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現役ドラフトに向けた12球団編成分析【パ・リーグ編】

 引き続き、各球団の戦力分析をして現役ドラフトの考察をしていきます。セ・リーグ編はこちらから。
 ちなみに、サムネイル画像は今年私が現地観戦しに行って撮影したものです。今年は12球団の本拠地12か所のうち、仙台、甲子園、広島を除く9か所を訪れました。なお、そのうちプロ野球を見たのは札幌ドーム、西武ドーム(二軍戦)、京セラドーム、福岡ドームだけな模様。東京ドームとナゴヤドームに至っては(中には入りましたが)野球すら見ていません。

⑦オリックスバファローズ

戦力分析

オリックス 年齢表(12月4日時点)

 今年のオリックスは投手力で優勝したようなもの。投手育成力は球界随一のものです。特にリリーフ投手は出てくる投手のほとんどが150キロ超えの直球を投じる脳筋メンバーで構成されています。レギュラーシーズンでは先発で起用されたもののポストシーズンではリリーフで大活躍したワゲスパック、山﨑颯一郎は来季どう起用されるでしょうか。中継ぎに比べれば先発はやや薄い印象があります。まあ、山本由伸がいて何を妄言を、というかんじですが。左腕が極端に少ないですが、捕手獲得のために齋藤綱記を放出しているので、その少なさを気にしていない可能性もありますね。
 捕手では伏見が移籍してしまいましたが、森友哉の獲得には成功。指標で言えば大きなプラスです。一塁も守る頓宮を含めて支配下捕手は6人なのでぎりぎりと言ったところ。もう1人いてくれると安心できそう。
 内野手の頭数が実は少ないのですが、若い二遊間の選手が多くいて悲観しなくても大丈夫そう。セカンドのレギュラーが流動的なのは若干不安ですが、現役ドラフトで取ってくるレベルの穴ではありません。大砲候補が内藤以外にいればなおいいですね。
 外野はセンター候補が少なく、中川圭太が守るような状態はよろしくありません。吉田正尚がMLBに移籍してしまいますが、その穴埋めに近藤健介を狙っています。二軍の若手は充実していますし、今年の新人ドラフトで杉澤を指名したのも本当に良かったと思っています。
 今季は外国人打者が全くと言っていいほど機能しなかったので、吉田の穴を埋めるためにもその補強は必須です。一塁と左翼orDHに打力がある選手を置きたいですね。捕手・森に打者・吉田正尚の穴埋めを期待するのは荷が重すぎますので。投手もワゲスパックしか残らなかったので、ここから投手2人、野手3人程度は獲得の可能性があります。そうすると野手の頭数がちょっと多くなります。が、若い選手が多くて現役ドラフトの対象にするのも勿体ない気がします。森友哉の人的補償による放出もあるので、球団は複合的に考えなくてはいけません。今回の私は単純に考えますが。

現役ドラフトの見通し

 良い右腕リリーフが多いだけに出番を得られない投手が複数いるので、良いトレードの弾になってくれるのではないでしょうか。村西、漆原、K-鈴木、張、吉田凌あたりの中堅どころは環境を変えてやるのも一つではないでしょうか。K-鈴木なんかは二軍で素晴らしい数字を残しているので、指名トレード要員にするだけの価値はあるように思いますが。野手は若すぎて出せないか、必要不可欠な選手ばかりで、現役ドラフトに出せる選手がほぼいません。
 欲しいのはまず左投手、次点で捕手だと思いますが、先述したように左投手が少ないことを気にしてない可能性があります。どっちの手で投げようが抑えればいい、と考えているのかもしれません。野手は良い選手を新人ドラフトで指名しているので。特別このポジションが欲しいというのはなさそうですが、長距離砲が候補にいるなら欲しいです(外国人補強にもよりますが)。

⑧福岡ソフトバンクホークス

戦力分析

ソフトバンク・支配下 年齢表(12月4日時点)
ソフトバンク・育成 年齢表(12月4日時点)

 先発投手不足が大きな問題になっていますが、そこに追い打ちをかけるように千賀の移籍が濃厚。現役ドラフトに頼らずとも補強手段がある球団ですが、非常に不安な部分ではあります。リリーフのノーコンパワー右腕は飽和気味。育成選手が大量にいるのでさほど心配しなくてもいいかもしれませんが、20代前半の支配下投手が非常に少なく高齢化が進行しています。
 捕手は嶺井をFAで獲得。栗原がサードに転向、谷川原は外野も守っているので、8人という頭数もそれほど多いものではありません。嶺井と甲斐がいると飼い殺しになる選手は出てきますが。
 内野手は頭数が少ないのにサード系が充実しているという謎構成。その分ショートが少ないように思います。今年は今宮が元気で野村勇がハマりましたが、この球団あまりショートの育成は上手じゃなさそうですね。栗原がコンバートされるのにサード候補が多いのはバランスが悪い。
 外野9人というのは可もなく不可もなくですが、中村晃はほぼ一塁、上林は大怪我があり外野手として計算できるのかと言われると。特にセンターに苦労しそう。牧原大成のつもりでしょうか。それなら内野が不足しそうですがどうするのでしょう。
 デスパイネとグラシアルの退団が濃厚で外国人野手の枠が空きます。サード候補を獲得するとの報道もありましたが、まだ枠は余っているので、外野・DH要員の獲得もありそう。投手ではガンケル(前阪神)を狙っているそう。
 話は若干逸れます。来季から4軍制を敷くソフトバンクですが、先日の報道では、4軍まで合わせて選手122名の体制でいくと話していました。千賀を抜くと現時点の支配下+育成で114名。支配下であと3名程度の外国人選手を獲得するとしても、ルートは分かりませんが(おそらく育成で)5名程度を獲得する計算になります。トライアウトもとうに終わったこの時期から日本人の獲得は現実的でなさそうなので、育成で外国人を獲得するのでしょうか。今後の動きが楽しみです。

現役ドラフトの見通し

 やはり捕手以外のセンターラインの強化を図りたいところ。支配下投手の年齢バランス悪いですが、現役ドラフトで若い投手を狙うのは難しいでしょう。そもそもこの球団は育成でどうにかできます。新人ドラフトでは天井の高そうなタイプを好んで指名するので、その反対に痒い所に手が届く選手の獲得を狙ってきそう。
 続いて放出候補について。捕手の需要は高そうなので、誰か1枚出しても面白いと思います。あるとすれば九鬼でしょうか。渋滞しているサード候補も少し整理したい。育成上りで出身校のパイプもさほど気にしなくていいリチャードあたりが候補でしょうか。先発候補いないと言っておきながらですが、力はあるのに出番が少ない大竹や田浦も出番ある球団に移してあげたいと純粋に思います。

⑨埼玉西武ライオンズ

戦力分析

西武 年齢表(12月4日時点)

 今年は投手成績が非常に良く、Aクラス入りに大きく貢献しましたが、長きにわたって投手の酷さが課題だった球団が、急に投手のチームになったのは俄かには信じがたく、この活躍が長続きするのか懐疑的に見ています。これに満足せず厚みを持たせたいところ。頭数的にも放出する余裕はありません。特に左投手の不足が深刻です。
 森友哉が去った捕手は危機的な状況にあります。岡田が離脱してしまったら一軍レベルが古賀と柘植だけになってしまう状況は非常に怖いです。多少人数が多くなっても、一軍で使える捕手の需要は非常に高いです。そんな選手、現役ドラフトで取れるのか…?育成捕手が複数いて二軍を回すのには困らないので、中途半端なレベルの選手はむしろ不要です。
 一軍で使えるレベルの二遊間系は不足、スラッガー系は余剰がでている状態。ハムから佐藤龍世を引き取りましたが、立ち位置が中途半端で困ります。源田の離脱がチームの死を意味しそうな状態。
 外野は比較的若手が充実しています。特に、左打ちのスラッガー系外野手が飽和しているのは珍しいですね。センター系は少なく、今年センターでスタメンが最多だったのは鈴木将平でした。
 外国人選手は現在、投手が2人のみなので、投手1人・野手2人ぐらいは獲得するでしょう。スミスの退団を見るに、しっかりした先発要員が1人は欲しいはず。外野は全ポジションで得点貢献度が低いため、打てる外野の助っ人を連れて来ることができれば…

現役ドラフトの見通し

 外国人を切った現状の人数でもやや多い内外野は売り手になっていいポジション。二遊間系が少なくスラッガー系が多いと述べましたが、出しやすい年齢に多いのはむしろ二遊間系。出番を得られていないという意味では山野辺あたりが候補でしょうか。外野手で言うと、高木渉はまずまず人気するはず。ただ、高木は若く、今季は二軍でタイトルを獲得した実績もあるので、放出するにしても指名トレードに回すだけの価値はあると思います。であれば、同じ左打ちの外野手から川越や西川などが挙がりそう。
 欲しいのはバッテリー。特に一軍経験のある捕手は喉から手が出るほど欲しいですが、そんな選手は現役ドラフトには回ってこないでしょう。左投手を取ってお茶を濁すことになりそう。

⑩東北楽天ゴールデンイーグルス

戦力分析

楽天 年齢表(12月4日時点)

 投手の高齢化は大きな問題だったところ、新人ドラフトでは支配下で5人の投手を指名するという振り切った方針を見せ、一軍の強化を図りました。涌井の放出も敢行するなど世代交代に本気で取り組む気はありそうです。ただ、一昨年も投手偏重ドラフトをしており、年齢の偏りがあります。世代交代の波に乗れない、だぶつく年齢層の投手を整理する可能性はありそうです。また、「楽天は高校生を育てられない」と雑な考察をしてプチ炎上した人がいましたが、高卒の若い投手が異様に少ない構成になっているのは、自分たちの育成力に対する球団の自信の無さが表れているのでしょうか。
 一軍捕手は炭谷・太田体制では正直心もとないです。安田が打撃でも守備でも使えるようになっていると嬉しいのですが。層の薄さで言えばもう1人いてもいいですが、もう1年辛抱して有望な新人を獲得するのもナシではありません。
 内野では支配下ショートが弱点。トレードで獲得した阿部をセカンドで使えば浅村をファースト等に回すことが可能になり、戦術面で非常に大きなトレードになりました。なお平良。このトレードに加えて新外国人の獲得もあって、人数的に内野手の優先度は下がった気がします。取らなくていいとも言ってないけど。
 外野は、年齢バランスこそよくないですが、センター系も大砲系もいて質的には良いバランスだと思います。辰己が完全に定着したのが非常に大きいですね。2020年シーズン開幕前にGGに予想していた私も報われます。
 現時点で外国人野手は2名、投手は1名。左の先発・中継ぎが欲しいかなと思います。

現役ドラフトの見通し

 放出候補を考えていましたが、失礼ながら、他球団に放出したとしても開花しなさそうな選手が多いというか…。この制度が移籍を実現させたい「出場機会に恵まれない選手」と言うよりも、そもそも実力が足りていないから出場できていないだけでは?となる選手が多い気がします。
 25歳前後が充実しすぎている投手はいくらか放出したいところ。藤平、高田萌生あたり。中堅~ベテランで言えば石橋や弓削が良い扱いを受けていないように感じます。伸び悩んでいる選手とはいえ右の大砲には一定の需要はあると思うので、横尾や和田も移籍すればあるいは。小郷も同学年の辰己がレギュラーに定着した一方で苦しんでいるので、環境を変えれば一発あるかもしれません。オコエもよく候補に名前が挙がりますが…
 欲しいのはポジション問わず若い選手、ですが若手は現役ドラフトに出てきません。どのポジションも微妙に足りていて微妙に足りていないのですが…やはりショートを獲得しておくのがこの球団にとっての無難でしょうか。

⑪千葉ロッテマリーンズ

戦力分析

ロッテ 年齢表(12月4日時点)

 先発ローテーションの柱が不在だったところ、新人ドラフトでは菊地の獲得に成功。来季は佐々木朗希もより本格的な活躍が見込めるでしょう。リリーフは外国人選手次第で不安があります。なお、外国人選手は全員が保留者名簿から外れましたが、ロメロ、ゲレーロ、オスナは残留させる方針だそう。一応は安心してよさそうです。左の若手が非常に少ないですが、現役ドラフトで埋めるのは無理でしょう。明確にこういう投手が欲しいというのはありませんが、全体的にレベルアップは必要に思います。
 捕手は松川と佐藤都志也を併用しながら田村をサブに配置できます。粒の大きさは少し物足りませんが、これ以上誰かを足すほどでもなさそう。若手にシフトできたので年上の3人は整理したいですが、この層では放出できそうにもありません。
 新人ドラフトではショートの選手を育成含めて4人も獲得したので、これ以上の素材型は不要です。友杉に期待しすぎるのは良くないと思うので、一軍で出せるレベルなら補強もアリですが、最低でも平沢は超えて欲しい。また、慢性的に長打力が不足しており、新人ドラフトでもそのタイプは指名できなかったので、可能であれば獲得したい。まあまずは外国人補強がどうなるかですけど。一塁・DH候補の大砲が欲しいですね。
 外野では髙部がブレイクしましたが、センター系に不安が残ります。藤原はどこ…? 将来性豊かな大砲選手はいます。頭数は揃っていますが、中堅が少なく若手と年寄りが多いので、判断が難しいところです。

現役ドラフトの見通し

 入団テストがありましたが、支配下枠ぱんぱんのところにまだ日本人を足すのでしょうか。と言うか、この時期まで音沙汰無いってことは… とりあえず、投手は多めなので放出候補になりそうです。小沼、土居、成田、東妻あたりでしょうか。中村稔弥を出すのはちょっと勿体ない気もしますが、もっと彼を活かせる球団がある気もするので難しいところ。
 獲得候補は二遊間の選手とします。友杉を指名したとはいえ一軍レベルのショートが不足していることに変わりはありません。メインを友杉にするとしてもサブ級ほしくない? しかも、セカンドの中村奨吾が離脱すると即ち死な層しかないので、二遊間は厚めにしておくに越したことはなさそうです。大砲系の内野手もいてくれたら嬉しいですが、そんなに出回るタイプではなさそう。もし可能なら、前でも後ろでも柱になれそうな投手がいれば狙いたいところ。

⑫北海道日本ハムファイターズ

戦力分析

日本ハム 年齢表(12月4日時点)

 序盤から上位争いに絡まず最下位を独走したため、なんか全部の成績が悪かったような印象がありますが、実は(?)先発投手の成績はそこまで悪くありませんでした。加藤、伊藤、上沢と柱はしっかりしています。中継ぎは役者が不足。”トライアウト”の年だったとはいえ、勝ちパターンも全然決まりませんでした。逆に言えばいろんな選手にチャンスがあるわけですが。頭数だけはやたらに多いので整理対象ではあります。なお、矢澤は二刀流起用かと思うので、左投手と外野手とで0.5人ずつで計算しています。
 捕手では、オリックスの連覇を支えた伏見の獲得に成功しました。さらに、アリエル・マルティネスを調査中との報道もあり、今シーズンは宇佐見も頑張ったので、まずまず厚くなったと言えそうです。若手がピリッとしませんが、そのへんは来年の新人ドラフトで。
 内野では清宮、野村、上川畑あたりが結果を残しました。このメンバーを来季レギュラーに固定できるといいのですが。二軍で育てたい二遊間選手はいてほしいですが、現役ドラフトで取れるものではなさそう。一軍はセカンド以外は上記の若手で固そうですしバックアップ要員もいる。急ぐ理由はないでしょう。
 外野は近藤がFAで移籍してしまうと量的にも質的にも大変なことになります。そりゃあ江越でも欲しいわけやわ。中島に外野を守らせたり、松本や近藤がセンターをやるぐらいには外野手が不足しています。打者矢澤はまだしも、外野手矢澤には未知数なところしかなく、とても潤沢とは言えません。
 外国人野手の失敗にも泣かされた1年でしたが、まだましな成績だったアルカンタラは残留。外野1枠とDHに長打力がある選手が欲しいですね。また、近藤が移籍すれば人的補償が発生する可能性もあります。近藤には残ってほしいですが。

現役ドラフトの見通し

 頭数のバランスで言うと放出候補は投手、それも複数枚出し以外にありません。それぐらい偏った人数になっています。”トライアウト”の合格者が少なかった投手を削るのに若干の躊躇はあるものの、逆に不合格者を残しておく理由も無いのかもしれません。中堅の年齢の右腕が非常に多いので、生田目、井口、池田、西村あたりをどんと出してしまいましょう。左腕ではサイドの齋藤綱記をトレードで獲得したので、同じく左サイドの長谷川、福田は浮いてしまいます。このうち長谷川は来季が2年目なので出すわけにはいきません。左のワンポイントリリーフは一定の需要がありますから、福田を出せば必要としてくれる球団に移れるかもしれません。
 獲得候補は外野手優先で次点は内野手。できればセンターを守れる選手がいいですね。

 終盤は頭が回らなくて適当になってしまった部分もありますが、何とか12球団分、簡易ではありますが、分析を書き切ることができました。次回は、この分析を踏まえて実際に指名をシミュレーションしてみる【実践編】です。分析と言うより感想が中心になるかと思いますが、よろしければお読みください。
 それでは次回の投稿でお会いしましょう!

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