洗濯と石けんと食器洗いの話
Twitterを開いたら、洗濯家の中村祐一さんのツイートがリツイートされてきました。
私自身が洗濯に関して過去に困り、戦い(まさに戦いでした)、調べまくったことと完全に一致したので、こちらでもシェアしようと思います。
新婚当初張り切って買ったドラム型は、長い戦いの末、全く故障していないにもかかわらず引っ越しを機に廃棄、現在は縦型にて平和な毎日を送っています。
「日本の」「節水型の」ドラム式洗濯機と、洗剤と、洗濯方法の、何が問題かは内容は中村さんの一連のスレッドを読んでいただくとして、洗濯=汚れ落としの基本的な考え方は、台所における、食器洗いにもそのまま応用できます。すなわち、洗剤を使って汚れをしっかり包みこむ、水をつかって十分に洗い流す。一方で、台所洗剤が謳う機能性の影で、その基本が抜け落ちている人も少なくないのではないかなとも思いました。
結論から言います。
汚れ落ちの良さで言えば、古典的な石けん(固形石けん、粉末石けん)が一番です。例えばこの生地のトップ写真につかった、どこにでもあるテフロン加工の鍋も、現在の主流品である、台所用コンパクト液体洗剤では、油の膜のようなものがどうしても落ちませんが、粉石けんを少量の湯でしっかり泡立てて、たっぷりのお湯で一気に洗い流せば、驚くほどつるつるになります。鍋はもちろん、換気扇だってなんだって石けん一つでまかなえます。なんて素晴らしい。石けん大好き。
ただし、石けんのこの特性は裏を返せば弱点でもあります。とにかく、水(お湯)をたくさん使う。使わないとうまくいきません。
先にさらっと書きましたが、石けん洗いの際は「たっぷりの」「お湯で」「一気に」すすぐ、というところがポイントで、ここが抜けると、全く汚れが落ちないどころか、石けんの脂分で再汚染されてしまうという結果になってしまいます。よく言われる、石けんはベタベタする、汚れが落ちない、という誤解の所以ですね。
つまり、汚れ落ちという点から言えば素晴らしい特性を持っていても、水の節約という観点から言えば、エコではないんです。排水溝に石鹸カスや油の塊みたいなものが残ってしまうこともあります。
私が生まれ育った街は、時代のせいもあったと思いますが消費者運動が盛んで、かつ、大きな河の流域にあったので、水質を汚してしまう合成洗剤ではなく、石けんを使おうという運動が盛んに行われていました。お中元やお歳暮で合成洗剤を貰って「しまったら」市内のデパートや小売店に持っていけば石けんと交換してくれる、そんなシステムすらありました。
今の合成洗剤は改善されているのだと思いますが、70年代〜あたりは、下水処理の問題とも合わさって、洗剤による水質汚染が深刻視されていたのです。私自身、近所のアパートの洗濯機から、直に外の溝に流される排水が、ぶくぶく泡立っていた今となっては異常な光景をよく覚えています。
そんなこともあって、私自身は石けんを選び、その良さを理解するに至ったわけですが、時代を経て、エコにもいろいろある、一方での環境への優しさ(汚れ落ち、水質への影響)が、一方では悪影響(水量)を与えていることにも気づくようになりました。
これは、なんとも現代的な課題だと思います。環境保護と一言で言えば聞こえはいい。でも、何をもって保護というの?私たちの生活水準はどうやってキープするの?おそらく人間が野生動物ではない限り正解はなく、一人ひとりが考え、バランスを問うていくしかないのでしょう。
実は、料理教室をスタートした当初は、汚れ落ちの良さから、食器用にも石けんを用意していました。が、実際やってみると、この「洗い方」の共有からスタートしなければならないことに気づきました。(レッスン時の洗い物は生徒さんにお手伝いいただいています)
そりゃあそうですよね。ほとんどの人は、台所では、台所用液体洗剤を使っているんですから、すすぎかたの特性など気にせず、普段と同じように使うのは当たり前のことです。
で、少し考えた上で、今は普段は市販のコンパクト液体洗剤、不定期に、しっかり汚れを落としたいときだけ、お手入れ的に石けんをつかう、という方法に落ち着いています。
正しい洗い物の方法も指導します!というレッスンもありだったかもしれませんが、生活指導がやりたいわけではないですし(笑)、先程も書いたとおり、実際のところ正解はない、一人ひとりが、自分の生活の在り方とセットで考えていくしかない問題だと思ったからです。
ただ、基本的な知識をもって、その時々にフィットした方法が選べるというのは、大きな力になります。
中村さんのように活躍されている方の発言で、今まで違和感を感じつつも無意識にやっていた作業を自分スタイルに組み直す。そんなきっかけが生まれたらいいなと思いました。
ちなみに、台所で使っているのは洗濯用粉石けんです。石けんは石けんなので、○○用というのは無視して大丈夫。
石けん分濃度は汚れ落ちと関連があります。液体石けんは全体に薄め。その他の成分は、石鹸カスなど、先程も書いた石けんの弱点を抑えるための添加剤です。石けんに関しては、必ずしも無添加がいいというわけではないそうですよ。
あ、ちなみに、私は食洗機もがんがん使います。節操なくそのときにいいものを使うスタイルです(笑
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