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風の時代の定性目標とその実現

令和3年3月30日晴れのち曇り

1月は行く、2月は逃げる、3月は去ると昔からよく言われますが、年が明けてからの第一四半期は毎年、本当にあっという間に過ぎ去ってしまいます。気がつけば明日で3月も終わり。計画通り進んだこと、思いのほか進みが芳しくないことと様々ですが、4月になれば春も本番、新しい季節に向けて気を引き締め直してポジティブに事業計画の遂行に向き合いたいと思います。短期的な指標での判断はあまり好きではありませんが、コロナ禍の下スタートした今年の滑り出しを振り返ってみると、一瞬で過ぎ去ったと思えるのも、さもありなんと思える位、充実して中身が詰まっていたように感じます。一方、年頭にたてた事業計画の進捗を鑑みれば、遅れをとっている感も否めず、モヤモヤする部分もあり、自己評価としては微妙な感じです。今日はそんな自己評価と目標設定について書いてみたいと思います。

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竹の節の如し

竹は節があるからこそ強くまっすぐ天に向かって伸びていくと言われます。そんな竹の特性になぞらえて、人も節目ごとに自分自身を顧みて検証し自省することで目的に向かってブレずにすすむことができると言われます。今は亡き、私がメンターと尊敬していた先輩経営者から、「人は自省することがなくなったら成長することもない」との重い言葉を生前、もらっていることもあり、自省する機会としての節目ごとの振り返りを意識するようにしていて、私が代表を務める株式会社四方継では四半期ごとにスタッフ全員と面談する時間を持つようにしています。
ただ、昭和から平成にかけて失われた20年と言われるほど日本の経済が力を失った大きな原因に欧米式の短期決算方式の導入があったのではないかと私は思っていて、短期的な定量目標とその成果に執着するあまり、研究開発や人材育成等の未来への投資ができなくなり、世界に取り残されたと言われる体たらくの結果を招いたのではないかと思っています。定量だけの評価と検証に偏りすぎるのは非常に危険で、定性での目標設定と検証に重点を置くべきだし、自社のスタッフに対しての評価基準にしたいと思っています。ちなみに、定量と定性の定義をgoo辞書から引用しておきます。

ていせい‐てき【定性的】 の解説[形動]
1 性質に関するさま。ある物質にその成分が含まれるかどうかを表す場合などに用いる。「定性的検査」⇔定量的。
2 数値・数量で表せないさま。「人事の定性的評価」⇔定量的。
ていりょう‐てき〔テイリヤウ‐〕【定量的】 の解説[形動]
1 数量に関するさま。ある物質にその成分がどれだけ含まれるかを表す場合などに用いる。「定量的測定」⇔定性的。
2 数値・数量で表せるさま。「定量的な目標を設定する」⇔定性的。

定性と定量の関係性

何かしらの事業を行う際に、目標設定とそれに対する定期的な検証を行い軌道修正をするのが非常に重要なのはビジネスマンなら誰もが知るところ。そして、その際には定量と定性の両方を見ることが必要だと言われます。定性での目標の設定と評価は少しぼんやりしてわかりづらくなりがちですが、その本質は短期と長期両方の課題解決ではないかと私は考えています。目標を設定すると言うのは、現時点と目標のギャップを埋める課題を明らかにすることであり、目標達成とは課題解決の積み重ねに他なりません。そして目標設定は長期的になればなるほど、定量的な数値ではなく、あり方のような事業の目的そのものに近づきます。自分たちが実現したい世界を目指すにあたり、まずは性質を改善する為に乗り越えるべき課題を明確にすることが何より重要だと思うのです。事業計画を全うするには1年単位もしくは四半期ごとの定量の目標を作ることももちろん必要ですが、その先に目指す定性的な目的があってこそ、そして、それらが一直線に並んでいてこその事業であり目標だと思うのです。

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定性と定量のジレンマ

(あくまで私見ですが)定量の目標設定とその検証に固執しすぎたばかりに日本の企業は力を失ったと上述しました。そんな観点から見れば、中長期的に企業の地力を高めるためには定性目標と定性評価に重点をおくべきだと言うことになります。しかし、基本的に目標は達成できたか、できていないかが明確に分かる方が良いに決まっていて、実際私も定量目標を立ててますし、面談時にその検証も行います。一見、定性と定量のジレンマに陥っているように見えますが、実はそうではなく、定量的な目標設定と検証は定性的な目的達成に対するマイルストーンというか、プロセスの一環だと私は捉えています。一般的には定性と定量は両輪と言われる様に並列するような認識で語られることが多いのですが、私の場合は定量は完全に定性の下部構造として捉えています。できることなら定性目標とその検証だけのビジネスにしたいと思っているのですが、現状ではそうもいかず、その実力を養うために定量的な目標設定を行っていると言う事になります。

風の時代へのシフト

昨年から世界は地の時代から風の時代に変わったとよく耳にしますし、私自身その時代の潮目を感じることが少なくありません。風の時代への変化とは目に見えるものから目に見えないものに価値の重点が移行すると言うことであり、定量的な評価から定性的な評価に世の中全体が変わったと言うことになります。言い換えれば、目に見える現象やプロセスではなく意図や目的こそが重要視される時代になったということです。これからスタートする第一四半期終了時の個人面談では理念「四方良しの世界の実現」やミッション「職人の社会的地位向上」についての定性目標と定性評価に留意しながら対話を進めていきたいと思います。先行き不透明で不安定な世界を生き残る為に。

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