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【劇場の声】アートコミュニティスペースKAIKA(京都市)

KAIKAは、京都の中心部・四条烏丸にあり、京都の多くのアーティストが利用している「京都芸術センター」からも徒歩10分の距離です。
ちょうど10年前、ご縁あって、空きスペースを劇団の稽古場として使わせてもらったところから始まり、以来、劇団衛星が「フランチャイズカンパニー」として活動しています。
建物の2階にありますが、1階はコンビニ。3階には、平日はコワーキングスペース、週末はイベントスペースとして運営される「AKIKAN」が併設されてます。
いわゆる「劇場」といえるような設備が整った場所ではありませんが、そんな場所だからこそできることをやりたい、と活動しています。

KAIKAは、「つくる場」です。KAIKAを拠点に活動する劇団、ここで創られた作品が、他の劇場や全国各地で公演していってるのが、私がKAIKAという場所に求める成果の一つだと思っています。そのことを、全国小劇場ネットワークの活動をしながら、改めて考えました。このネットワークの参加劇場のいくつかは、そうして公演に行かせてもらったところ。そしてこれからも行きたいところです。それが私には大事なことだと感じられています。

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上:劇団しようよ『パフ』(2018/撮影:脇田友)KAIKAで創作・初演の後、北千住BUoY、枝光本町商店街アイアンシアター、アトリエ銘苅ベースで上演をしました。
中:ユニット美人+ソノノチ“ビジノチズム“『イズム、離れて』(2019)
下:フランチャイズカンパニー・劇団衛星の20周年公演『義経千本松原』(2015)

コロナの感染が広がり始めた2月は、劇団衛星が韓国の俳優と一緒に取り組んだ作品の創作と京都での初演がちょうど終わったところでした。この作品は、今年度は韓国で上演したいと考えていたのですが、この騒動により、約1年の延期で検討しています。まだまだ先の見えない中での調整中ですが、必ず実現したいと思って励んでいます。

また、KAIKAは、ここを一つの入り口として、他地域の劇団や京都の若い劇団が、京都での活動を展開していってくれる、そんなきっかけにもなる場所でありたい、と思います。

この2ヶ月強、KAIKAも、稽古場としての貸し出しも中止していました。
もともとKAIKAは、劇団衛星やアソシエイトカンパニー(ソノノチ、劇団しようよ)、その他親しい劇団・アーティストの人たちに使ってもらう場所として、運営していました。現在、活動再開にあたって、そうした仲間たちの創作から、試験的に始めていっています。

この7月で、ちょうどKAIKAができて10年になります。
7月2日のお誕生日には、この10年を振り返る「感謝祭」をオンラインイベントとして開催しようと考えています。
これまでKAIKAに携わってくださった方々、出演した方々に集まっていただいて、本来なら、一緒に周年パーティーをしたいところなのですが、今年はリモートパーティーとなります。リモートではありますが集まっていただこうと、そしてせっかくだからそれを配信してみようと、思います。

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■配信スケジュール
7月2日(木)19:00〜21:20頃終了予定
※こちらからチャンネル登録して、よろしければご覧ください。
https://www.youtube.com/channel/UCScAy6YSuwBq_5v2lAXequg?view_as=subscriber

また、7月は、京都はお祭りシーズンです。
KAIKAは祇園祭の「岩戸山」の鉾町にあり、毎年この時期は、近所の方々と一緒に、岩戸山をお守りする仕事をお手伝いしていました。今年は、巡行も中止が決定しています。町内に山鉾が建ちません。この町で生活する身としては、とても淋しい気持ちです。外様な私たちでもこんな気持ちなのだから、ここで暮らしている人達はもっと感じてはるだろうな・・と思います。

近年、宵山期間には、岩戸山の埒内で、「天岩戸のカミあそび」と題したパフォーマンスが行われています。平成26年度「京都市文化芸術特別奨励者」でもある林宗一郎氏(能楽師)・森田玲氏(篠笛奏者)が、岩戸神話にちなんだ歌舞を奉納されていました。
また、昨年からは、子どもたちによる童舞(わらべまい)の取り組みも行われるようになりました。

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祇園祭の手伝いをするKAIKAメンバー

2020年、できることは限られているけど、そんな中でも祇園祭にまつわる継続的な取り組みを続けるため、そうした「神賑わい行事」の部分だけでも実施できないだろうか・・と、町内の人たちとも相談をしています。

岩戸山の御神体は、伊弉諾尊(イザナギノミコト)手力男命(タヂカラオノミコト)天照大神(アマテラスオオミカミ)の3人の神様です。岩戸山の由来となっている「国生み」「天岩戸」二つの神話を、現代的な演劇上演として、この町で上演したいとずっと考えていました。
今年はその第一歩に取り組む機会にしたいと考えています。

上演形態や開催時期、詳しい内容などは、現在調整中ですが、映像配信も行い、お祭りに来れない人たちにも広く鑑賞してもらえるようにしたいと考えています。
詳しく決まりましたら、またウェブサイトなどでお知らせしますので、気にかけていただけると嬉しいです。

私は、この一連の取り組みを「アマノウズメ企画」と勝手に呼んでいます(正式な企画名称ではありませんが・・)。
天照大神がお隠れになった天岩戸の前で踊り、それを観た神々の笑い声を聞いて、天照大神が出てきたと言われる、芸能の女神・アマノウズメにちなんで、自粛の岩戸を開き、少しでも社会が明るくなるよう、私たちの活動を、日々、粛々と重ねていきたいと思っています。


KAIKA制作/劇団衛星プロデューサー:植村純子


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