現役ドラフトに向けた12球団編成分析【実践編】
どうもどうも。今回は仮想現役ドラフト実践編です。各球団の戦力分析や現役ドラフトの候補選手については以下の過去記事をご参照ください。
・セ・リーグ編
・パ・リーグ編
なお、本稿は移籍・トレードについて扱うものです。「○○は戦力外ってことなのか!」とか「○○を出す(出さない)なんてセンスが無い!」という、この手の話題を気にする人にとってはセンシティブな話題ですので、こちらでご退席ください。ご訪問ありがとうございました。そういうのがイケる口の人はどうぞ読み進めてください。
仮想現役ドラフト 指名結果
現役ドラフトはその裏で何が起こったのか明かされることなく、誰がどこに移籍するのかの結果だけが知らされます。なので、本稿でもまずは結果だけを開示して、その後に解説を行います。それでは結果発表です!
いかがでしょうか。これが実現すれば面白いな!と思っていただける移籍もあれば、どうしてこうなった…と感じるものもあるでしょう。自分でやったことながら、私も同じように感じています。では、解説を始めます。
候補選手の選定
過去記事で書いていた内容から若干メンバーが変わっている球団があるので簡単に説明します。
ヤクルト
奥村、太田、松本を候補に挙げましたが、外野も守れてこの中で最も若い太田は残しました。
DeNA
名前を挙げていた阪口、京山に、同じく人数が多い年代からリリーフタイプの中川も加えました。
阪神
充実している捕手は2枚出し。大山・サトテル体制が固まり渡邉や高濱も入団して出場機会が減少すると思われる陽川を候補選手に。
読売
北村は宣言通り。外野手の放出はやはり頭数が心配だったので、代わりに大江を選定。今オフは大量の”育成落ち”を敢行した読売にあって、成績的には微妙だったのに(失礼)支配下に残った大江は”そう”見られていても。
広島
宣言通り奨成と正隨。投手は少し年齢が上の中村祐太を選定。
中日
野手はこれ以上入れ替えられないぐらい動きました。名前を挙げた投手から2人を選ぶのは難しかったですが、出場機会を減らし気味の選手から候補に。
オリックス
名前を挙げた中からは若い村西を除きました。
ソフトバンク
悩みましたが九鬼は出しませんでした。出場機会の無さという意味では制度の趣旨に合った選手ですが、ただ若い捕手の需要はそれほど高そうにありません。あとは宣言通りにリチャードと左腕2人。
西武
野手の数が多いので放出候補ではありましたが、出せるレベルの選手は多くないなあと思いながら。
楽天
非常に失礼なことを書きましたが…。出場機会に恵まれないと言うよりもただ試合に出られていない選手になってしまった気が。
ロッテ
やはり中村稔弥は勿体ない気がして出しませんでした。
日本ハム
宣言通り投手を5人出しました。
指名を終えてから思ったのですが、複数ポジションの選手を放出候補にすると誰が取られるかで今後の戦略が変わってしまうので、あまり多様に出さずに同タイプの選手を一気出しするほうがいいのかもしれませんね。もちろん選手の質にもよりますが。
1巡目入札
一本釣りを狙ってもその選手を獲得できるかどうかは全く分かりませんので、競合回避は何の意味もありません。競合覚悟で本当に欲しい選手を指名するはずです。各球団(を担当した私)の思惑は以下の通りです。
ヤクルト
捕手の頭数が欲しいとは言いましたが、中村・西田から内山に世代交代ができそうな時に、数合わせとは言え長坂ぐらい(失礼)の選手を加えるのかと言われると…と思い投手獲得に方針を転換。先発候補が欲しいですし特に左腕はいないので。
DeNA
やっぱり内野手が必要。となれば北村一択でしょう。
阪神
投手獲得が無難。ウエスタンでの活躍を知っているからこそK-鈴木を。岩貞の先発転向が噂されているので中継ぎの強化は必要でしょうね。
読売
投手が絶対に欲しい。二軍で無双しているK-鈴木に出番を与えれば、このチームならセットアッパーになれるでしょう。
広島
特別ここが欲しいというのは無い球団。強いて言えば先発左腕が少ないですかね。笠原と大竹どちらが良いのかは人によって評価が分かれるかと思いますが。
中日
手段はどうあれ、捕手補強は必須と実際に考えている球団。今回の候補の中なら長坂が最上位でしょう。ですが、この球団に必要なのは長坂以上のレベルの捕手ではないでしょうか。木下拓哉の次に来る捕手が必要ですが、それが長坂で大丈夫でしょうか(多方面に失礼ですが)。なので現役ドラフトではなく指名トレードで、より高いランクの捕手を狙っていると思います。であれば、捕手ではなく投手に方針切り替え。恐らくウエスタンで抑えられたであろうK-鈴木を味方に引き入れましょう。
オリックス
左腕の頭数は気にしていないかもと言いましたが、日本人で補強できるポジションの中で一番必要なのは左腕でしょう。先発タイプで大竹や笠原も気になりますが、まだ若い田浦を魔改造してみたい…見たくない?
ソフトバンク
センターラインが必要と言っていましたが、なんか北村ってかんじじゃない。外野手の頭数全然いないから小郷のほうが必要度は高そう。
西武
とにもかくにも捕手。一軍経験が豊富にある選手はいませんが、古賀より経験があって岡田の代わりになりえる選手としてなら長坂は適任と言っていいでしょう。中日と違うところは、求めているのが3番手(かそれ以下の)捕手だということ。もちろん大は小を兼ねるので指名トレードで取れなくもないですが。
楽天
今年は小深田が外野に回されたぐらいなので、ショート候補はたくさんいるに越したことはありません。今回の候補の中では北村が最上位。
ロッテ
二遊間の層を厚くしたかったものの、なかなか良い選手は出回りそうにありません。北村のイースタンでのOPSは平沢や茶谷と同じぐらいで福田や小川よりは上。悪くはないんですが… というか北村以上のショート候補なんていませんが。より希少価値が高いのは右の大砲・リチャードではないか、と考えました。
日本ハム
まずはとにかく外野手が欲しい。両翼しかできないタイプよりはセンターを任せられる選手ならなおいい。運動能力の高い小郷も有力ではあったものの一軍実績があまりにも少なく計算しづらい部分があります。日本一を目指すシーズンと位置付けている日本ハムにとっては、的確に穴を埋める補強を行いたいはず。ある程度一軍で起用されて得体の知れている川越を選びました。北海道出身ですし。
以上の結果から、ソフトバンクとオリックスが3票、読売が2票、中日・楽天・西武・阪神が1票ずつ集めました。
1巡目指名の流れ
最多得票のソフトバンクからスタート。最初の指名のとおり小郷裕哉を獲得しました。ここで指名権は、小郷が指名された楽天に移ります。楽天も最初の入札通り北村拓巳の獲得に成功。さらに読売はK-鈴木、オリックスは田浦文丸と続きます。
ここで指名権は田浦が所属するソフトバンクに移る順番ですが、ソフトバンクは既に1巡目の獲得を終えています。そのため、残っている球団の中から、最初の得票数が多い球団に指名権が移ります。また、得票が同数の場合はウェーバー順で決定されます。今回は中日になりました。中日はK-鈴木に最初の入札をしましたが、既に獲得されていたため再考。先発もできるタイプとして生田目翼を指名しました。日本ハムは入札通り川越誠司、西武は長坂拳弥と続きます。阪神もK-鈴木だったため再考。地元・関西は和歌山出身で力ある球を投げられる東妻勇輔を選びました。ロッテはリチャードに入札していましたが、ソフトバンクからは既に田浦が1巡目指名を受けたため獲得できません。当初の二遊間方針に切り替え奥村展征としました。ヤクルトは笠原祥太郎。中日に返ってきたのでここで一旦終了。
また得票数順に指名権が移るはずの場面ですが、残った広島とDeNAはともに得票数が0。この時は逆ウェーバー順で指名します。DeNAは選択肢が広島の選手しかなく、正直どれも補強ポイントとは言えませんが、自軍からはくすぶっている投手が出ていくので、代わりに投手をということで中村祐太としました。広島も右腕は足りていますが、この中では一軍実績がある京山将弥を指名。これで1巡目が終了です。
2巡目指名
あまり知られていないように思いますが、現役ドラフトは2巡目の指名ができるそうです。指名順は1巡目の逆順。ただし、2巡目は参加しなくても構いません。全体13,14番目で指名できる球団は1巡目で取りこぼしたポジションを埋められますが、23,24番目になる球団にとっては旨味がありません。2巡目に不参加の球団の選手は指名できないので、場合によっては13,14番目指名でも思い通りにならない可能性もあります。今回、(私の脳内の)各陣営が熟考した結果、中日~ソフトバンクが2巡目不参加となりました。1巡目でさえ後ろの指名順になると選択肢が狭まって苦しかったので、2巡目はなおのことでしょう。
それでは指名開始です。1巡目ではくすぶっている感じの先発型投手を入れ替えただけになった広島。1巡目で入札した大竹耕太郎は、ソフトバンクが不参加で指名できず、先発型は左右ともに良い選手がいないと判断したため、リリーフタイプで井口和朋を指名。次は井口の日本ハム…ではなく逆順でDeNA。内野手がどうしても欲しかったので、運良く残っていた山野辺翔を指名しました。ヤクルトはブルペン強化のため、今年一軍で20試合に登板した実績のある小沼健太を指名。
ここでロッテの順番になりましたが、特に欲しい選手がいなかったので選択終了としました。ルール上は1人獲得の2人放出はできるように読めます。支配下枠がいっぱいなのでその数を減らせたのはいいですが、これでは実質無償トレードなので、さすがにちょっと勿体ないことをしたなと思います。阪神はもう1人中継ぎ候補を加えたく、これまた和歌山出身の中川虎大を獲得。魔改造が期待できます。西武は投手狙いで2巡目に参加しましたが、残っている球団の候補選手は野手ばかり。ロッテは支配下枠がいっぱいだったのでトータル減員でも大丈夫でしたが、西武は支配下の人数が少ないので数合わせで獲得しないといけません。野手はあふれ気味ですが、致し方ないので一番使い道のありそうな松本友を指名。選手たちには失礼な話ですが。日本ハムは陽川尚将を指名。守れるポジションからして出場機会に限りはあありそうですが、意外とこのタイプはチームに少ないので悪くはないかと。
仮想現役ドラフトをやってみての感想
ここで今一度、指名結果を見返してみましょう。
いかがでしょうか。解説前に「なんでや!」と思っていた部分の感じ方は変わったでしょうか。そうであってくれたら、長い文章を書いてきた甲斐があります。
さて、作戦を考える場面でもちょいちょい感想を交えていたので、それ以外の部分について。この仮想現役ドラフトを終えてまず思ったことは…12球団分を1人でやるもんじゃないな、ということです笑 12球団全てをやる気出して見ているわけではないので、各選手に対する関係者からの評価を推察することができませんので、「いやいや、こいつは出さねえよ」という人選もあったかもしれませんし、「このポジションはGMはこう考えてて」みたいなのも拾いきれていないかもしれません。分身するか、仲間を見つけたほうが楽しく予想できるかもしれません。
もう少し中身の話をするとして、感じたのは「出場機会に恵まれない選手の救済」にはならないのではないか、ということ。今回年俸5000万~1億円の選手も1人なら出せるというルールになっていますが、5000万円以上の年俸を貰っている選手は、控えクラスとしてもそれなりに球団側の需要がある選手です。今回私がシミュレーションした際も、特に年俸を意識しなくても5000万円を超える選手はいませんでした。この制度を導入するにあたりわざわざあんな条件を加えたのは、そのクラスで飼い殺し状態の選手が移籍するための道を用意したかったのでしょうが、放出選手を球団が選ぶという時点でその可能性は限りなく低くなっています。よほどこの制度に好意的な球団でないと5000万~1億円の選手は移籍しないでしょう。京田みたいな立ち位置の選手がいれば話は別ですが。
だから現役ドラフトなんてだめだ、と言いたいのではありません。まずやってみるのは大事だと思います。ただ、恐らくこのままでは「やっぱり意味なかったな」で片付けられてしまうので、改善する必要は大いにあると思います。まあ、こんなことを言っておいて”大物”が移籍したら「おめでとう!」と言うしかないですね。私自身は移籍とか編成を考えるのが大好きなので、これだけいろんな選手が動くのは純粋に楽しみでもあります。
また、今回仮想現役ドラフトをやってみて良かったなと思うのは「心の準備」ができたことです。例えば、リチャードが欲しかったロッテは、先にソフトバンクの選手が指名されたことでリチャードを指名できなくなり奥村に変更しましたが、こういうのは裏事情を全部説明されないと、結果を表で見せられるだけでは分からないことです。なので、実際の現役ドラフトでも結果だけを知らされる我々は、安直にそれを批判するのは控えないといけません。やっている最中に自分で「どうしてこうなった」という場面はいくつもありました。全体から好きな選手を選べるのならまだしも、残っている球団からしか選択できないので。なので、仮に自分の贔屓球団の指名結果が微妙だったからと言ってそれを憂うのではなく、裏で起こっていた駆け引きに思いをはせるよう「心の準備」をしておきましょう。
ただ、特定球団の支配下選手が一気に減るようなことがあってはいけないので、既に指名を受けた球団からは指名出来ないようにするのは致し方ない制限ですが、「どうしてこうなった」指名が多発するようでは参加する球団にとって旨味が無く、この制度に反対されるようになりかねないので、そうなると困りますね。先にも述べましたが、今回の仮想よりも”大物”が移籍してくれるとこの制度に対する期待感も高まって移籍も活発になるでしょうし、来年以降の予想がもっと楽しみになります。是非前向きな感想を持てる結果になってほしいと思います。
さて、他にもいろいろ思うところはありますが、記事が長くなりすぎたのでこのへんで終了します。とりあえず、こうして「ああでもない、こうでもない」と想像するのは非常に楽しかったです。実際の現役ドラフトはもう2日後に迫っていますが、みなさんも「ああでもない、こうでもない」と予想してみてください。私の心に余裕があれば、実際の現役ドラフトの結果の考察記事も書いてみたいなと思います。
それではまた次回の投稿でお会いしましょう!