中盤のコツ 長所を生かして短所を補おう〜最速で初段になる将棋戦術〜
今回は、序盤から中盤にかけての戦い方のコツについてお話ししていきます。
長所を生かして短所を補う
序盤から駒組みが進んでくると、お互いが同じ形でない限り、自分と相手を比較すると、相手より勝っている部分や相手より劣っている部分が出てくると思います。
玉の固さ、攻め駒の数、駒の損得、位を取っている/取られている、大駒の効きなどいろんな要素で比較できます。
まずは自分の長所、短所を把握して、
長所を生かす
短所を補う
という手を考えるのが中盤のコツです。
陣形の違いの例
具体例を見てみましょう。
こちらは、居飛車対向飛車の局面です。
居飛車
長所:玉が敵陣から遠い、固い
短所:駒が偏っている(駒を打たれる隙がある)
振り飛車
長所:自陣のバランスがいい(駒を打たれる隙がない)
短所:玉が薄い
と考えられます。
居飛車が長所を生かすとすると、より自陣に手を加えて、玉形で相手と差を広げるという方法があります。
短所を補うとすると、金銀を右に寄せていくことになります。ただし、玉の固さが失われるのでこの局面は微妙かもしれません。
振り飛車が長所を生かすとすると、駒の交換、特に飛車の交換をして、自分だけ相手の敵陣に飛車を打つという方法があります。
短所を補うとすると、右の金を左に持っていき金銀3枚の囲いを作るという方法になります。しかし、金銀3枚にしたいのであれば金を3二ではなく5二にあがっておくべきなので、この局面ではあまり良くないでしょう。
居飛車は囲いの整備をしたい、振り飛車は戦いを起こして飛車交換したい、この主張がぶつかって争いが起こることになります。
振り飛車は△2四歩から飛車交換を狙って攻めるでしょう。
居飛車は玉形で差をつけたいので、まだ自陣整備をしていたいです。戦いを起こしたくありません。
なので、△2四歩に対しては▲同歩△同飛と交換を迫ってくる手に対して、▲2五歩として飛車交換を防ぐのが良い手になります。
これには後手も飛車を2二か2三に引くしかないでしょう。
ここから、後手は戦いを起こしていく手を考えていきます。
・△3五歩〜△3四銀
・△1四歩〜△1三桂
・△4五歩から角交換
など
先手は、後手の狙いを丁寧に受ける戦いになります。
・▲3六歩〜▲4六歩〜▲3七桂
など
このようにお互いが狙いを持ちながら中盤を戦うと、互角の白熱した戦いが繰り広げられることでしょう。
駒得の例
別の例も見てみましょう。
相掛かりと呼ばれる戦型のとある局面です。
長所と短所を考えてみましょう。
先手
長所:2歩得
短所:銀が立ち遅れている(手損)。飛車の位置が悪い。
後手
長所:銀が前に進んでいる(手得)。飛車をいじめやすい。
短所:2歩損
後手は手得を生かしてすぐに相手陣へ攻撃を仕掛けたいです。
駒の損得が形勢に与える影響は、中盤、終盤と進むにつれて薄れていきます。なので戦いを起こしていきたいところです。
ゆっくり駒組みを進めて序盤戦を続けていくと、お互い同じ程度の陣形になっていき、後手の駒損だけが残る形になってしまいます。
逆に先手の立場としては、まだゆっくりと序盤戦をやっていたいです。
ここは、相手の攻撃に備える手を考えたいところです。
後手の立場で具体的に考えていきましょう。
先手の飛車が悪い位置(歩の上に飛車がいる形は悪い)にいるので、これを悪い位置のままにして、飛車を攻めていくのが有効に見えます。
先手の飛車は歩が切れている2六が安定の位置でしょう。なのでそうさせないように△4四角と上がるのが有力です。
▲5八玉と悠長に駒組みを進めてきたら、△3三金が狙いの一手。
次に飛車を2二に回るのが狙いの一手です。
また、先手の飛車が右に逃げてきた時に3三の金で圧迫していく狙いもあります。
先手がもしこの狙いを見破れば、▲5八玉のところで▲3六飛と周り、△3三金には▲2三歩として△2二飛を防ぐ、なんていう高度な受けがあります。
ここまでいくとプロレベルの応酬ですが、先手は戦いを起こしたくない、後手は戦いを起こしたいという、お互いの長所を伸ばし短所を補う狙いがぶつかり合っている様子がわかるかと思います。
考え方のポイント
序盤から中盤にかけては、目標がわからず何を指していいかわからなくなることが多いかと思います。
その中で意識するポイントは
自分の長所を生かす
自分の短所を補う、もしくは活かされない展開に持っていく
という点です。
玉の固さ、駒の損得、バランスが良い、位を取っているなど、相手と比較して自分が優っている部分を探しましょう。
そして、それを生かすにはどうしたらいいか、と考えてみましょう。
また、短所を見つけたら、その短所を補えないか、またはそれをどうすれば相手に活かされないようにできるか、などを考えましょう。
そこから具体的な手を見つけていくのは簡単ではないかもしれませんが、まったく見当がつかない状態よりは良い手を見つかる可能性も上がるでしょう。
まとめ
長所を生かす
短所を補う、活かされないようにする
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