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ビューティフルピープル

僕は朝40分ほど同じ電車に乗る。
時間も早い、7時台。
座れるか座れないかは運次第。

趣味は人間観察。
が故にオシャレな人、綺麗な人、覚えてしまう。

以前朝帰りした時に渋谷発の下り電車で1人の女性を見た。
綺麗だった、孤独で知性を感じるタイプの。
寝ぼけ眼で、うっすらとした記憶だが覚えた。

そしてその女性が朝、同じ上り電車にいた。

ここからはあくまで限りなく犯罪性のない健全な人間観察の範疇で考えてほしい。
映画「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」にて福士蒼汰演じる高寿くんが、小松菜奈演じる福寿さんに電車内で一目惚れし、次同じ電車で会ったら声をかけよう、という素敵な冒頭シーンがある。
つまり、ごく普通のことだ。


僕もふとその女性を見て、次また会ったら声をかけてしまうのかと思った。
もちろんしないけど。

そんなことを考えていると、偶々隣の席が空いた、凄まじい運の良さ。
僕はいつも通り睡眠時間の確保に必死になるが、その女性のことを考えて寝るに寝れなかった。

その日はさらに魅力的に見えた。
ボストン型の黒いメガネ、なぜかピンク色の有線イヤホン、beautiful peopleのトートバッグ、スニーカーは古着屋で買ったっぽいオールスター。beautiful peopleってすごい大衆的な雰囲気もむしろ良かった。

目を覚ますと隣にいたのはおじさんだった。
寝てたのか、幻だったのか。
美しかった。

全然笑わない黒髪の小芝風花ちゃんみたいな。

駅を降りると、振袖姿の大学生たちと桜が見えた。ああ、もう春か。
ほんまビューティフルピープルやね。

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