<職人魂を調理することはできないか>64/100
(前回からの続き)
最初の着想が今ひとつ確信に変わらず、熱い思いの行き場を求めて彷徨っている時、ある高名なトレーナーに出会いました。
その時点でジムをやろうという発想はなかったのですが、彼の話を聞いてまず僕が思ったのは「もっと早く知りたかった!」ということ。
僕は学生時代をラグビーに捧げたわけですが、特に大学時代は度重なる怪我に悩まされ、「お前筋トレし過ぎだよ」と言われながら、その因果関係がわからないまま大人になりました。
卒業から12年、オリンピック選手を見るレベルのトレーナーが教えてくれたことは「アスリートは筋肉ではなく動作を鍛えている」ということ。
つまり筋肉が大きく強くなるだけではなく、思い通りに動作をコントロールするためのトレーニングが必要で、あの時の僕にはそれが欠けていた。だからボディビルダーのようにかっこよくなっても、動きが制御できないから重さを感じ、肉離れなどの怪我が多発していたのだと。
あの時この考え方を知っていたらもっといい選手になれたんじゃないかと思いました。
体育会で真剣にスポーツをやっていた僕が知らないということは、ほとんどの人が知らないんじゃないか。そしてこれはスポーツ選手のみならず、人生100年時代と言われる現代において、自分の身体と長く付き合うためにとても大事なんじゃなかろうか。だけど一般に広まるにはあまりにもわかりづらい職人魂、これを商社マンの僕が美味しく調理して世に還元することはできないだろうか。
なんとなく確信めいたものが自分の中に生まれたことを感じました。
(続く)
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