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事を成す4つの在り方とその本質

なせばなる、なされはならぬ何事も、ならぬは人のなさぬなりけり。とは、世界で最も有名な日本人として有名な上杉鷹山公の代表的な言葉。成すべき事柄、事業に対しての向き合い方の真理を語られています。ただ、この言葉を受け取るには、成したいことがあってこそ。私たちはそれを志と呼んでおり、強い想いがありその実現を目指すからこそどのようにして成すかとの方法論が必要になると思っており、学ぶことの本質はそこにあるのではないかと考えています。以下に事を成す(志を具現化する)ために、最近、私が学んで心に留めおくべきだとの気づきを得た「あり方」をまとめてみます。理想を掲げ、志を持って事業に取り組んでいる方の参考に少しでもなれば幸いです。

表を知り、裏を探る

この世はすべからず表と裏があり、それらは常に表裏一体です。重要な事は書物に書かれていたり、講演で話されたり、インターネット上で検索できたりと多くの人が様々な手法を用いて広く知らしめており、この世を渡っていくのに大事なことは誰もが知っていることばかりです。しかし、表面的な知識ではなくその裏にある実体や真理は、もう少し深く掘り下げなければ見えてこないし、それを感じることなく、上滑りする手垢のついた概念だけを知ったところで、何の成果も手に入れることは出来ません。概念だけを知ったところで行動、実践ができなければ一切の意味はありません。事を成す(志を実現する)のには深い真理、本当に必要な在り方を自分なりに探求しなければ、物事は一切動かず、世界は変わらない。そんなことを経営実践研究会なる学びの場で勉強させてもらっています。

ソースの自覚

世の中に新しいムーブメントを巻き起こす、新たな価値を01で生み出す、解決困難な社会の課題を克服するなど、経済性と社会性を両立させて持続可能性を担保しながらこの世の中を良くするには、まず初めに1人(ソース)の強い想いが必要だと言われます。その強い想いに共感する人が集まって、事業や運動、プロジェクトがスタートします。近年、その初めに口火を切って思いを語る人のことをソースといいますが、志を掲げるとは、自分自身がソースになる覚悟を決めることだと私は思っています。人がたった1人でできる事はたかが知れています、できるだけ多くの人と問題認識を共有し、共感を軸に組織を構成していくことで、事を成す状態が徐々に整っていくと考えます。そのためには、まず最初の一歩を踏み出す主体性と自律性を持って自ら動く思考と覚悟が必要だと思うのです。

畏れと不安と尊重

ことを成すには、多くの人の力を結集しなければなりません。そして、ソースとして、新たな価値創造や課題解決に対する想いをアウトプットして、共感した人を集めるだけでは何も事は進みません。強力に事業を推し進めるには、リーダーシップを発揮する必要があると言われますが、推進力を得るにはエンジンが必要です。そして、それは1馬力よりも2馬力、3馬力と大きいに越したしたことはありません。しかし、人に人は変えられないと言われますが、新たな行動に取り組むモチベーションを人に植え付けるのは非常に難しく、ソースが率先垂範する事は当然にしても、それだけでは人は動こうとしません。私は人を導くリーダーシップには、自分に人がついて来てくれるのか?との畏れと不安を持ち続ける位の慎重さと、一人ひとりの意見を尊重する丁寧さが必要だと思っています。これが欠けていると、どんなにトップで引っ張る人間が走り続けても、誰もついてこなくなると思うのです。一馬力のままでは事を成すことはできません。

人の心の在処と座標

リーダーシップを効果的に発揮するには、慎重さと丁寧さが欠かせませんが、それは常に人の心はどこにあるのかとの人の関心事に心を配ることだと思っています。人心掌握というと聞こえはあまり良くないですが、人の心が離れてしまえが組織は成り立ちません。また、人に興味を持たずして、人に共感されることはあり得ません。その人の心の在処はどこにあるのかを座標に置き換えて正確に位置関係を感じるアンテナを張ることが非常に重要だと思っています。理想を語り、同じ志を掲げたところで、足元の関心が常にそこに向いているかと言うと、それは人によって様々で、その位置を見誤った状態でいくらコミニケーションを取ったところで決して話が噛み合う事ははありません。その感性なくしてリーダーシップは効果を発さないのだと思います。

関係性の質の真実

最後に、あらゆる組織で生み出す結果の質は、関係性の質に由来するとの原則論について。関係性の質の重要性については、多くの人が理解しており、風通しの良い組織、言いたいことが言えて、やりたいことがやれる環境が整い、全体最適を実現する理想に向かって、組織を構成するメンバーがそれぞれ主体性を持って取り組めば大きな成果が期待できます。そこまでは誰もが理解していると思います。しかし、関係性の質を高めることに対して、在り方の観点で明確な答えを持って実践する人は非常に少ないように思います。私は関係の質の改善の要諦を、与えられることを探し、提供することだと思っています。かなり難易度が高くなりますし、優先度を上げて取り組むのは至難の技ですが、組織を構成するメンバーに対して相手がまだ気がついていない潜在的な欲求を満たすことに取り組む必要があると思っています。実は関係性の質というのはすぐに定着してしまいます。その質を上げるために一度定着した人間関係を掘り返すのは随分とエネルギーが必要で、関係性の質の原則はその厳しい現実の上で語られています。

事を成すのに必要な4つの在り方とその実装

事を成すに必要な概念はソース理論(志とその表出)、リーダーシップ、人の心の在処を知る、そして関係性の質を高める、この4つが欠かせません。概念を並べると誰もが知っているし、当たり前のことばかりです。しかし、その本質は実際に行動して現実の壁にぶち当たり、乗り越える為の試行錯誤を繰り返さなければ垣間見ることさえ出来ません。実践を繰り返し、人に向き合い、挫折や蹉跌を繰り返しながら、やり方ではなく在り方を心の奥底に定着させて漸く事を成す、志を具現化するための道筋を見出すことができるのだと思います。一人で出来ることはたかが知れてる、この世に対して成したいことがあるならば、多くの人の協力を得ることが欠かせない。上杉鷹山公が言われた「ならぬは人の成さぬなりけり」とは、事を成すための状態を整える学びをなさないことではないかと最近になって強く感じさせられています。幾つになっても学ばせて頂ける環境があることに心から感謝しつつ、成せばなると言える在り方を身につけたいと強く思うこの頃です。

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在り方を共に学び、実践する機会を提供しています。
繋がってください。


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