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【第3回シアターホームステイプロジェクト】片山英紀 レポート

若手の演劇人・アーティストが他地域の小劇場に滞在し、今後の活動について構想する「シアターホームステイプロジェクト」。
2023年7月~2024年1月に行われた第3回目の参加者によるレポートの紹介です。


■片山英紀(劇団ビーチロック)
 沖縄→札幌
 扇谷記念スタジオ シアターZOO 2023年10月19日(木)〜24日(火)


 今回シアターホームステイで沖縄から北海道に10月19日(木)から24日(火)まで5泊6日で滞在して参りました。
僕は沖縄の劇団ビーチロックという劇団で活動しております。沖縄県那覇市にあるアトリエ銘苅ベースさんの推薦を受けてシアターZOOさんにお世話になりました。
せっかくシアターホームステイに参加するなら普段あまり行くことが出来ない場所に行ってみたいと思い、沖縄から一番遠い「北海道」を選ばせて頂きました。そして日本の両端に位置する北海道と沖縄の演劇シーンを見比べて相違点や共通点など肌で感じてみたいと思いました。ホームステイ先は天神山アートスタジオに滞在しました。
ホームステイ中は色んな方にお世話になり、インタビューや劇場見学、観劇をすることが出来ました。
まずこのレポートでは簡易的に何をして過ごしたか日ごとにまとめ、最後に僕がシアターホムステイで感じたことを書きたいと思います。

初日-10月19日(木)-

初日は新千歳空港に18時30分着の飛行機で向かいましたが到着が遅れたこともあり、宿泊先の天神山アートスタジオに到着したのは21時を過ぎておりました。その日は移動で1日が終わり、セイコーマートで購入した北海道ならではの食べ物や飲み物を紹介しながら、インスタグラムにてライブ配信を行いました。そしてこの滞在中の出来事をまとめておくために毎日ライブ配信をして記録として残しておくことを決めました。寒さは意外と想像していたよりも寒くなく拍子抜けした感じでした。

2日目-10月20日(金)-

2日目はまず宿泊している天神山アートスタジオにて働いている方や他の滞在者の方と交流しました。その後シアターホームステイでお世話になるシアターZOOさんを訪ねました、そして事前のやりとりをさせて頂いていた清水さんと今後のスケジュールや北海道の演劇ムーブメントについて話し合いました。
お昼にはスープカレーも食べれました。
夜には札幌座クラブさんのサロン会に参加しました。次の週にある清水さんの舞台についてのお話を伺うことができました。

3日目-10月21日(土)-

朝から札苗北中学校へ行き体育館にて演劇を見ました。演劇部の人数が多いことに驚きました。お昼は海鮮丼を頂きました。
午後はBLOCHさんへ観劇に行きました。観劇後、BLOCHの和田さんと事務所でお話をさせていただきました。
その後、寺地さんの繋がりでカタリナスタジオさんに行くことができ、劇場の中を見学し小佐部さんとお話をさせて頂きました。

4日目-10月22日(日)-

この日はシアターZOOさんで観劇からスタートしました、観劇後舞台監督の竹原さんと演出の鈴木さんのお二人とお話させて頂きました。お昼はラーメンを頂きました。
その後、納谷さんとお話する機会を清水さんが作ってくださり稽古前に稽古場にお邪魔しました。
稽古に参加する予定ではなかったのですが、そのまま稽古にも参加させて頂きました。作品を作る楽しさを見させていただきました。そして、もともと予定していた別の稽古見学に行きました。寺地さんが出演される「グッド・モーニング」の通し稽古に参加し、その後は寺地さんと食事に行きました。

5日目-10月23日(月)-

コンカリーニョさんにお邪魔しました、そこで劇場見学とキムさんとお話をさせていただきました。
パトスさんにも行くことができました。翌日朝早く出発なのでお土産を買いに狸小路を訪れました。
その後札幌座さんの稽古見学に行く予定でしたので、シアターZOOさんに向かいました。しかし稽古見学まで少し時間がありましたので、近くにあるこぐま座さんの劇場に急遽訪れ、無理を言って中を見させていただきました。
通し稽古の少し前にzoomでお世話になっていた斎藤さんにもお会いできました。

夜は戸澤くん含め、札幌の役者さんとの交流会に参加しました。
最後に締めパフェを食べました。

最終日-10月24日(火)-

11時40分の飛行機でしたので、朝から自分の部屋の掃除をして荷物をまとめて天神山からその
まま新千歳空港に向かい札幌の町を後にしました。

以上が簡単な日ごとの活動記録になります。
その中で今回のシアターホームステイで感じた事は大きく3つです。

まず「演劇に関わっている人の数が沖縄と比べて段違いに多い」という事です。俳優、裏方の皆さん、劇団の数や、高校演劇部の数などとにかく「演劇」というものに関わっている人の数が全然違いました。
関わる人が増えれば出来る事が広がる、ジャンルも様々なものが生まれる、新しいアイディアも生まれる、経済を生む、共に高め合うことが出来ると感じました。

次に「演劇には歴史や時代、そして自分自身としっかり向き合う必要がある」今回様々な人とお話をし、また様々な作品を本番や稽古で短期間で「演劇」というものに浸ることができました。演劇のいい部分がたくさん見れた反面、これを未来に残して繋いでいく為には生半可なものは出せないし、人や時代のニーズ、そして自分自身が心から面白いと思えるものを作品としてクリエイションしていかないといけないことに気付かされました。

今までの僕は自分が心から面白いものを生み出すことに力を注いでいました。しかし、それは自己満足であり、演劇のファンを作って文化にしていく為には演劇を見る人や応援する人の目線も大切にしなければいけないと僕は感じました。演劇はお客さんが入って成立するもの、娯楽でもありエンタメでもあり文化でもある。

今後自分の作品を書いていきたいと思っていたタイミングで、北海道に来てこのことに気づけたことは大きな意味がありました。

最後は「沖縄の演劇事情や歴史を知らない」という事です。
今回北海道に滞在して、劇場見学やインタビューをしたことで沖縄の演劇シーンについても更に知りたいと思いました。自分自身の沖縄での活動は話すことができても、沖縄の演劇シーンについてはまだまだ知らないことがたくさんある。実際、なんとなく知っている程度で詳しく知らないことの方が多いと気付きました。
例えば、それぞれの劇団の生まれた経緯や作品のラインナップ、今後の活動目標。そして劇場の歴史や現状など。
今回のシアターホームステイをきっかけに沖縄の演劇シーンに関しても興味を持つことが出来ました。
今後は他を知る前にまず自分に近い場所から知っていこうと思います。

以上が感じたことになります。

最後になりますが今回のシアターホームステイを通して、ここには書ききれない程たくさんのことを学びました。そして、出会いがありました。
来年は「自分の作品を生み出す」、そして将来的には「名護市に劇場」を作るという夢に向かって、大きな一歩を踏み出すことができました。
今回事前のzoomで「なるべく長く滞在できたほうが楽しめるよ」という意味がシアターホームステイの終わりが近づくにつれて理解できました。
全然時間が足りなかったです。
今回は時間の関係もあり色んな方と「広く浅く」関係を構築できたので、また札幌を訪れて今回頂いたご縁や経験をより深く大きくしたいと思います。
とにかくその出会いや経験も今回シアターホームステイがなければ生まれていないものなので心からこの取組みには感謝しています。
この経験を生かして未来に表現のバトンを繋いでいきたいと思います。

今回は本当にありがとうございました。

主催:一般社団法人全国小劇場ネットワーク
助成:公益財団法人セゾン文化財団「創造環境イノベーション」


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