#読書会の後に ルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』-お世話になっております
読書会の後で考えたことを書いてみる。本の内容とはあんまり関係ないことが多いと思う。
この本を選んだ理由の一つとして、最近話題のケアについて考えて見たいということがあった。
なんで、みんなケアについて考えてしまうようになったのか。ケアそのものよりも、この現象に私がずっと興味があった。
よくビジネスでは、「お世話になっております」という。社内でも社外でも通用する便利なフレーズ。私は社会人になってからずっと疑問だった。お世話になってることを伝えて何になるんだろう。お世話になってることを感謝してるんだったらありがとうございますがいるはずだ。
『掃除婦』の本は、お世話する人の視点で、される人のことを描いてる。ただ、多くの場合そのお世話をされてる人はあんまり感謝していない。むしろ、鬱陶しいと思ったり、空気のような存在として、お世話になっていることに気づかない。剥き出しの言葉でそれが淡々と描かれている。
それは、まさに、上に書いた「お世話になっております」から「ありがとうございます」という感謝がないような状態なのである。
エッセンシャルワーカーという言葉が、ちょいちょい見かけるようになった。あれもちょっと不思議だ。わざわざエッセンシャルだと言わなくても、いいのにと思う。わかっているはずのものを、言わなくちゃいけない。それは、普段からお世話になっていることを意識の外においてしまうからなのだろう。無意識のうちにケアの存在は、忘れられる。だから、お世話になってることを忘れないようにみんな口癖にしなきゃいけないのかもしれない。
最近まで私は、いつもお世話になっておりますをどんなメールでも使える便利なフレーズと思って、多用しまくっていた。けどこだわりを変えて、メールのテンプレからいつもお世話になっているという言葉を使わないようにしている。
だって、お世話になっていることは当たり前の事実なのだから。それよりも、お世話になっていることへ感謝のために、「ありがとうございます」と書くようにしてる。
そんなこだわりがなんなんだ思う人もいるかもしれないが、自分にとってはちょっとした変化だったりする。
次回読書会は、アシモフの『はだかの太陽』を読みます。よかったら、ぜひ。
【7/9, Sat.】小説読書会 #70 アイザック・アシモフ『はだかの太陽〔新訳版〕』【オンライン, 14:00-】
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