2020.9-3先週から9月9日の「重陽(ちょうよう)の節句」にちなんで「菊」の話題
《始めの挨拶》
9月第3週の食とココロの処方箋。
だいぶ涼しくなって、秋の空気が感じられるようになってきました。
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
寝る時にエアコンがいらないのは快適なものですね。
暑さがぶり返す日もありそうですが、「暑さ寒さも彼岸まで」といいます。
今週末19日にはもう秋の彼岸入り、少しずつ季節が進んでいきますね。
この言葉には、文字通り「残暑も冬の寒さも、お彼岸の頃には和らいで過ごしやすくなる」という意味の他に、「どのように困難な事態であっても、やがては終わりが来て乗り越えることができる」という意味もあります。
ずっと続くように感じてしまう苦労や悩みにも必ず終わりがあること、つい忘れてしまいますね。
雨で日差しが少ないとちょっと憂鬱な気分になりがちですが、吹き飛ばしていきましょう。
~IZ Somewhere Over the Rainbow~
《コーナー①》
最初のコーナーは、今週の暦です。
一年を24に分けた二十四節気と、さらに三分割して72に分けた「七十二候」をご紹介しています。
二十四節気は、9月21日まで「白露(はくろ)」。
七十二候は、9月12日から16日頃まで「鶺鴒鳴(せきれい なく)」、セキレイが鳴き始める頃、17日から21日頃までは「玄鳥去(つばめ さる)」、渡り鳥である燕が南の国に飛び去って行く頃です。
セキレイ、ツバメ、鶏、ウグイス、スズメ、雁(がん)、鷹…、七十二候には鳥がたくさん出てきます。
今回の「玄鳥去」は、4月の始め、「清明」の頃の「玄鳥至(つばめ きたる)」と対になっています。
春は、ツバメがやってくる「玄鳥至」の少し後に、冬鳥である雁(がん・かり)が北へ帰る「鴻雁北(こうがん かえる)」。
秋になると、ツバメが南へ去って行く「玄鳥去」、その後に雁がやってくる「鴻雁来(こうがん きたる)」。
ツバメと雁が入れ替わりにやってくる、春と秋の風物詩です。
ツバメの別名は、玄米の「玄」に「鳥」と書いて「玄鳥(げんちょう)」と言いますが、玄は「黒」のことで、「黒い鳥」という意味です。
ツバメの尻尾のように裾が長く二つに分かれた上着を「燕尾服」と呼びますね。
ツバメの尾羽はオスの方が長く、長いほどメスにモテるらしいです。
飛んでいるツバメを見ても、速すぎてどれがオスかメスかも見分けがつきませんが、そういう目で見てみると面白いかもしれません。
渡り鳥というのは、何千キロも飛び続けたり、元の場所を覚えていたり、驚くべき能力がたくさんあります。
エサになる虫も飛びながら獲って、渡りの時期は睡眠も飛びながらとっているだろうと考えられています。
眠りながら飛んでいるのに迷わないなんて、人間には考えられないですよね。
人間は、しっかり睡眠をとらないと脳の働きが落ちてしまいますので、よく眠りましょう。
《コーナー②》
次のコーナーは、「四季折々の食事と健康」。
この番組では、「医食同源」をテーマに、日本の四季と、旬の食べ物・季節に合った食べ物を紹介しています。
先週から、9月9日の「重陽(ちょうよう)の節句」にちなんで、「菊」の話題です。
重陽の節句に飲む「菊酒」や、「食用菊」についてお伝えしました。
古くから薬草としても使われ、不老長寿のシンボルとされてきた菊。
解毒、消炎、鎮痛などの作用があり、中国最古の薬物書である「神農本草経」には、頭痛や目の病気を治し、延命効果があると書かれています。
漢方薬にも「菊花(キクカ)」として配合され、高血圧、頭痛、目の症状などに処方されています。
中国や台湾には、「菊花茶」という菊の花を乾燥させたお茶があるのをご存じでしょうか。
日本では、同じキク科の植物「カモミール」がハーブティーとしてよく飲まれるようになりましたが、同じ科の植物ということで共通する特徴があるようです。
たくさんの品種がある中で、薬用としてよく使われるのが「杭菊(こうぎく)」。
やはり目の疲れに良いとされ、パソコンなどで目を酷使する現代にも人気があるようで、同じく目に良いというクコの実も一緒に入れて飲んだり、ウーロン茶やプーアル茶など茶葉とブレンドして飲んだり、健康茶としても人気があるようです。
とある眼科医院のHPで、眼科専門医の方が菊花茶を勧めているのを見つけました。
症状によっては医療機関に行った方がいいこともありますが、セルフケアをすることはとても大切です。
早速、取り寄せて飲んでみました。
「杭菊」は、中国の浙江省にある杭州が有名な産地ということで、杭州産のものと、初めてなので飲み比べてみたくて台湾産のものと、2種類を飲み比べ。
どちらも、白い杭菊です。
袋を開けると優しい甘さが漂ってきて、この香りを嗅いでいるだけでも疲れが和らぐような気がします。
どちらも優しい香りですが、どちらかというと杭州産の方が華やか、台湾産の方が柔らかい香りという印象でした。
味は、香りほどの甘さはなく、すっきりと飲みやすく、ほのかな苦みが感じられます。
やはり、同じキク科・カモミールと似たところがありました。
もう一つの菊の花の楽しみ方。
それは、安眠枕として歴史のある「菊枕」です。
干した菊の花を枕の詰め物として使うというものですが、それだと何百輪もの菊が必要で、日常で試せるものではありません。
代わりに、匂い袋のように布の袋に菊花茶を入れて香りを楽しんだり、少し温めてアイピローにしてみるのはいかがでしょうか。
ストレスや緊張で眠れない時、リラックスしたい時などにお勧めです。
ぜひお試しください。
「食とココロの処方箋」は東京23区エリアと中心としたレインボータウンFMで毎週火曜18:50〜19:00にオンエア中です。
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