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MicroCPUの話:IMP-4

たぶん1960年代からだと思うが、通信関係に特化した形のPACEと言うCPU計画が進行していた。間違っているかもしれないが、それを汎用ワンチップ化したのがナショナル・セミコンダクターのIMPシリーズ(残念ながらページは消失しているが)だと思われる。
1973年の発売。

IMPシリーズはユニークな構成になっている。これはCPUの機能をワンチップに収めるのではなく、4ビット分だけをワンチップに入れているのだ。
したがってIMP-16と言う16ビットコンピュータセットは4個のチップとメインのコントローラチップ(16bits)から成る。同様に2個とメインコントローラ(8bits)から8ビットコンピュータセットのIMP-8が、1個とメインコントローラ(4bits)で4ビットコンピュータセットのIMP-4が構成される。

その後、Intel の 3002 や AMD の 2901シリーズなど、ビットスライスと言われるチップセットが販売されるようになるずっと以前のことだ。

IMP-4 は、おそらく世界でも唯一の真の4ビットマイクロプロセッサだろう。
i4004の項にも書いたように、他の4ビットCPUは、4ビットと言いながら実は4ビットになっているのはデータレジスタと演算器だけである。
命令セットは8ビットであり、そのためプログラムメモリーとデータメモリーは別空間として分離されている。このあたりの使いにくさが組み込み用以外には応用出来ない制限となってしまっている。

それに対し、IMP-4 はデータもプログラムも同じメモリーを共有し、すべて4ビットである。つまりプログラムでプログラムを修正すると言う、本来のストアド・プログラム方式を実現し得る唯一の4ビットCPUだとも言えるわけだ。

ところでナショナル・セミコンダクター(NS、ナショセミ)と言う会社はフェアチャイルドからスピンオフした会社の一つで、アナログ系のICに強い会社だ。デジタルICも製造していたが、多くは他社のセカンドソース(ライセンスを受けて全く同じものを製造販売する形態)であったり、通信やアナログ制御など特殊な用途のものが多い。
つまりデジタルに関してはユニークなアイデア商品は多いのだが、なぜかどことなく一本筋が抜けたようなものが多かった。早い話がアイデア倒れといおうか(爆笑)
ま、そのナショセミも今はフェアチャイルド同様にオン・セミコンダクタ―に吸収されてしまって、歴史が一巡したようで興味深い話だ。

実は当時、IMP-4についても、代理店からの強力な売り込みがあり使うことを検討したことがある。しかしデータシートを読んでいるうちに重大な欠陥を発見(笑)
なんと、当時としては画期的なことに割り込みまでサポートしていたのは立派なのだが、割り込み処理中に割り込みを禁止するすべがない。多重割り込みがかかったら・・・バン!
その点について質問したのだが、明確な回答がなかった。だから断念した。そんなこともあった。NSの面目躍如と言うところか。
なお、IMP-4 が実際に使われたと言う話はついに聞かなかった。

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