【相棒】元日スペシャル その1
「恒例行事」それは何年経ってもマンネリ化することなく、生活に根付いたもの。
相棒ファンにとって、一年のスタートを相棒で迎えられる元日スペシャルは人によっては初回拡大放送や劇場版以上に心待ちにされているイベントだ。
本来、犯罪を描く刑事ドラマを新年早々、放送するというのはミスマッチな組み合わせのように感じるが、相棒は元日に視聴しても雰囲気を損なわないエピソードを選定し10年以上に渡って放送を続けていることから本作が如何に幅広い層から指示されている作品なのかが伺える。
今回はその中でも亀山期のエピソードをご紹介
【汚れある悪戯】
season4から放送を開始させた相棒元日スペシャルの記念すべき第一作“汚れある悪戯”
銀行員の女性が誘拐され身代金を要求される事件が発生。
悠長に条件を提示する誘拐犯“須佐之男スサノオ”。彼の目的は金銭とは違うところにあるようだ。
後手後手に回る警察の対応によって5億円を失ってしまった上、未だ逮捕には至っていない。その後、人質は無事生還、しかし人質の状態と証言から人質自体に疑惑の目を向ける右京。
例のごとく捜査を外されている特命の2人はインターネット掲示板で同ハンドルネームによるスレッドを発見し独自のルートで捜査を進める中、同一犯による同様の誘拐事件が発生してしまう。今度の人質は財閥の御曹司。そして今回は被害者が還らぬ人となってしまった。
本エピソードは自分とは対照的な人間に惹かれ、頭では互いにとってよくない関係だと認識しつつも理性を押さえられない、愛情が愛憎へと化してしまったカップルを描き、その動機は誰しもが同情しうるものでした。
【バベルの塔】
大晦日、警視庁のいつもの面々が仕事を納めようとしている最中事件が発生する。ある政治家主催の年越しパーティーにて小野田の命により政治家「冨永」のボディーガードを強いられた特命の2人。
冨永は過激派左翼に命を狙われているとのこと。特命のほかにも特命同様冨永の警護を務める元刑事の楓という女性が1人。彼女が仕事に耳の不自由な娘「はるか」を連れていることから、冨永と婚約関係にあると察する右京。そんな楓の前にはるかにプレゼントを届けに元夫「和久井」が現れる。
その頃、はるかが何者かに誘拐されてしまった。犯人は楓に冨永の抹殺を指示する。娘を救うべく拳銃片手に単独でパーティー会場へ戻り冨永抹殺の意を決した楓。しかし計画は失敗、楓は逃走を図る。誘拐犯の指示によるパーティー会場へ再度戻りウェイトレスを人質に冨永を要求する楓。
そして警察サイドでは昇進が掛かった大河内が決断を早まり、楓の射殺許可命令を下してしまう。
事件の行方は
ラスト
まるでバベルの塔の如く天空にそびえる超高層ビルを見上げる右京「昔、世界の言語は1つだったそうです。人々は高い塔を作って住もうとしましたが、神の怒りに触れ、言葉を通じなくされました。お互いを理解できなかった人々は散り散りになったという話です。ところが今日、言葉をしゃべらない少女によって、バラバラだった家族の心が1つになりました。」
相棒初期に度々名が挙がる過激派左翼「赤いカナリア」その重要人物である本多篤人(あつんど)初登場回でもある。
ココリコ・遠藤さんの熱演が見られる貴重な作品。
劇場版に匹敵するほど事件の規模が大きいものの被害が極めて小さい点が印象的なエピソード。
【寝台特急カシオペア殺人事件】
舞台は高速で運行する寝台特急カシオペア。一種の密室殺人である。
ある事件の重要参考人を寝台特急カシオペアで護送することとなった特命の2人。しかし走行中の車内で殺人事件が起こってしまう。
容疑者は乗り合わせた9人。
皆、何かしらの事情を抱えているようだ。
時を同じくして起きた複数のトラブル、そして未来起こりうる事件を解き明かす右京の推理が小気味良く冴えに冴えた心地よい作品。
「生きてない、死んでないだけ。」という某ゲーム内の台詞に私は衝撃を受けた。
止まってしまった時間を動かすも動かさないもあなた次第。
このエピソードは定番の設定を舞台にミステリー色が強く、また随所に伏線と思わしき小ネタをちりばめた私のお気に入りのエピソードのひとつ。ただ、カシオペアパートで完結させてもよかったのでは?と余計な一言を添える。
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