見出し画像

第1回INSEADでの学び(2024年4月から2025年3月まで)を綴ります。



なぜ47歳になって学ぶのか?

私は現在47歳。早稲田大学ビジネススクールでMBAを取得したのは、2005年3月であるからもう今から20年も前のことになる。

当時は主流のカリキュラムで多くのことを学ばせてもらい、これまでのキャリアに十分に活かすことができている。MBAに行かなければ、日産自動車で働くこともなかっただろうし、日産での数多くのプロジェクト参画、優れた上司、同僚との出会い、海外勤務経験なども得られなかったことは間違いない。MBAで学んだことをフルに活かしすことができた。その意味では、20年前の自分の決断は正しかったと言えるし、これによって自分の人生は大きく変わったと言える。

1つ目の理由

一方でMBA取得から20年を経過して、社会環境と自分の状況が変わってきたことをこの数年強く感じるようになってきた。明らかに20年前と違う点がいくつかる。ひとつには、物事を決断するときに視点がより長期的な視点、非財務の視点が求められるということである。

20年前のビジネススクールで考えたこと、教わったことはどうやって競争に勝つか、競合と差別化し、優位なポジションを自社がどのように築くのか?に力点が置かれていた。もちろん今現在においてもこのポイントが重要であることは1ミリも変わらない。しかしこれだけでは足りないようになってきている。よりストレートに言えば、儲かる(結果)のは当たり前、どうやって儲けているのか(プロセス)も大切ということである。

これには、環境問題、人権問題の重要度の変化がある。これまでは公平な競争をフェアと考え、勝者が繫栄し、弱者が滅ぶというルールである。しかしながらこの競争のルールが環境であったり、そのビジネスに携わる人の権利、犠牲の上に成り立ってきたともいえる。これらが現在SDGで唱えられているポイントである。つまりは、競争に勝つ、儲けるというだけでなく、そもそも競争はどうあるべきか、この競争原理のまま続くと、世界はどうなっていくのか、社会、世界は良くなっていくのかという視点にも配慮しなければならない。こういう観点から考えること、決断を迫られる場面が実務上でも増えてきているというのがもう一度学び直す必要があると考えた1つ目の理由である。

2つ目の理由


2つ目の理由は自身のポジション、立場の変化である。20年前は私はまだ何の職位もない、20代の若者だった。これからのキャリアをどう形成していくのか、どういうビジネスプロフェッショナルになるのか?ということを模索していた。そのような時期にMBAはピタリとはまる教育環境であった。実際に経験するのはまだまだ先になるような経験をバーチャルではあるがケースメソッドを用いて数多くの意思決定、理論をMBAで学べたことは大きな学びになった。今でもMBAを取得する一番の理由は何かと聞かれた、MBAに行かなければもう10年しないと経験できないような学びを10年前倒しで勉強できることであると私は回答する。

私は現在、年商130億円、社員数350人を超える中小企業、十全化学株式会社(juzen-chem.co.jp))の取締役になり立場が20年前とはだいぶ変わった。通常の業務で取締役会、株主総会、株主の方との打ち合わせもあるし、経営者同士の打ち合わせ機会も増えている。さらには、よりロングタームでの意思決定を求められる機会も増えてきた。さらには、日産時代は、自分の担当しているビジネスがどうあるべきかという視点で判断していたものが、今は会社としてどうあるべきかという視点に移っている。このように、一段高い視点で経営に携わっている現状があり、この意味からも今一度学び直す必要があるのではないかと考えたのが2つ目の理由である。

3つ目の理由

早稲田ビジネススクールを修了して、これに対しては満足している。学んだ内容、そこで得られた人間関係、MBAが切り開いた私の機会は十分に納得している。しかしできることであれば行ってみたかったのは海外のMBAである。これは私に限らず国内MBAホルダーの多くの人が同じだ意見であると思う。諦めた理由があった。

20年前の私が持っていなかったものが2つある。
・お金
・英語力

社会人歴3年の私には、海外MBAの学費と生活費を負担する貯金はなかった。実際には国内MBAも私費で、かつ会社を退職して、貯金を切り崩し、さらには奨学金を利用しながらMBAを取得した。本当にお金がなかった。いまから2年前にMBA時代に借りた奨学金を全額返済できた時は、とても嬉しかった。そして、20年前と比べれば給料も、貯金も増え、今なら海外MBAにチャレンジできる、1つ目の条件は整った。

次が英語である。当時の私の英語力はTOEIC800点レベルである。MBA取得後に日産自動車を選んだのは、世界を舞台に仕事をしたかったからである。日産では業務上、英語を使う頻度がとても高かった。担当した業務、上司、同僚に外国籍の方が多いだけでなく、社内の公式資料、公式会議の多くが英語(英語がメインで、日本語がサブ)という環境で仕事をしたので、英語力もだいぶ伸びた(英語力の向上についてはまたどこかで話すかもしれない)。TOEICも940点を取得し、英検1級も取得できた。以上より、2つ目の条件もクリアできた。

海外の名門大学で学びたいけど、学ぶ機会はないのかなと、無意識のうちに20年間、思いながら生きてきた。そして仕事の関係でこの1年、海外MBAを経験されている日本人の方と接点が増えて、あらためて、海外ビジネススクールを考える機会が増えてきたのである。

そして、20年前に、海外ビジネススクールをあきらめた2つの条件をクリアしている自分がいることに気が付き、選考プロセスを通る自信は全くなかったけれども、申し込んでみようという気になったのである。

これが始まりです。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?