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持続可能な未来を創る企業になる方法

建築業界に自律循環型住宅と言う概念が広がり、ちょっとしたムーブメントが起こったのはかれこれ15年位前。当時の設計メンバーと一緒にその建築思想を学び、環境に負荷の少ない自然エネルギーを最大限活用する住宅づくりに私たちがシフトしたのがその頃です。その当時はまだ、高断熱高気密住宅と言う高性能な家づくりの概念も知られておらず、太陽光による日射取得を活用した暖房の低減や通風計画による冷房費を抑える、また当時、安価な外国産木材に押されてあまり使われていなかった国産木材を活用するなどが中心でした。ちょうど世界で気候変動が問題になり始めた頃でヒートアイランド現象を抑えるには建築での対策が欠かせないと認められた時期と重なっています。

中之島中央公会堂

持続可能な社会へのアプローチ

自立循環型住宅と言う設計思想はもちろん、持続可能な自立循環型の社会の実現を目指してのアクションです。それまで個人住宅で使い勝手の良い間取りや自然素材を使った快適性、かっこいい意匠ばかりにとらわれていた私たち建築業は環境との共生や、社会との関わりを深く考え、その責任を自覚するきっかけを貰いました。それは、建築を依頼してくれるクライアントだけではなく、地域全体、地球環境にも配慮すべきなのだと気づき、事業内容そのものを見直すことにつながりました。その当時、15年ほど前から私たちは自律循環型の建築だけではなく、ビジネスモデルも地域社会にも着目して、持続可能性を追求する思考に大きく舵を切ることになりました。

第五期未来創造企業認定式

地域と事業の持続可能性

それからの15年、私たちは持続可能性の高める事を事業の中心的な価値観に据えて様々な活動を行ってきました。住宅の性能を高めて環境負荷を低減するのはもちろんのこと、兵庫県と連携して地元の山で育った木材を地元の街で使ってもらえるようにする啓蒙活動や、山とつながり、そこで作った製品を直接クライアントに販売して収益を山に還元する仕組みづくり、地域の方が安心して長く暮らせるように積極敵なメンテナンスを行ったり、家づくりの担い手である職人の育成、安心して働ける環境整備、ガバナンスを整えることに本気で取り組んだのもその流れの一環です。また、地域コミュニティーの一員として宣伝広告を使って売り込むのではなく、自然発生的に売り上げや収益が上がるようなマーケティングに取り組んだのも持続可能性を高めるために他なりません。

第5期認定メンバーとともに

異端者にSpotlightが当たる時代の変化

私たちは自律循環型の地域社会を作ること、それに寄与しようと取り組んできましたが、実際それは建築業界の中ではスタンダードではありませんでした。地域木材の活用も、職人の正規雇用や育成も、無販促、無広告でボランティア的な収益が上がらない事業を立ち上げて地域コミュニティーの形成に取り組んでいるのも業界から見れば全て異端な取り組みです。しかし、世の中は少しずつ変化してきて、ここにきてようやく私たちのような持続可能性を価値観の中心に据えた事業所が認められている時代がやってきました。それが、未来創造企業の認証です。

持続可能性とは未来を創ること

未来創造企業認証とは、日本最大級のシンクタンクである一般社団法人日本総合研究所と経営実践研究会を母体にした一般社団法人未来企業研究所が作り上げた82項目にも上るチェックリストで企業の社会性に対する取り組みを数値化、見える化して認証する制度です。非常に綿密に組み込まれたその指標は今後、中小企業庁なども巻き込んで日本の企業があるべきスタンダードを指し示すモデルになると言われています。私たち株式会社四方継はこの度、第5期未来創造企業の認証にエントリーし、15年余りの持続可能性への取り組みが認められた形で認証を頂くことができました。私たちの前の第4期では認定企業のカムラック社が「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」を受賞するなど、世間的には大きな注目を集めており、私たちもそんな良い企業の基準を満たしていると認められた事は本当に嬉しく感じています。

第5期未来創造企業認定式


ムーブメントの予感

今回、私たちは未来創造企業の認定を取得するにあたり、これといって新しい取り組みを行ったわけではありません。それでも、新しく買い換えるPCをエシカルに変えたり、知的資産経営報告書を作り直すにあたりSDGsの目標設定を具体的に作り直したり等の社内での環境に対する意識を高めるアクションを行っています。今回認定頂いたのを機に今まで私たちが取り組んできた持続可能性への取り組みを更に加速させたいと考えている所存です。また、私の周りの意識の高い建築関係の事業所の方々も続々と未来創造企業認定へのチャレンジを進められています。そろそろ日本でも環境や社会課題に対して問題意識を持った事業所がスタンダードになるムーブメントが起こってもいいと思います。そんな仲間と共に手を携えて建築業界全体の底上げも進めていきたいと思うのです。

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人、街、暮らし、文化をつなぎ四方良しの地域社会の実現を目指しています。


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