【十二獣エルドリッチ】解説記事
こんにちは、ガリスです。
noteでは始めましての方も多いかもしれませんので自己紹介を。
【実績・入賞経験】
選考会3年連続出場
WCS2017日本代表
同じく世界大会BEST8
WCS2019日本代表次点
CS優勝17回
好きなカード トリックデーモン
いっぱい調整して、もっと強い人と戦って、もっともっと良い試合出来たらいいなぁって思いながら遊戯王楽しんでいます!
今回は最近使用しているエルドリッチと十二獣を混ぜたデッキ(巷でよく十二エルドと呼ばれています)を使うにあたって有用なプレイングなどを紹介していく記事を書いていきます。
来期使うデッキを迷っている方、十二エルドに興味のある方、大会に出てもしかしたら十二エルドと対戦する予定のあるかもしれない方、皆さんの参考にしていただければ幸いです。
【デッキコンセプト・デッキの強み】
十二獣・・・テーマ内モンスター1枚でエクシーズ召喚が出来るというデッキ。
先行はドランシアや未来龍皇ホープを狙い、後手はワイルドボウのダイレクトアタックを入れた後、アーゼウスで豪快な捲りを行える。
1枚初動故に器用なデッキだが、後続確保能力とライフカットにやや難あり。
エルドリッチ・・・墓地の専用罠を除外してデッキから新たな専用罠を伏せれる、ターンが経過する程自分が有利になっていくデッキ。
先手はガバ伏せで相手を妨害しつつ、主役の黄金卿エルドリッチでライフを奪っていく。
しかし1枚初動が無く、後手捲り能力も少々乏しい。罠デッキであるが故にライストニングストームやリブートを撃たれると0妨害になりやすい。召喚権は余りがち。
最初はこの2つのデッキを別々に組んで回していました。
ところが、ある日「十二獣とエルドリッチを組み合わせたら、前にも妨害が置けるからバック破壊に弱いというエルドリッチの弱点と、後続が続きにくくライフカットが遅いという十二獣の弱点を補いあったデッキが出来るのではないか?」という思いつきで組んだデッキをADSで作って遊んでいた所、
思ったより高い勝率(一時は8割を超えました)が出た事に加え、数日すると似たような構築とADSでマッチングするようにもなり「あれ?もしかしてコレ当たりなのでは?」と研究進めてみたら優秀な事がわかったのです。
具体的には下記のようなメリットがありました
・アーゼウスの後ろに置く妨害が黄金卿カード&エルドリクシルであれば、吹き飛ばしてもエンドフェイズに帰って来る。
・純エルドより純十二より捲り能力が高い。エルドリッチによる除去と召喚権を使ったアーゼウスちらつかせての攻め両方が取れる。
・1ターン目に先行で盤面を作って、返しのターンでワンショットキルを狙う事も可能(例:先行未来龍皇+ラムの盤面にエンドフェイズに赤き血染めのエルドリクシルでエルドリッチを足し、アウス未来龍皇エルドリッチによる1850+3000+3500=8350など)
・リンクスパイダーが地属性であるが故に黄金卿カードをこれに変換し、崔嵬の地霊使いアウスを作成すれば相手の墓地からパンクラトプスや十二獣を奪える
・エルドランドをドランシアで能動的に破壊できるため、黄金卿罠+エルドリッチの構えを作るのが手軽。
・炎舞天キが場に残ることによるエルドリッチの墓地蘇生効果のコスト低減。
・泥試合に強い。エルドリッチであるが故に後続が続くことや、十二獣が搭載されている故にアーゼウスで盤面を吹き飛ばせること等のトップ1枚解決手段を持っている性質が良い仕事をする。
・純十二獣やエルドリッチではかなり困難な後攻ワンキルパターンもこのデッキなら成立する。(例:未来龍皇+ライカで蘇生したサラブレード+墓地から蘇生したエルドリッチによる3000+1600+3500=8100)
このように様々な利点がありましたので、調整を重ね実用化に落とし込んでいくことにしました。
前期私はこのデッキを使用して
2位1回・優勝2回、そのうち1度は個人戦績8-0(うち7回はスト勝ち)と好戦績を残しており、
同じデッキを使った友人も好戦績を残しておりましたので環境で勝ち抜けるだけのポテンシャルはあると判断しています。
前期環境は序盤から終盤、一時特定のテーマがちょっと優勢となることあれど基本的に様々なデッキがいた群雄割拠環境でした。
その中でもこのデッキを使っていて「勝てないな」と思うデッキも少数分布のオルフェゴールくらいしかいませんでした。
十二エルドは「こうしたら勝てる!」というような豪快なパワームーブこそ無いかもしれませんが、このデッキはこれといった弱点が少なく、対応能力があってプレーでなんとかできるゲームも多く、先手後手どちらでも安定して戦えるという性格を持ち、これらが良戦績につながったと思っています。
【デッキ構築】
上の構築が11月末に使用していた構築、下の構築が10月末ごろに使用していた構築です。
来期はエルドランドが準制限になりますが、逆に言えばここを1枚何か他の自由枠にすればほぼそのまま使う事も可能です。
さて、主役半分を務める十二ギミックですが、このデッキにおいてパワーの高いカードとはなんぞや?とフォーカスすると、それは好きな十二獣を選択してサーチできる上に場に残ってエルドリッチの蘇生コストにもできる炎舞天璣であり、そこから生まれるアーゼウスやホープやメガトンだと落ち着きました。
なので十二獣最低限の搭載にし、他の魔法罠を始めとするカードを多く引き込むことを期待した構築になっています。
召喚権を食うモンスターがあまりかさばるのはこのデッキとしてあまり嬉しくないと調整で感じました。
さてもう半分の主役となるエルドリッチですが本体は2枚とサポートの黄金卿カードとエルドリクシルをある程度入れる形としました。
エルドリッチに最悪初手でたどり着けなくとも十二獣で妨害確保や捲りが見込める点、
ランク10をトドメのグスタフ以外で要求せずとも済むゲームばかりになる事、
1枚墓地にあれば勝てるようゲームメイクしていくことが可能で指名者やシャドールエリアルを任意タイミングで投げるような除外メタに関してはこちらのプレーである程度ケアが効くこと、
魔法罠が手札に余りにくく泥試合に入った中盤・終盤のトップが「魔法罠か?(一番魔法罠であってほしい)十二獣か?(これならなんとかできる)妨害になるカードか?(しんどいがまだ繋げれる)」は研究した結果統計上見過ごせない要素であったためモンスターの比率を抑える意味もあり、この採用枚数に落ち着きました。
通常のエルドリッチと異なり後手を捲りに行く際にエクシーズ召喚を連発するため墓穴の指名者も採用しました。
手札誘発は環境に合わせて採用しようと思います。
最初はアーゼウスを通すために投げるエルドリッチの除去効果に墓穴の指名者を受けることを防止する役割も持てる屋敷わらしにしていましたが、
前期終盤は電脳堺や未界域のような先行でぶん回ってしまえばそのままゲームが終わるような展開系デッキが私の地域では多くみられたため、サイフレームセットを搭載して耐性を付ける事としました。
環境の分布次第で永続罠を採用するのも良い選択肢となります。特に手違いのような後手でも活躍してくれる永続罠が使い心地が良かったです。(例:手違いの場合ですとアーゼウスで雷龍の盤面を捲ったのに、次のターン融合除外から雷劫龍サーチ→電と玉除外して~というよくある負けパターンをこれ1枚バックに置くことで潰したり。召喚獣や閃刀姫が環境に存在したり。)
いるかCSにおいて採用していた神の宣告は拮抗やライトニングストームを見れて手違いや勅命というような永続を守ってゲームを進めれるので理論上こちらの方が強いはずなのですが、
どうも調整を重ねると今期に関しては通告の方が優秀だと判明しました。
後手でも活躍できる点が大きかったです。例えば相手の先行盤面を退かしきれない時に置いておき、エルドリクシルや黄金卿に誘発即時効果を撃たせてこれを打ち取りワンキルを失敗させ泥試合に持ち込むというような役割を果たしてくれるというゲームが多数発生した事からこちらを多く採用することにしました。
とはいえ片方3にして片方0にすると相手が意識してくれなくなります。
具体的な例を挙げると「神宣入れてないんだ。じゃあライストとコズミックあるけど伏せにライストから打ってええな、コズミックとっとこwww」とかいう事態が駆け引き上発生するおそれがあるわけです。
時間のかかる試合になるとギャラリーが沸いてデッキ見られることはCSではよくある事なので、この辺りも考慮して1:2にしていました。
ただ分布をみるに新制限序盤に関しては大人しく通告3枚採用のレシピの方が使い勝手が良いように思えます。
≪サイドデッキの解説≫
展開系への対策としてまず原始生命体ニビルを採用しました。
後攻で強いのはもちろんなのですが、先手で投入する場合エルドリクシルを発動しているターンにはアンデッド縛りが掛かってしまい打てないので注意が必要です。
逆に「アンデッドしか出せない」という裁定を利用したプレーを意図的に狙う相手もいます。
コードトーカー相手に先手を持つ場合です。
このデッキは後手で攻め込んで来る際にアクセスコードで一度ニビルを踏んだ後、ニビルで発生するトークンをリンクスパイダーに変換することで展開を継続し2枚目のアクセスコードをアップデートジャマー素材で成立させてワンキルするという展開を行う事ができます。
しかしチェーン1ニビル、チェーン2赤き血染めのエルドリクシルとチェーンを組むことでニビルはルール裁定により「リリースだけ行い、トークンを発生させずに手札に残る」という処理を行います。
このようにリンクスパイダーを使った貫通を防ぐ以外にも、出て来る原始生命体トークンがあまりにステータスが巨大になって手札に十二獣もいないというような状態や、相手のライフポイントが3500以下の場合等にもこのプレーを行うことでがら空きのフィールドを用意できますので状況に応じて選択肢に絡めていきましょう。
応戦するG
シャドールやSPYRAL、名推理を搭載している普通のエルドリッチなどを相手にした時に活躍してくれます。
フィールドに居る間はこちらのエルドリッチの除去効果も蘇生効果も使えませんが、十二獣を搭載しているこのデッキであれば相手が除外の影響を受けている間にドランシアで盤面を荒らしてリソースを削り詰ませたり、邪魔になったらアウスにしつつ増殖するGをサーチしたりできます。
シャドール等がドラグマパニッシュメントをバックに置いている可能性がある場合などは盤面に残し続けるようにします。除外状況下ではエクストラのカードを除外して処理が終わるだけになります。
接触するG
召喚教導や十二獣、プランキッズを停止させるのに有効でした。
アレイスターや十二獣、プランキッズの通常召喚に当てれば妨害の数がぐっと少なくなります。その間に盤面を整えたりアーゼウスを用意して試合を有利に進める準備に当てましょう。
抹殺の指名者で止められることが現状ほぼ無いカードなのもメリットです。
ゲームがある程度進行している場合は注意するべきシーンもあります。たとえば十二獣と戦っていてこちらの墓地に十二獣がいる場合はリンクアウスにされて余計な被害を被る場合がありますので適宜見計らいましょう。
しかし召喚獣が制限改定で弱体化したこと、電脳堺に相性が悪いプランキッズが少々分布数を落としている事から現在の環境では優先度の低いサイドカードとなっていると思われます。
パンクラトプスは今季多くのデッキで活躍しているカードで、次回の改定で制限カードとなった優秀なカードですが、元よりこのデッキでは1枚採用に留めていました。
このデッキは私が編み出した10月31日時点ではほぼ完全に私のオリジナルデッキ扱いで使用者等ほとんどおらず、チームメイトを除くCS会場にいた全員が初見状態でした。
このような状態ですと相手が先手を取るのか後手を獲るのか私からも判別がいまいち付かないので後攻か先行かイマイチわかりませんので後攻又はスローゲームで真価を発揮するパンクラトプスの性能を十全に発揮できません。(結果先行を押し付けられる事が多かったので正解でした)
デッキの特性上エンドフェイズにエルドリッチや黄金卿カードを発動し盤面にモンスターが残っている事が多い事も浮き札となる懸念事項となります。
そして本来パンクラトプスが行ってくれる除去・打点という役割はエルドリッチが果たしてくれている事から、使い勝手を考慮するとリンクアウスでドラグマパニッシュメント等を踏んだ後や自爆特攻後のサーチ先として1枚あれば十分と判断しました。
ロンギヌスと次元障壁の2枚は2020年9月環境を語る上で最早説明不要なサイドボードと言えるでしょう。
雷龍・召喚獣・電脳堺のような除外を多く活用するデッキは多く存在しましたのでロンギヌスは活躍の機会が多い環境でした。
こちらが受ける拮抗勝負やコズミックサイクロンに合わせるととても良い気分になれるのもよかったです。
腐った場合は魔法罠としてセットし、エルドリッチの蘇生コストにしてしまいます。
ちょっとしたテクニックですと、対雷龍で相手がノーガードの場合、パンクラが浮き札になっている事がありましたので、メイン2でロンギヌスをアドバンス召喚し相手スタンバイフェイズに自身リリースしてフィールドを開ける事でさらに1ターンこちらが盤面を固める準備期間が作る・・・なんて事もしました。
来期はパンクラトプスが制限なので行うか怪しいですが、一応アドバンス召喚とリリースが可能という点を覚えておくといつか役に立つかもしれません。
次元障壁は特定の召喚方法を多用するデッキに対してライストで吹き飛ばされても良い罠として活躍してくれます。
エルドリッチであるが故にターンを跨げば跨ぐ程ゲームを有利に進めやすくなる点とよくあっています。
ライトニングストームに関して
前述のように先手か後手かサイドチェンジ後相手がどちらを選ぶかよくわからない事も多く、エンドフェイズにエルドリッチや黄金卿を出す特性上使い勝手は悪いはずのカードです。
しかし対エルドリッチミラーにおいてこのデッキは普通よりエルドリクシル・黄金卿カードの枚数が少ないので、相手のみ一方的に3巡目4巡目のリソース回復を行えてしまい息切れしてしまいます。
ここをなんとかするためにはアーゼウスの活用や十二獣ヴァイパーの除外効果の活用を狙ったりライフカットを意図的に早める必要があります。
それらの邪魔となる永久やコンキスタを一旦退かせるかどうかは重要なポイントとなるため、ライスト2枚とコズミックサイクロンの3枚目をサイドデッキスロットとしてピックしました。
魔封じの芳香はサイドチェンジ後、ペンデュラム系のデッキに絶大な威力を発揮します。
それ以外でも飛んでくることが多いライトニングストームの回答となり相手の攻めを1手遅らせた上で。相手が無駄に伏せなければならない魔法は次のターンアーゼウスでまとめて除去するなんて事も狙えて爽快です。魔法カードを多く採用しているデッキ相手に先手を取る際は狙っていました。
ドロール&ロックバード
未界域を相手にした時にこれがデッキの中にあるか無いかで天地の差なのでたまらず搭載しました。
≪エクストラデッキの解説≫
普通の十二獣のエクストラにグスタフとリンクスパイダーを突っ込んだだけで特に説明を要するものはないかと思います。15枚全部多用しました。
未来龍皇やメガトンゲイルはモルモラット1枚又はサラブレード+ラムの2枚の手札から成立させます。(ライカでラムを蘇生してドランシアで破壊する流れで回すと作成できます)
時折トロイメアユニコーンやカオスソルジャーなどの強力なリンク3モンスターやリンク4だとヴァレルロードドラゴンのようなモンスターが欲しくなります。
ガンマを採用しているなら8シンクロも視野です。サイフレームによるシンクロのみならず、コンキスタ+レベル3チューナー通常召喚という手段でも呼び出せます。
調整した結果私の採用している15枚のうち使用頻度が比較的低いのはメガトンゲイルで、「相手の墓地へ送りたくないカードの除去(例:墓地のレイを蘇生されたくないがシズクは退けたい・場のアプカローネ退けたい等)」と使用したいケースがやや少なかったので、ここを他のカードにするのも良いかもしれませんね。
≪他に採用候補になったカード≫
・天龍雪獄
相手を選ぶものの、これ1枚で相手の墓地のモンスター1枚と場のモンスター1枚を除外できる通常罠。
今期のような環境で採用したかったのはコードトーカーやドラゴンメイド等の種族が同じテーマが多かった事もありますが、対エルドリッチが下手するとこのカード一枚で終わったりと他の罠よりも天龍雪獄1枚がその試合に与える被害度が格段に高かったからです。
神の通告の方がより使い勝手が良かったものの、こちらもポテンシャルは十分と感じています。
・金満で謙虚な壺
安定性の底上げ。最低限の十二獣とアーゼウスが残っていればいい事と、混ぜ物デッキであるがゆえに発生する偏りによるバランスの悪い妨害数が1とかしかない手札の発生率を抑える目的を満たすのに丁度いいカードです。
サラブレード以外にドロー効果を持つカードも無いので他のカードの阻害になりにくいです。
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