はたはたといふさかな

はたはたといふさかな
うすべにいろの はたはた

小学校の教科書に載っていた「はたはたのうた」(室生犀星)という詩が出会いだったと思います。関西に住む子どもの私にとっては、見たことも聞いたこともない魚で、「はたはた」という口に出すのが面白いその音と、「うすべにいろ」というロマンチックなイメージだけを記憶にとどめていました。

その後、一度くらいは食べたような気もしますが、自炊するようになった後に近所のスーパーで見かけて思わず購入。慌ててその料理の仕方などを調べたものでした。

今日はハタハタが大漁だったようです。朝、仕入れに市場に出かけると、あちこちの魚屋でハタハタが大安売り。元々高い魚ではないですが、トロ箱一箱300円とか、魅力的ですがさすがに使いきれません。割高ではありますが、一盛12−13匹100円のものを二盛、ランチのために買いました。
少なくとも関西ではいつもある魚ではないのに、あるときには大安売り。よほどの大群で移動するんでしょうか。

小ぶりで、可食部も少ないのですが、とても美味しい魚です。ランチで使うのは2度目ですが、見慣れないのに美味しいとあってか「これ何の魚ですか?」と何人もから聞かれます。

一夜干しや、焼き魚にもするようですが、最初に料理の仕方を調べたときに印象的だったのが「塩茹で」。魚料理が浸透している日本ではありますが、「塩茹で」というのはあまり一般的ではありませんよね。醤油や味噌を使うことがほとんど。さらに面白いのが、この塩茹で、「はたはたの身が反り返って骨が折れるのが茹で上がりの目安」といいます。
どういうこと!?と思いますが、実際料理してみると納得。びっくりするくらい身が柔らかくて、骨もすぐ折れてしまうのです。こんなので自然界生きていけるの!?とつっこみたくなるほどのやわさ。

今日は塩茹でのイメージも持ちつつ、生姜とごくごく薄味の醤油味で煮てみました。骨が折れるまで待つままでもなく、あっという間に火が通って反り返っていくはたはた。
盛り付けるときに箸で持ち上げると、完全に2つに割れてしまうので、少々難儀します。

もう少し買ってもよかったかなぁ。一人2匹〜3匹の割当となってしまいました。そして、やっぱり美味しかった。

鱗もなく、内蔵さえ取ればそのまま気軽に料理できます。
身が小さい分骨が目立ちますが、身離れが良いので、食べにくいということもないです。見かけられたらぜひ、試してみてください。


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