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4つのJ+@の教育 〜誰のお陰で今があるのか〜

現在、私は来春からの職人育成高校の立ち上げに向けて様々な教育関係者から話を伺ったりアドバイスを頂いたりしています。その中で京都のゴールフリー高等学院に行った際、4J教育を大切にしていると聴いて深く印象に残っています。4Jとは自尊心、自己肯定感、自信、自負の4つのセルフイメージを指しています。その中でも自負と言う言葉はその語感と人の成長に欠かせない謙虚さの対義語であることから私はあまりポジティブな印象を持っていなかっただけに注目しました。

自負と慢心

『自負とは、自分の能力や功績を人に誇れるくらいには立派であると信じることである。』と辞書を引くと書かれてあります。確かに重要ではであると思うとともに、少し行き過ぎると慢心につながりかねない危うさを伴う概念だと感じました。ただ、今の若者たちにはあえて自負心を持て!と言って丁度いい位、自分に対する自信や誇りを失っている事の裏返しなのかもしれません。人は何かにチャレンジする際、自分に自信を持っていなくては一歩を踏み出す事はできません。また、誇りを持っていてこそ、困難に突き進む志を固めることができるとも思います。確かに若者に適切な自負を持たせるのは重要だと思うと共に、それを適切に伝えるのはとても難しいと感じています。

ゴールフリー高等学院

自信、自負の根拠

翻って自分自身について考えてみると、自負心を持てるようになったのは50歳前後ではなかったかと思います。20数年前に勢いだけで独立起業し、何とか事業を継続してきましたが、毎年が自信に満ちて誇りを持って事業に取り組んできたわけでは決してなくて、1年1年が綱渡りのような頼りない自分を無理矢理鼓舞して、志や使命を何が何でも全うしなければならないと新しいチャレンジを積み重ね、今にも折れそうな心を繕いながらこれまで歩んできたような気がします。短いスパンで見ると自分の実力ではなくたまたまご縁や運に恵まれ人に助けられて何とかなったと思っていましたがそれが10年を超え、20年近く継続できたことでようやく自分のやってきたことが間違いではなかったのだと自負を持てるようになりました。そんなに簡単に人に誇れるような功績を上げる事はできないし、自信や自負を持てるものではないというのが実感です。

誰のおかげで今があるのか

そして、そんな頼りない自分だと認識していても、少しうまくいくことが続くとすぐに慢心してしまいます。そんな時は大体、大きな失敗やトラブルを呼び込むもので、いくつになっても常に謙虚な心を持っていなければならないとの自戒を常に持つようにしています。つい最近も、今の自分があるのは自分の力ではなく、子供の頃に親に助けられてきたからだったのだと今更ですが、改めて気付かされることがありました。まるで自分の人生は自分で切り開いてきたかのように振る舞っているのが恥ずかしく思える瞬間でした。親から受けた恩を忘れて、その恩に報いることさえ意識しないなど、どう考えても人としてあるまじき所業であり、そんな人間に人の道を語ることなどできようはずもありません。今一度、自分のあり方を見つめ直さなければならないと深く反省した次第です。

神戸家庭裁判所

存在するだけで救いがあることに人は気づかない

そんな気づきを得たのは、先日参加した良心塾なる犯罪者の更生をサポートする活動を続けておられる黒川塾長主催のイベントでした。ご自身も犯罪歴を持つと話される黒川塾長の講話の中で、「自分が少年院に入れられなかったのは親がまともな人だったからで、少年院に入っていたら今の自分はない」との件があり、それを聴いて、あっ!と気付かされました。実は私も、中学生の時に3回も警察のご厄介になっており、少年犯罪として家庭裁判所への送致を受けています。一般的に、3回も裁判所に送られると鑑別所もしくは少年院に送られても全くおかしくありません。私はそのどちらでもなく補導所と言う施設への通所措置で審判を下されたのですが、周りの仲間からも自分自身もツイテいた、ラッキーだったねー。と無邪気に喜んでおりました。今思えば、親がまともな人で、一緒に裁判所に何度も足を運んでくれたからそのような結果になっただけだったのです。50代も半ばになるまでそんなことにも気づかないとは、我ながら随分とぼんやりしているものだと情けなくなりました。存在するだけで大きな影響があることに人は気づきにくいものなのかもしれません。

黒川塾長 9月の経営実践研究会の兵庫定例会にて講演頂きました

4J+謙虚と感謝

自分自身のそんな苦い経験もあり、冒頭に紹介した新しい学校での教育方針として、4つのJ(自尊心、自己肯定感、自信、自負)を持たせる、認識させるのを重点に置きながらも、決して人は1人で生きているのではなく、多くの人から助けられ生かされているのだと言うことをしっかりと伝えたいと思います。慢心することなく、謙虚な心を持つ事は技術、知識、人間力とあらゆる面での成長に欠かせないし、感謝の心なくして志を立てたり、真っ当な人生の目的を設定する事はあり得ません。自負心を持つことの大切さと、危うさの両方を伝えながら世の中のために活躍してくれる若者を育てたいと思います。

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目的を明確にし、志を立て、稼げる現場実務者向けの研修を行っています。

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