見出し画像

計算力学技術者 熱流体力学分野 1級合格のためにやったこと

受験するか迷ってますか?

熱流体1級には3つの分野があります。

  • 単相流

  • 混相流

  • 燃焼

合格率は毎年50%くらいでちょっとひるむ数字です。以下は機械学会が公表している熱流体1級のみの合格率です。
2022 50.4%
2021 53.6%
2020 実施なし
2019 52.9%
しかも2級と異なり記述問題を含みます。

単相流は2級の延長的な内容なので、もっともとっつきやすいのではないでしょうか。大きな違いは圧縮性流体を含むことです。
混相流は気液2相流だけでなく、DEMとか粉粒体固体を含み、
燃焼に関しては化学の知識も必要ですね。

混相流と燃焼はもうなんかスペシャリスト感が出てて、白目をむきそうなのと、筆者は特に専門がないので単相流を選択しましたが、それでもかなり背伸びして受験を決めたなぁと今さらながら思います。

わたしは勉強するきっかけが欲しかっただけなのです。
なんか勉強したい、しないといけない、けど何をしていいかわからないので1級でもとるかぁと始めました。

問題集を初めて解いたとき、問題が解けないのは当然ながら、問題の意味も解説の意味も分からない、これはほんとに日本語か??のレベルでした。

この時は途方もなく難しく感じましたが、合格してみると1級の内容なんてほんのわずかな断片的知識に過ぎないとも感じます。

きっとこれからかなりの長旅、いばらの道が待ち受けていますので、
たかだか資格試験ぐらいでひるまずに、たんたんと勉強して乗り越えましょう。

この記事はわたしが単相流分野で合格したときの対策ですが、どの分野にも使えそうな対策についてまとめています。

いざ対策

合格するためには

日本機械学会の標準問題を完璧にすらすら解けるようになること
これだけです。

当日の試験は約半分がこの問題集と類似した問題が出ると言われています。
つまり残り約半分は初見の問題が出るわけですが、わたしは初見の問題は一切解けなかったと記憶しています。
というか、覚えてきたことを出力するだけで時間切れでした。
じっくり考える時間はない、、、

勉強期間

勉強期間はひとにもよりますが、なんせわたしは標準問題集がスワヒリ語に見える状態でしたので、1年半かけて勉強しました。

2021/7~ 数値流体工学に関する本を読み始める。
2022/1~流体力学を勉強開始。
2022/3~問題集の問題(圧縮性を除く)を中心に勉強をはじめる。
2022/7~苦手な乱流モデルを集中的に勉強する。
2022/10~圧縮性の勉強をはじめる。
2022/12 受験

使った教材

  • 標準問題集 4

  • 数値流体工学 荒川忠一著 東京大学出版会

  • コンピュータによる熱移動と流れの数値解析 S・V・パタンカー原著 森北出版

  • JSMEテキストシリーズ 流体力学 日本機械学会

  • 乱流の数値シミュレーション 梶島兵夫著 養賢堂

標準問題集の攻略

わたしの標準問題集の攻略法はいたってシンプルです。

   問題と解答例を諳んじて丸暗記する

ここで重要なのが、問題も暗記することです。

記憶というのは思い出すときに定着するので、思い出す作業を何度も何度も行う必要があります。問題を暗記すると、

  • 手元に問題集がなくても問題を解くことができる

お風呂に入ってるとき、通勤で歩いてるときにも復習ができます。

  • 頭で解くと速く解ける

問題集の問題は全8章、各章15問程度の記述問題です。
回答を紙に書いて問題を解くとそれだけで丸一日かかりますが、頭の中で解けるのでスキマ時間を使って1日1周のペースで問題集を復習していました。

ではどうやって問題を暗記するのかというと、わたしは
メモリパレスという暗記術を使いました。

自分の家、勤務先、通勤経路のようなよく知っている場所に覚えたいものを紐づけていくことで、思い出すきっかけを作ります。
これにストーリーをくっつけていくという方法で、メモリーアスリート(円周率の暗記桁数を競ったりするひとたち)にはよく使われる手法です。

例えば、”布団”と”CAD形状を使ってCFD格子を作る時の注意を述べなさい”という問題回答を紐づけてみます。
朝が覚めるとかけ布団の柄(縫い目)が三角形で構成されていてSTL形状のようになっていることに気が付きました。
→そうそう、CAD形状を直接読めないことがあるので、一度STLのような汎用データ形式に変換する必要がある。
時間を確認するためスマホを手に取ります。画面のガラス製保護シートにひびが入っていました。
→CADデータがクラックなどで質が悪いとエラーになることがあるため、事前に形状チェックや修正をしておく必要がある。でもロバストなソフトならこの処理が不要になることがあるんだったなぁ
というようなメモリパレスを事前に作っておき、朝起きてからこれを想像しながら身支度をします。

このメモリパレスを作る作業にそこそこ時間を要すので、多少無理やりでも作った次の日くらいはわりと記憶に残っているものです。
あとは忘れないよう、作ったメモリパレスを毎日復習してください。

計算力学の資格取得は無意味か?

わたしは、合格のために勉強したことが無意味だったとは思いません。
それは自分の費やした労力、時間、お金が無駄になった、自分の判断が間違っていたと思いたくないとからかもしれません。頑張って勉強して合格した人はみんな、受ける意味なんてない、とは言わないでしょう。
もし計算力学の資格なんて意味がないと言う人がいたら、きっとそのひとは有段者ではないので、放っておきましょう。

2級に関しては、CFDに携わる人はみんな最低限知っていたほうがよい内容です。1級は、業務に役に立ったなぁと思うことはたしかに(今のところ)ないです。でも、計算力学の受験勉強を通して、いちばんよかったことは

 勉強する習慣ができたこと

人の生活は45%が習慣に支配されているといわれています。
時間は有限ですから、新しい習慣が加われば、古い不必要な習慣がいくつか消えていると思います。
習慣の1つとして、学ぶことを組み込むことができたら、そこから小さな小さな変化がはじまるような気がします。




 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?