、地域のインフラは守れませんし、基幹産業である建設業界は守れないと思うのです。

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職人の社会的地位の向上を目指しています。

オンライン併用の無料の勉強会も行っています。



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