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誰もが知っているのに生かし切れない7つのインサイトと天下布理

私は32歳で大工として起業して建築会社や飲食店、研修事業等の経営を20数年間続けてきました。現在も神戸、全国、そして台湾をフィールドとする4つの法人の代表を務めています。
自分自身が長年、事業を行ってきた経験の中で学び取ったインサイト(真理、人生訓)が数々あり、何かしら判断を迫られる時にそれに照らし合わせることで、同じ失敗を繰り返さない、ベストでないにしてもベターな選択が出来る様になってきたと、50歳を超えたあたりで感じる様になりました。孔子は40歳で不惑の境地に入ると言われましたので、私は少し遅咲きにはなりますが、若い時に比べて迷いはかなり減りました。

不惑の本塁打王 門田博光

「知っている」と「出来ている」の深い溝

私が学び、身に付けてきたインサイトの中で最も重要だと認識し、大事にしている概念がいくつかあります。それらはどれもごく当たり前のことばかりで、目新しいものではありません。しかし、真実なんてそんなものなのだと最近は思えるようになりました。知っているだけでは何の役にも立たないし、知ったことをやれたとしても、継続できなければ大した成果には繋がらない。真実を知ったら、それを自分の中で咀嚼して深く理解すると共に血肉に変える実践が必要です。
そこまでできた時に当たり前の常識や皆が知っている原理原則を肌感覚でインサイト(真理)だと認識することになるのだと思います。

7つの真実

人生の選択の基準とも言える、私が最重要視して大事にしている概念は以下の7つ。

「継続は必ず力になる」
「あらゆる成果は状態に由来する」
「人は一人で大したことは出来ない」
「人とのご縁が人生を作る」
「良き意図に人の支持が集まる」
「人は誰しも類稀なる才能を持っている」
「未来はイメージした通りにしかならない」
7つのインサイト

これらは先人が様々な格言や至言として残されていることばかりです。しかし、この様に平易な言葉で書くと「なーんだ、そんなことか、こんなこと皆知ってるし、たいそうに言うほどのものじゃないよね、」との声が聞こえて来るような気がしますし、説明の必要も無い様なごく当たり前のことばかりです。実際、研修や講演の現場で上記の概念を伝えてその様なことを口にされたことも少なからずあります。正直、私が長年かけて見い出したインサイトはなかなか他人に響きません。

同じ轍を踏むことはない

私としては、これまで数多くの失敗を繰り返して来たし、間違った判断を下して後悔したのも数え切れ無いほどあります。人生はリハーサル無しの一発勝負で後戻りもやり直しも出来ない上に、予期せず選択を迫られる場面に突然遭遇します。なんの準備もしていなければ、当然高い確率で失敗することになってします。若い経営者や経営幹部、もしくは全ての実務者に対して、出来る事なら私が経験してきた失敗を避けて、同じ轍を踏む事なく、目的に向けてスピードを上げて事業に取り組んで貰いたいと思うのです。そんな想いから、研修事業を立ち上げたり、無料の勉強会を定期的に行ったり、このnoteで情報発信をしたりしています。

上っ面を滑るやり方論

私が長年の経験の中で見出した7つのインサイトはシンプルであるが故、表面的な認知で流されてしまいがちです。それぞれを深く理解して実践(出来ている状態の維持)できるようになるには時間と労力がかかります。中途半端に知っていればなおさら、人は当たり前のことの理解や咀嚼に今更時間を使おうとはなかなか思わないもので、事を成すべく事業を推し進めるにしても、人生においても重要な真理や原理原則に正面から向き合わないまま、上っ面の手っ取り早く儲かる上手いやり方や簡単に早く目の前の課題が片付く方法論ばかりを追い求めてしまいがちです。とても残念ですが、例えば「継続は力なり」との超簡単な概念、習慣の力を活用することさえも実践できる人はごく限られています。真理は身近にあるのに、気づかない人が多いのは本当に不幸なことだし、人類の損失だと思うのです。

世の中の課題の根本

分かっていることがわかっている通りに出来ないのは、実は非常に深刻な問題です。これが常態化すれば、いかなる学びの場に足を運んだとしても、全く何も身に付くことはないからです。当たり前の事にこそ真実があり、そんな簡単なことさえ出来なければ、大したことができるはずもありません。人を信じることもなく、良き意図を持つこともなく、成果を手にするための状態を整えることもなく、なんら努力をせずに、たった一度きりの人生を狭い身の回りの人との享楽、怠惰、色欲や物欲、そして食欲を満たすことだけに時間を使ってしまい、誰のためにもなれず、世の中を良くして次世代に引き継ぐこともなく、生きてきた価値を感じられることなく生涯を終えることになりかねません。これがスタンダードになれば、この世の先は暗黒の世界になるとしか思えません。そして、昭和から平成にかけての日本では金が全てとの価値観の強欲資本主義が蔓延してしまったように感じており、その意識の是正が喫緊の課題だと思っています。

在り方から始めよう

そんな暗黒世界にならないようにと、世の中にはインサイトに気づいた人たちが熱心に学びの場を提供する団体やコミュニティー、宗教や学校が数多く存在します。私が長年、様々な場に足を運び学び続けて感じたのは、結局どこに行っても教わる事は根本的には同じだと言うことです。そこで示されるのは常に目先のやり方ではなく人としての在り方であり、私にとっては上述の7つのインサイトです。世界は意外にシンプルで古代から人の営みは大して変わっていない、原理原則や自然の摂理、人と人の関係性で社会は成り立っており、世の中に数限りなく存在している社会課題の解決には、まず、全ての人が当たり前の事に真摯に向き合う、在り方に意識することから始めるべきだと思うのです。

CSVや三方よしがもたらす価値

これらの当たり前のことに向き合う在り方が、社会を構成する企業や組織で広く担保されると、世の中を良くする社会課題を解決に向かわせる社会的価値を作り出すし、持続可能性を生み出す経済的な価値も同時に創出する様になると考えています。近年はこれをCSV(共通価値創造)経営とか、日本では古くは三方よし経営と呼ばれてきた経営論です。
そして、薄っぺらく知っていて、実際の行動に移せていないことに対して改めて姿勢を正し、真摯に向き合うには、機会と場が必要です。
例えば、「良き意図に人が集まる」とのインサイトを実際に事業に落とし込む事ができて、その意図が広く認知されれば、同業他社との血みどろの競合から抜け出し、固い信頼関係を結んだ先と取引ができる様になり、適正な価格で次々とオファーを貰える、持続可能なビジネスモデルを構築できる可能性があります。

知っていることを行う学校

そして、今だけ、金だけ、自分だけの価値観で事業を行なっていないことの証明はHPに書いたり口先で話したりするのではなく、実際の行動として事業で取り組む必要があります。決して簡単なことではありませんが、ゴミ拾いでも継続して熱心に行えば、近所の人から自然に仕事を頼まれる様になるのは誰しもが分かること、少し長めの時間軸を持って良き意図を行動に移す取り組みを進めれば、取り組んだだけの成果に結びつくことは容易に想像がつくと思うのです。
そんな当たり前のこと、7つのインサイトを私は学生たちに伝えたいと思い、この春から職人になるための通信高校を立ち上げます。その学校では現場で技術を教わり、レポート作成で高校卒業の単位を取得するのと同時に、職業人としての在り方を見つめ直す時間を持ち、当たり前のことを当たり前に行う実習を繰り返します。学生が社会に出る前に分かっていることがそのまま出来る様になるトレーニングを行います。

天下布理

そして、7つのインサイトを知った若者たちが社会に出て活躍するには、彼らを受け入れる事業所が当たり前のことができている「いい会社」であることが大前提になります。それを担保する指標としてマイスター高等学院として子供たちを受け入れる事業者は全社、未来創造企業といういい会社の外部認証の取得を義務化しています。
誰もが分かっているのにおざなりになってしまっているこの世の中に存在するインサイト(真実)に対して、経営者、事業所ごとが改まった場で学び直す機会と場を提供し、チェックリストに基づく具体的な指標を運用することで、対外的に胸を張って自社のことを「いい会社」だと言える認証システムを導入しています。地域の小さな企業から世の中を暗黒の世界にならないようにする取り組みを推し進めており、絶賛、仲間を募っておりますので、少しでも興味がある方はお気軽に声がけください。あたりまえの「理」が行われている世界にしたいと心から思っています。

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天下布理を掲げて、職人育成の高校や建築実務者向けの研修を行っています。つながってください!

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