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棋力はどういう感じで伸びるのかについて

ちょっと飲みながらnoteを書いてみました。将棋に復帰して1年ほどですが、毎日真面目に序盤中盤終盤を勉強しても、「詰め将棋200問解いたのに棋力向上が感じられない」「棋譜並べ1000局やって、並べるのは楽しくなってきたけど対局に反映されない」など悶々としてました。しかしふと閃いてTwitterにも書いたのですが、この考え方そのものが正しくないのではないか、という考察が今日のお題です。なお当方ウォーズ三段地下帝国程度の棋力で考えた内容ですのでご承知置きを…

1.努力した分だけ棋力アップ?

これは真面目に勉強した人なら誰もが考えることだと思いますが、過去の経験からすると「間違ってはいないが正しくもない」だと思います。基本的に多くの人が対局を通じて棋力が上がってるかどうか感触から類推すると思うのですが、将棋はどうやら頑張った分だけ上手くなるという簡単な仕組みではなさそうなのです。

⒉棋力アップはドラクエの呪文の覚え方に近い?

世の中には閾値という仕組みや概念が存在します。簡単にいうと「ある値を境にしか変化がない」というものです。わかりやすい例えがドラクエの呪文の覚え方です。自分が魔法使いだとして、ベギラマが使えたとします。しかし最近できた武闘会に出るにはベギラゴンがないとキツい事が分かり、毎日モンスターを倒して経験値を稼いでました。しかしいっこうにベギラゴンっぽい変化がありません。「毎日沢山倒してるんだけどなあ、何がいけないのかなあ。なんとなく立ち回りは上手くなってるけど…」この時自分に起きてる変化は、HPやMPが徐々に増えてるだけで、肝心のベギラマは変化がない状態です。「そこそこのモンスターなら大群でも勝ちやすくなったが、格上になるとやっぱりジリ貧だなあ」となります。しかし、もし自分が魔法使い本人ではなく、ゲーム機を通じてRPGをやっている側なら、やることはただ1つ「ベギラゴンを覚えるレベルを調べて必要な経験値を稼ぐ」です。将棋も仮に同じように棋力が上がるなら、「三段から四段になるには、ある一定ライン以上の勉強量(なお、勉強の質は問題ないという前提付きです)が必要で、それまでは棋力に根本的な変化は見られない」となります。

⒊どうして棋力アップが閾値という考え方に至ったのか

これは子供と大人の棋力の伸び方の違いが同じ理由で上手く説明できた点から、あながち間違っていないのではと思ったからです。仮に子供の初段と大人の三段の人がいるとします。よく見るのは子供はすぐに四段になって大人は何年もかかる、もしくは大人はなかなか四段になれないという事例です。「吸収力が違うから」と本質的な意味は変わらないのですが、「そもそも必要な経験値の量=閾値が違うのでは」と考えるとしっくりきます。子供はぐんぐん連続的に伸びてるというより、そもそも初段→二段→三段→四段に上がるための必要な経験値が大人より遥かに低いため、段階的な部分が連続的に見えてるだけ(微分の世界ですね😅)かなと。なので子供の頃四段になったアマ強豪やプロや女流棋士で「大したことやってない、詰め将棋とひたすら実践くらい」っていうコメントが多いのも頷けます。ドラクエ呪文理論だと四段に達する必要な経験値が大人に比べるとほとんど要らないので…そりゃあ勉強方法もクソもない世界ですよね😭。吸収力だとかなりの勉強量を短期間で吸収したみたいに感じますが、トッププロを除けば「本人が勉強しやすい環境で素養があれば、大した量もこなさないうちに知らぬ間に上手くなってた」と考えると素養だけではなく、そもそも子供は四段までの必要な経験値が低いという仮説は十分成り立つのではないかと思います。

4.努力する才能があってもおっさんの三段スタートは苦難の道

述べるまでもないですが、周りを見ても分かるように、途方もない勉強量が閾値になってしまっているのがおっさんです。小さい頃三段から四段になった人とおっさんで三段から四段になろうとする人はそもそも勉強の質も量も全然違うのではと考えます。なのでおっさんの事例は極端に減ります。また教える側が幸いにプロだったとしても、どれだけの量が必要か体験としてないから、本質的な部分を教えるのが困難だと思います(無形のもの(=棋力アップ)を教えるというのは、経験を通じて得たものが大半なので…)、ドラクエと大きく違う点はおっさんになるほど事例が少なく、かつ「閾値がいくらなのか誰も分からない」点です。

⒌それでも棋力アップがしたいおっさんは

かなりの量の経験値が必要のは間違いなくて、さらに「どれだけの経験値が必要か誰も分からない」荒野にベギラゴンを覚えに出向いた老いた魔法使いと変わらない立ち位置です。自分の使える時間の内、後悔しない範囲で使い、それでも閾値には達しないかもしれないという覚悟が必要かなと。だから、リスクヘッジからベギラマプラスαでいいやという考え方も人生のバランスを取る上では立派な考え方かなとも思います。

おまけ

なおこれはマラソンとかが趣味な人に多い傾向ですが、「モンスターをしばいて経験値を稼ぐ過程が充実感があって好き」っていうどMな人はすぐ勉強沼にハマって手遅れになります(なりました😭)

おしまい


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