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MicroCPUの話:フェアチャイルド

ICの歴史を語る上でこの会社を欠かすことは出来ない。
もっとも現在のフェアチャイルド・セミコンダクター社(現在はオン・セミコンダクターの傘下。同様に元三洋半導体などもオン
セミ傘下になっている)は厳密にはここで云う Fairchild と同じ会社ではない。

1940年代後半に実用化されたトランジスタだが、1950年代後半にはキルビーやノイスらがトランジスタを発展させる形でICの概念を確立、実用化した。それ以前にもイギリスのダンマーがトランジスタを発展させて集積回路(Integrated Circuit)を開発出来ると予言したのが、公式にICに言及した最初と言われている。

キルビーがいたTexas Instruments(TI)社はもっと古い会社だが、1954年くらいからトランジスタの製造を始めている。現在もなおICの根幹特許としてキルビー特許は存在し、全てのIC製造会社はTI社に特許料を支払っているとのことだ。

一方のノイスだが、元々はショックレーの設立したショックレー・トランジスタ会社(半導体研究所)にいたが、ショックレーと折が合わず仲間ともども8人で同社を辞めて、その後半導体産業で重要な位置を占めるFairchild社を1957年に設立する。ここで今日のICの根幹技術とも言えるプレーナー・トランジスタが開発されICの実用化が始まった。
ICが実際に市販されるようになったのは1960年代になってからである。

その後、Fairchild からは数多の半導体会社がスピンオフ(技術者が独立して別会社を作る;多くはベンチャー資本や他業種の大企業などから融資を受けてのもので、元の企業とは資本関係はない)していく。
ノイス自身も、その後メモリーをICに集積する可能性に将来を見て、ムーアらとともにスピンオフする。これが Intel だ。
他にもAMDや National Semiconductor など、シリコンバレーの半導体会社は、ほとんどがその元をたどれば Fairchild に行き着く。

しかし企業にも「老齢化」による衰退というようなことがあるようだ。人間と違うのは「若返り」手術のようなことが可能な点だろうか。
それに加えて、Fairchild の場合は別名「ICの学校」と呼ばれるように、上記のごとく技術者が次々とスピンオフして新しい会社を作って行ったため、逆に残った本体が技術的に弱体化したという面もある。
こうして終焉を迎えた Fairchild は、「子供」とも言うべき National Semiconductor に吸収されてしまう。

その後、1997年になってふたたび National Semiconductor から分離独立する形で成立したのが最初にリンクしているフェアチャイルド・セミコンダクター社だ。そしてのそのFairchildも、IC産業のコングロマリットとも言うべき、オン・セミコンダクターに吸収されてしまった。なお、オン・セミコンダクターはモトローラの半導体部門の一部がスピンオフした企業であり、多くの半導体企業を買収・併合している。モトローラの残りの半導体部門はフリースケール・セミコンダクターとして独立したが、その後、NXPセミコンダクターズに併合されている。

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