【日本のクラフトジン】橘花ジン KIKKA GIN(油長酒造株式会社大和蒸留所)
名作「風の森」を醸す油長酒造による、大和の柑橘と生薬の香り高いジン
少なくない日本酒の若手造り手が、大きな影響を受けた日本酒として名前を上げる、油長酒造の「風の森」。
それまでの、お酒臭くて、アルコール度数が高く、キツイ、という「おじいちゃんが飲んでいた日本酒」のイメージを大きく覆し、「フルーティな香り」「舌先には軽い微発泡感さへ感じ」「味わいは極めて軽やか」という、革新的とも言える新しいスタイルは、日本酒のイメージを大きく変えました。
この「風の森」を醸す油長酒造が、奈良の風土から生まれた柑橘や生薬をボタニカルとして使って仕上げたのが、この「橘花ジン」です。
「ジン」って、なに?
世界4大スピリッツのひとつです。大麦、ライ麦、とうもろこしなどの穀物類から作られたグレーン・スピリッツに、ジュニパー・ベリー(セイヨウネズの実)を基本に、その他、土地の風土を映し出すボタニカル(草根木皮)で香りづけをしたものです。
ジュニパー・ベリー以外のボタニカルになにを選ぶのか・・・。ここに、造り手の個性が出てくるんです。
この「橘花ジン」では、ベースにコメを原料としたライススピリッツを、そしてボタニカルには、「大和橘」「大和当帰」が使われていて、このジン特有の香りとほろ苦みをもたらしています。
「永遠に香っている果実」:大和橘
「大和橘」、初めて聞く名前でしたが、もともとは「永遠に香っている果実」という意味の「非時香菓(ときじくのかぐのこのみ)」という和名をもつ日本固有の柑橘。
「時間軸がいつまでも続いて終わらない」という「永遠」と表現するのに「非時」という字を当てているのは、とても興味深いですね。
不老長寿の実と尊ばれ、垂仁天皇の名により大和に持ち込まれたそうです。
日本古来の生薬:大和当帰
日本では古くから生薬として用いられ、日本書紀にもその名前が見受けられるそうです。
漢方薬では主に根っこが使われるそうですが、この「橘花ジン」には葉っぱが用いられています。
清涼感のある香りが、和柑橘の爽やかな香りをさらに引き立てます。
香りを楽しむには、ピノ系のグラスもありかも
「橘花ジン(KIKKA GIN)」 その香りは、これまで楽しんだどのジンよりも、儚げで、重心が軽く、鼻へとスーッと立ち昇るような、和柑橘の薄皮にある苦味も含むような清々しい香り。目の前にある果実のストレートな香り、というよりも、視界にはないどこかにある果実の香りが、澄んだ微風にのって運ばれてきたような、透明感のある香りでした。
大和人が「永遠に香っている果実」と名付けた果実の香りを「GIN」という形で蘇らせた名作です。