初級卒業生に必要な知見(30)織り込み済みって、どういうこと?

良い情報、悪い情報、それらが株価に反映していることを、「織り込み済み」という

ニュースや情報が新聞・TV・ネットを通じて公開されると、数日間でその情報は株価に反映される。

その後にその情報に始めて接する人にとっては「えっ、それはスゴイ!/ それは酷い」というサプライズ情報かもしれないが、市場や株価にとっては「織り込み済みの無価値情報」である。

図を使って説明すると・・・・

今期+15%増益、来期+17%増益という予想が1か月前に発表され、それは今日の株価には全て反映している。だから、追加の情報が無い限り株価は動かない

今日、そのニュースを読んで「これは良い会社を見つけた、明日以降の株価は上昇するだろう」と思って投資しても、株価は動かない。良い情報は株価に反映済みなのだ

企業からの追加情報が無くても株価が動くことに関しては、初級2で解説していますが、ここでは書ききれないので本日は割愛します

この織り込み済みの状態に対して・・・
今期+15%増益 → +17%増益、
来期+17%増益 → +18%増益、
という会社発表ニュースが流れてくると、下図に示された差額増加分だけ株価が上昇する。そして、その上昇も数日で終了する

もう少し詳細に解説すると、今期予想と来期予想に上方修正があった場合、今期・来期の変化度合いに応じて、追加情報発表後にPERが変化する

上方修正後に、来期増益率の方が低くなってしまう場合はPERが低下する
上方修正後に、来期増益率の方が高くなる場合はPERが上昇する

という傾向になる

下図を使って具体的に解説すれば・・・

左側は、

(1)今期増益率が、+15% → +17%に上昇しているが、

(2)来期増益率は、+17% → +15%に低下している

このような場合は、(1)を織り込んで、EPS増加に対応した分だけ株価は上昇しようとするが、(2)を見た投資家が将来懸念を持つので、PERがそれまでよりも下がってしまうので、(1)による株価の上昇は、EPSが上昇した程には上がらない、という事になる

右側は、

(1)今期増益率が、+15% → +17%に上昇しているが、

(2)来期増益率は、+17% → +20%に増加している

このような場合は、(1)を織り込んで、EPS増加に対応した分だけ株価は上昇しようとするが、(2)を見た投資家がこれまで以上に将来期待を持つので、PERがそれまでよりも上昇するので、(1)による株価の上昇は、EPSが上昇した以上に上がる、という事になる

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