智弁学園-4

【選手紹介】第92回選抜高校野球 見たい選手まとめ【後編】

どうもどうも。センバツ選手紹介の後半戦です。11日にはセンバツの開催の可否が正式に決定されますが、先日NPBの開幕延期が発表され暗雲が垂れ込めていると言っていい状況です。ただでさえ楽しみが少なくなってしまっているこの情勢ですので、何とか開催してほしいとは思いつつ、選手たちの健康面も考慮してほしい気持ちもあり複雑なところです。とりあえず、明日の推しになるかもしれない選手たちを紹介していきます。

近畿地区

天理
ネームバリューがあり、一応近畿大会を制したので選出について特に何も感じない人も多いでしょう。しかし、秋の県大会は準決勝でライバル智弁学園にコールド負け。3位決定戦は普通の公立高校相手に2-1のサヨナラ勝ちを収めて奈良3位で近畿大会に。あまり期待していませんでしたがここからが天理のすごいところ。あれよあれよという間に勝ち進み準決勝では夏覇者の履正社を下し、決勝では大阪桐蔭に勝利して優勝。神宮大会でも後に優勝する中京大中京に敗れたものの初戦で仙台育英に勝利。いやぁ、選手もすごいが監督もすごい。
しかし、何がすごいって特別すごい選手がいるわけでもない(失礼)のに勝ち上がったところ。達孝太は公式戦初登板が近畿大会決勝の大阪桐蔭戦。データ班もすごい大阪桐蔭の裏をかいた作戦とそれに応えた達、すごい(語彙力)。まだ141キロしか出ませんが、身体が出来てくればスピードはまだまだ出るでしょう。去年と同じく全体的に投手陣には不安があるので、打線の働きが鍵を握ります。主将で1番の下林源太は並み居る先輩を押しのけて2年生ながら3番ショートを務めた打者。秋は打率.523に5本塁打と打ちまくりました。その下林をサードに押しのけた杉下海生(あおい)の守備力にも注目。メガネのパワーヒッター瀬千皓(せ・ちひろ)は当初背番号19でしたが公式戦3試合連続ホームランを放つなど主軸に成長。神宮で高橋(中京)から3本塁打を放った河西陽路、県大会でホームランと強肩を見た山地裕輔ガデコリヤサなど打線は充実しています。山地くんはどこかのハーフなんですかね。

大阪桐蔭
プロはもちろん、大学や社会人にも数多くの優秀な選手を送り出している学校。安心安全の大阪桐蔭ブランドです。極端な例ですが、6,7番を打っていた山田健太が立教大で1年生ながら4番を打てるようなチームです。レギュラーどころかベンチ入り、ベンチ外ですら注目しておくべき選手がいると言っても過言ではありません。
まずは投手。エース藤江星河は細身ながら技巧派投球が光る左腕。まさに先輩の田中誠也(大阪ガス)のような投手です。打撃もけっこう良い。新2年生には中学時代から140キロを超えていた関戸康介竹中勇登やビッグレフティー松浦慶斗など素材型が多数。秋の10番申原理来も現地で見ましたがなかなか速かったです。
続いて野手。捕手の吉安遼哉は旧チームでも主軸を打った強打者ですが近畿大会は怪我で欠場。その間は控えの清水大晟が経験を積むことが出来ました。三塁手の西野力矢は通算24本塁打のパワーを持つプロ注目のスラッガーです。船曳烈士も西野と共に1年から主軸打者でした。ライトの仲三河優太は中学時代から注目の投手でしたが、高校では怪我であまり投げられず現在は野手中心。それでも強烈なスイングで4番を任されています。加藤巧也伊東光亮の二遊間コンビは、こんな選手達に囲まれていて目立たないものの、いぶし銀的働きを見せてくれる良い選手。特に伊東は、筆者が観に行った試合で近くの高校球児から「あのショートはやばい、足さばきが上手すぎる」と評されていました。池田陵真は2年生・1番打者とは思えない強烈スイングが印象的。代打で出てきてホームランを打った前田健伸もベンチに置くには勿体ない選手。おまえどこファンだよ。

履正社
昨夏の甲子園優勝校。清水大成(早稲田大)以外の投手がいないチームを救ったのが岩崎峻典でした。彼の成長あってこその優勝であり、去年の裏MVPと言ってもいいと思っています。最速145キロでカットボールが良いそう。しかし岩崎以外の投手はやや不安。内星龍衣笠遼はパワー型投手ですが制球に難あり。秋に奮闘した辰己颯は安定感がありますがもう少しスピードが欲しいところ。
続いて野手。捕手の関本勇輔は必死のパッチ関本賢太郎の息子。控え捕手が新チームの4番ってどんだけ層厚いんだよと。打率.476で4本塁打を放ちました。捕手としての評価も高いようです。弟じゃない小深田大地は安田尚憲2世と評される強打者。秋は2本塁打に打率.541と打ちまくりました。池田凛も旧チームからの2番セカンド、と言っても強打の選手。新チームでは1番を打ち、チームトップの16個の四球をとっています。5番を打つ大西蓮も打率.486で2本塁打の強打者。そんな主軸たちを上回る打率.667をマークした両井大貴は全くノーマークだったので何者なのか気になります。

智弁学園
投手は小畠一心西村王雅の2年生コンビに注目。3年生も勿論いますがこの2人が中心でしょう。小畠は185cmの長身右腕で最速は143キロ。ダイナミックというよりは力感のあまりない印象のフォームで、あの身体があればもっとスピード出そうなのになぁと思ってしまいます。西村は強気にインコースを攻める投球が持ち味。制球力をつけて安定感を得てほしいです。2人とも期待しているが故に厳しめの紹介になりましたが、去年の春から見ているのでめちゃくちゃ応援しています。
そしてやはり、今年も智弁は打のチーム。近畿大会での智弁和歌山戦では17点を奪いました。なお13失点。最も注目を集めるのは4番を務める前川右京です。去年の夏も甲子園で2本のタイムリーを放った左の大砲。近畿大会の筆者が観に行った試合でも2本のホームランを放ちました。上級生も含めて打球速度が抜群に速く、打球音が違いました。金属バット折れそうな音だなと思っていましたが、本当に金属バットを折ったことがあるそうな。なお守備はお察し。同学年の山下陽輔も5番サードの強打者で、公式戦で2本塁打しています。なお脚。主将の白石陸はまだ背番号2桁の時から観に行った試合でよく打つので印象に残っています。俊足と強肩でプロも注目しているようです。

明石商業
4季連続の甲子園。中森俊介は現時点で世代No.1の投手。昨年の3年生に混ざっていてもドラフト指名があったのではというレベルです。肩甲骨周りの硬さが課題でしたが、このオフのトレーニングで改善傾向とか。ただの素材型というレベルではないので、完成度を上げて最上位でのプロ入りを見てみたいと思います。もう1人の注目選手は来田涼斗。1年時からレギュラーで、脚も速けりゃパワーもある柳田悠岐2世。ただの強打者なら他にもいますが、総合力での評価は今年の高校生でトップクラスです。まあ柳田レベルかと言われるとアレですが…(小声)。2人とも自分の色を見つけてほしいなと思います。4番に座る福本綺羅(ひかる)は新2年生。将来が楽しみな選手です。

智弁和歌山
6季連続の甲子園。智弁学園戦で防御率を破壊されてしまったものの、さほど投手の弱いチームではありません。小林樹斗は秋こそ不調でしたが、最速148キロのストレートとスライダーが武器。また、目立つ選手ではないものの、2番手左腕の矢田真那斗は制球・テンポが良く、淡々と投げ込んで試合を作ることができます。対照的な2人と個人的に楽しみにしている中西聖輝(2年生)らがいます。細川凌平は俊足巧打で身体能力が高い外野手として1年春からレギュラーでしたが、最終学年ではショートで勝負するようです。新チームで6番をつけていた大西拓磨(2年生)は奈良出身なので期待したいんですけどね… 4番の徳丸天晴(2年生)はまだ筆者の前では活躍してくれていないので、輝くところを見てみたいです。他にも“孫”こと高嶋奨哉(2年生)も将来が楽しみな選手。

中四国地区

鳥取城北
3番打者の河西威飛(いぶき)が右の強打者として高い評価を得ています。打率.469もさることながら、公式戦8試合で16打点と勝負強い。171cmの小柄なスラッガーはどのような打撃を見せてくれるのでしょう。投手では183cmで最速141キロの松村亮汰、180cmで最速145キロの中川央など力のある選手が複数います。

広島新庄
中四国5校目に滑り込みで選出。評価されたのはエースの働きを見せた秋山恭平(2年生)でした。167cmと小柄で最速もまだ137キロながら、イニング数に近い三振を奪えます。投手育成、特に左腕の育成が上手い広島新庄らしい投手です。田口麗斗っぽい投手なのか堀瑞輝っぽい投手なのか見てみたいです。打者では3番を打つ主将の下志音が打率.578で3本塁打の大暴れでした。

明徳義塾
飛び抜けて良い選手はいないものの、毎年総合力の高いチームを作ってくるチームです。超がつく俊足で評判の1番打者奥野翔琉、昨年は内野手でレギュラーだった捕手の鈴木大照、1年夏からショートでレギュラーの米崎薫暉(2年生)など、旧チームからの主力が多く残っています。さらに、四国大会で場外弾を放った元屋敷大誠や、打率.458で16打点と打ちまくった新澤颯真が打線の中心に座り迫力があります。投手は馬淵監督のお気に入りである新地智也が県大会から神宮までほぼ1人で投げ抜きました。スピードはないですが与四球率1.01の精密機械ぶり。しかしエース1人では大会を勝ち上がれません。代木大和畑中仁太の新2年生コンビの成長がカギを握ります。

尽誠学園
4番ショートで2番手投手でもある仲村光陽に注目。まさに今宮健太のような活躍。文字面からは身体能力の高さが窺えます。身体もそこそこ大きく、今大会の活躍次第では有力候補になれるかもしれません。

九州地区

明豊
春は2年連続。昨年も1番を背負った若杉晟汰は技巧派左腕。秋は怪我で不調でしたが、本来の輝きを見せられるでしょうか。狭間大輝は4番一塁手として出場しつつクローザー役を務めて140キロ超え。投打にわたる活躍が期待されます。布施心海は、昨年見た時は走攻守タイプと感じていましたが、どうやら本質は濱田太貴のようなスラッガーだそうで高校通算22本塁打、昨秋の公式戦でも4本塁打でした。打撃は勿論、脚と守備がどのレベルなのかしっかり見てみたいです。

大分商業
川瀬堅斗との出会いは2年前。偶然見ていた大分大会の中継で現れたすらりと立ち姿の美しい投手が当時1年生の川瀬でした。1年生らしい粗さはあったもののフォームに大きな癖は無く、大きな可能性を感じました。以来ピッチングは見られていないので今回ぜひ。チームの投手は彼にほぼ頼り切りなのが少し怖いところです。ちなみに川瀬晃(ソフトバンク)の弟です。

創成館
先日の社会人新人選手記事でも語ったように、個人的な憎しみのあるチームです。いや、高校野球に嫌いなチームとかないですけどね。鴨打瑛二は194センチの超大型の左腕。まだ身体の大きさを活かしきれていない感じはあるので、今後に期待したい選手です。ちなみにエース左腕の白水巧は166cm。高低差ありすぎて耳キーンなるで。

鹿児島城西
元ダイエーの佐々木誠監督を迎えて3年目で悲願の初出場。昨年は小峯新陸(楽天育成)もいました。エースの八方悠介は昨夏に146キロをマークした右腕。制球力もあり、低めにきれいな球を投げられます。2番手の前野将輝は最速143キロとスピードでは劣るものの、イニングを超える奪三振数で四球も少ない投手。ほぼ全ての試合が2人の継投だそうで、見たい選手を回収しきれるいいチーム()です。

優勝予想

本命:中京大中京
対抗:東海大相模大阪桐蔭
大穴:県立岐阜商業

神宮王者を優勝予想するのは安直でアレですが。筆者は大抵の場合、エース格を複数持っているチームを上位に予想するのですが、今年は球数制限が導入されることもあり例年以上に投手起用に慎重になる(多く交代させるのが慎重なのか動きが多いのかどう表現すればいいのか)チームが多くなるだろうと考えます。であれば、継投は当然として、真にエース格を複数持っているところがより有利になるだろうと思います。140後半を出せる投手を2人擁する中京大中京は最有力候補と言っていいでしょう。他にそんなチームほぼありません。
その投手力に打力で対抗できるチームとして東海大相模大阪桐蔭を2番手に挙げておきます。中京が今年の横綱なら、この2校はまさに東西の大関。両チームともワクワクする打線とハラハラする投手を抱えます。まあ、ハラハラと言っても他のチームよりは充実しているのですが、柱感がないというか不安定というか。
大穴には県立岐阜商業を予想しました。140キロ超えの投手を複数擁し、強力な主軸ととんでもない機動力、そして秀岳館を3度のベスト4に導いた鍛治舎マジックで良い線いってくれると面白いなと期待しています。


いかがでしたでしょうか。こういう記事では、執筆のためにいろんな情報を集めて書き起こしているだけでワクワクしてきます。
今回は「筆者が見たい選手まとめ」としたため、一部の有名選手を除いて、かなり筆者の好みが反映されたものになっています。なのでここに挙げた選手が全員プロ注目というわけではありませんし、皆さんには是非とも自分が気に入る選手を見つけてもらいたいと思っています。この記事がそのためのきっかけになってくれれば嬉しいです。
それでは次回の投稿でお会いしましょう!

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