見出し画像

初めての先導

三重大学生物資源学部のしょーきです。こんにちは。

7月10・11日に行われた自然環境リテラシー学Bチーム第1回にリーダーという立場で参加しました。このカリキュラムには去年も参加したので今年で2年目で、今年は去年に学んだことを生かして学生たちを導いていくことが主な役割です。この記事では、何を行い、何を学んだのかを書き連ねていきたいと思います。

今年と去年の最も違うところ、それは事前準備が必要ということです。誰が何を説明するのか、どうやって説明するのか、実習を行うにあたって注意すべきことは何なのか、などの事柄をきっちり定めておく必要がありました。幸いリーダーは一人ではなく優秀な他のメンバーとともに作業をすることができたため、実習日までに準備を済ませることができました。みんなありがとう。「正直この段階が一番しんどいんやろうなぁ。あとは説明してカヤック漕げばいいもんなぁ。」と、この時の僕は思っていました。ええそうです、思い上がりです。この後にどんなにしんどいことが起きるかも知らずに。

そんなこんなで実習日当日の7月10日。学生たちよりも一足先に現地に到着してまず行ったのがカヤック装備の準備やタープ立てです。カヤックを海辺まで運んだりタープで日陰を作ったりして、これからリテラシーが始まるのだと気分が高揚していました。そして学生が到着し、ガイダンス、自己紹介、レクチャーと、予定されていた通りに事は進み、ついにカヤックに乗る時がやってきました。

昼食後、全員がカヤックが置いてある浜に移動し、カヤック・PFD(パドリングスポーツ用のライフジャケット、Peasonal Floating Device)・スプレースカート(カヤックのコクピット内に水が入らないようにするもの)・パドル(カヤックを漕ぐためのもの)の説明を行い、ついに出艇!夏の暑い日に冷たい海に入るのは爽快以外の何物でもなく、一気に気分は最高潮に達しました!でも、浮かれてばかりいられないのが今回の肝で、学生たちを導かなければなりません。

画像1

初めてのカヤック指導は面白い半分、大変半分の印象を受けました。まず、前漕ぎ、後ろ漕ぎ、方向転換の練習を行い、その後に一列に並んでカルガモ漕法、そして船団を組んでちょっとしたツーリングをして一日目のカヤックは終了しました。自分ともう一人のメンバー(以下バディとします。)が前を引っ張り、その後ろに学生が入り、一番後ろにメンバーの一人が見守る形で指導を行いました。主に指導するのは僕の役目だったのですが、事前に何の練習をするか、どのように練習するかを明確に決めていなかったのが一番の反省点でした。間延びしないように次々と練習内容を学生に呼びかけて行うことはできたのですが、本当にこの練習が最適解なのかなど、不安感を持ちながら指導を進めてしまいました。不安感は極力他の人に伝わらないようにしていたのですが実際はどうだったんでしょうか…下のスクショは一日目に漕いだカヤックの軌跡とその距離です。初めてのカヤックに妥当な距離だったと思います。

画像4

画像3

一日目のカヤックが終わって陸に上がり片付け、着替え、テント立て、夕食を済ませ夜の振り返りの時間が来ました。自然環境リテラシー学では各自の今日の感想を1分間で話す1分間スピーチというものがあり、それを聞くのは僕のひそかな楽しみでもあります。学生たちの主な感想はカヤックのことであり、上手くいかなかった、疲れた、といった意見もありましたが、ほとんどの人が楽しかったと言ってくれたのはシンプルにうれしかったです。これで一日目は終了し、波乱の二日目に突入します。

画像3

二日目の起床時間は5時30分で、朝に超弱い自分からするとなかなか酷な目覚めになりました。朝食、朝のレクチャーを終えて二日目のカヤックが始まりました。二日目の目標は、船団を組んで座佐の浜までのショートツーリングを行い、帰ってくることです。海上で軽く今日の天気や干潮・満潮の時間を確認したらついにスタート!幸運にも往路では目立った危機もなく、順調に進めることができました。漕ぐスピードが速すぎたりした時もあったそうなので、それは復路で調整しなければいけないところではありました。座佐の浜に上陸して昼食を食べ、出艇前にナビゲーションの講習を行い、とうとう帰るだけとなりました。と、思っていました…

画像5

想定していたより時間が余ったので先生から一つの提案がありました。エクストラとして本来の予定ではないが湾を挟んで反対側の浜の近くまで行ってみようというものでした。それを聞いた時、正直学生の体力的に行けるのか不安はありましたが、せっかくなので行ってみたいと思い、その浜を目指して出艇しました。まっすぐ行くだけなら特に問題はないのですが、湾を横断中に太平洋からのうねりが入ってきたために初心者には少し厳しい海の状況となってしまいました。そんな中、学生の一人が転覆してしまいその子の合流を安全な場所で待機する時間ができたのですが、この時間が個人的には二日間の内で一番辛かったです。波がある場所で待機するのは酔っていない人にとっては何ともないのですが、酔い始めている人が待機してしまうと酔いが進んでしまうのです。自分は乗り物に非常に酔いやすく、この時間に酔いが進んでしまいました。学生の中にも同じ状況の人が出てきてしまい、どうしようかとおろおろしてしているうちに出発することになり、何もできなかった無力感が残ってしまいました。

画像6

大変なのはここで終わりません。船酔いをしたまま先導して帰らなければいけなかったのは本当にきつかったです。バディも同じく船酔いをしてしまっていたため、酔いを醒ますために二人で歌を歌うことにしました。こんなので本当に酔いが醒めるのかと懐疑的ではありましたが、歌っている時間はとても楽しく、しかもみるみるうちに酔いが気にならなくなっていったため、これは大成功だ!と思いました。が、自分のことに気を取られすぎて後方の学生たちに目を向けるのがおろそかになってしまい、ガイドの森田さんに怒られてしまったのは反省点です。原因は後方の監視を怠ったことでのリスクをきちんと分かっていなかったことで、改善すべきところは、自分は後方の学生を率いているんだという自覚を持つことだと感じました。後方の監視と酔い醒ましを両立する方法を考えとく必要がありそうです。とはいえあの場面で完全に酔ってしまって漕げなくなるという最悪の事態は避けることができたのでバディには本当に助けられました。ありがとう!こんな感じで苦戦しつつも復路を漕ぎ終え、上陸することができました。

画像7

上陸してから、着替え、テント撤収、片付けを行い、二日目の振り返りを行いました。今日はマイナスな意見が多いかなと覚悟をしていたのですが、思いのほかポジティブな意見が多く、特に昨日に比べて上達したのが分かって楽しかったという意見が多く見受けられたため、苦労してでも導いた甲斐があったと思いました。振り返りが終わると学生を送り出してから片付けをして解散となり自然環境リテラシー学Bチーム第1回は終了となりました。

画像8

初めて先導をした率直な感想は、「去年と全然ちゃう!」です。去年はある程度敷かれていたレールの上を進んでいくのがメインでしたが、今年は自分でレールを引いていかなければならないのが大きな違いだと感じました。カヤックの場面だけでも、自分の判断で後ろの船団のすべての動きが決まると思うと下手な行動はできないし、かといって時には大胆に行動しないといけない場面もあるしで、とにかく常に頭を働かせなければならなかったというのは想像以上にきついものがありました。とはいえこの二日間を通じて周りを見る目はかなり養われ、とっさの判断をする力も培われたと思います。この経験を糧にこれからのリテラシーも張り切っていきたいと思います!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?