【ストーリー論】ウマ娘のアニメ、ものすごく良くできてない?って話【第2期編⑤】
SHO+XENONです。
前回:
前回、天皇賞春に向けての環境が整っていきました。今回いよいよ天皇賞春、トウカイテイオーとメジロマックイーンの直接対決の時です。勝つのはどちらか一方だけ、あるいは両方負けるかも知れません。それは少なくともどちらか片方の夢が断たれることを意味しています。さて、どちらの夢が叶い、どちらの夢が断たれるのでしょうか。
アニメ見ましょう:
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Ep.5-1 冒頭
世間の話題はすっかり天皇賞のことでもちきり。勝つのはトウカイテイオーか、メジロマックイーンか。あちこちで論争になっています。普段は仲良しのサトノダイヤモンドとキタサンブラックも言い争っています。
そしてゴールドシップがYouTuberデビュー。
ぱかチューブだけじゃなく、こっちでも頑張ってますね。
余談ですが、ぱかチューブはこれが好きです。ん゛め゛ぇ゛。
Ep.5-2 迫る勝負の刻
「よし、いいタイムだ」
トウカイテイオーの坂路トレーニングはすっかり板についたようで、走り終えても息を乱さずまだ余裕の表情を浮かべています。並走していたウオッカも驚くばかり。
しかも走り終えたトウカイテイオーはすぐにまた降りていってしまいます。「あと1本、やっぱ2本、いや3本!」これにはトレーナーも呆れるほど。
一方メジロマックイーンは、とうとうあの激重蹄鉄を外しました。久しぶりに元の靴で走るメジロマックイーンは、自分の脚の軽さに驚きます。その軽やかな走りは、これまでよりさらに力強さを増していました。
一方、期待の新星ミホノブルボンの早朝ロードワーク。相変わらず、サングラスとグレーのウインドブレーカーを着た何者かが後ろをつけていました。
メジロパーマーはダイタクヘリオスと一緒に、マチカネフクキタルに次の天皇賞春を占って貰っています。
マチカネフクキタルの占いが導き出したのは、「大逃げ・超逃げ・爆逃げが吉」でした。メジロパーマーは次の天皇賞春を「爆逃げ」することを決めます。
さらに場面は変わってツインターボ。いつも元気だけが取り柄のようなツインターボが、ここのところの負け続けでちょっと元気がありません。そこでトウカイテイオーにばったり会います。ツインターボはいつもの調子でトウカイテイオーに話しかけます。会話の中で「でもテイオー、怪我した時はもう駄目かと思ったぞ。よく頑張ったな」と言うと、トウカイテイオーはこう答えました。
「諦めないことが大事だからね。だから頑張らなきゃ!」
この言葉に、ツインターボは大きく励まされたのでしょう。声のトーンもいつもの調子に戻り、笑顔で「次のレース頑張る!」と答えます。
この時、まだ二人は知りませんでした。この何気ない日常のやりとりが、後にツインターボに執念の金星をもたらすことを。そしてそれがトウカイテイオー自身に奇跡をもたらすことを。
天皇賞春が行われる京都レース場には、早くも徹夜組のファンが並び始めました。一番いい場所で見るためにできるだけ早い順番で入りたいところですが、
そこにはすでに先客が……! 小学生がこんなところで徹夜組できるこの次元の日本は相当治安が良いようです。
Ep.5-3 決戦の朝
いよいよ当日朝。トウカイテイオーは朝のウォーミングアップがてら神社にお参り。メジロマックイーンも早朝からロードワーク。いよいよ無敗と連覇をかけて、トウカイテイオーとメジロマックイーンが激突します。
ゴールドシップさん久しぶりにお弁当売り
やっぱりトウカイテイオーはとんかつがお好きなんですね
一方メジロマックイーンは……スイーツ弁当の中身とは??
人気の上では一番人気はトウカイテイオー。しかし実績に分があるのは前回覇者メジロマックイーン。
ミホノブルボンと黒沼トレーナーの姿もありました。「ダービー、菊花賞に向けて、テイオーとマックイーンの走りを見ておけ」と指示を出します。
そこには例のウマ娘の姿も。
前回有馬記念でメジロマックイーンを破り、大阪杯でトウカイテイオーに撃破されたダイサンゲンも現れました。前回も触れていますが元ネタはダイユウサク、名前はソルティー・シュガーの「走れコウタロー」の曲中の実況で触れられる「穴馬はハッと驚く『ダイサンゲン』」からでしょう。ダイユウサクも実況中に「アッと驚くダイユウサク」と言われていますので、そこから来ているようです。
「走れコウタロー」はこちら:
「走れコウタロー」を元にした「走れマキバオー」はこちら:
「走れコウタロー」を元にした「走れマキバオー」をさらにウマ娘にした「走れウマ娘」はこちら:
閑話休題
逃げ宣言のメジロパーマーもターフに姿を現しました。
ダイタクヘリオスが観客席から応援してくれています。
「距離適性はマックイーンの方が合っている。
でも今のテイオーが負けるとは考えられない。
どっちが勝ってもどっちかが負ける。ああ、レースは残酷だ……」
トレーナーが嘆きます。が、
「残酷なんて、二人はそう思ってないだろ。なあ?」
ゴールドシップの言葉に賛同するウオッカとダイワスカーレット。しかしトレーナーの表情は晴れません。否が応でも、少なくともどちらか一方が敗北します。勝利を願うトレーナーには厳しい現実でした。
「しっかり目に焼き付けましょう」
「キラキラウマ娘同士の真剣勝負、じっくりと見させていただくとしますか」
「なんで勝負服なの?」
「欠席のウマ娘がいたらいつでも出られるように!」
チーム・カノープスの面々も来ていました。
ターフに向かう長い廊下。ここでも「奇遇」は起きていました。
「もし……」
メジロマックイーンの方から話しかけます。天皇賞までの間一言も口を利かなかった二人の久しぶりの会話です。
「……負けても泣かないでくださいます?」
トウカイテイオーは不敵な笑みを浮かべながら応戦します。
「ウィニングライブ、ボクの後ろで踊ってもらうから」
どちらも勝利の気迫に満ち満ちていました。この感じは第1期ではあまり見られなかったシーンですね。
メジロマックイーン、トウカイテイオーの順にターフに現れます。その度に歓声があがり、このレースによせられる期待の大きさを伺えます。
「競い合うライバルがいる彼女達が羨ましいよ」
これを見てシンボリルドルフが呟きました。
いよいよスタート……というところで、メジロマックイーンの落鉄がアナウンスされます。メジロパーマーが芝の中で見つけた光るものは、メジロマックイーンの靴に打ち込まれていたはずの蹄鉄でした。急遽その場で蹄鉄の打ち替えが始まります。過去には1番人気だったのに落鉄による不調で敗北したウマ娘もいました。不穏な空気が会場を漂い始めます。
トウカイテイオーは落ち着いていました。まるで巌流島の宮本武蔵と佐々木小次郎のようだとイクノディクタスが例えます。
蹄鉄の打ち替え作業は問題なく終了しました。ホッとした表情を浮かべるダイサンゲン。今まで不敵な表情と燃え尽きた姿しか見せてきませんでしたが、意外といい子なのかも知れませんね。
Ep.5-4 勝利と敗北
いよいよ天皇賞春がスタート。天皇賞は芝3200mの長距離レース。メジロパーマーが宣言通り爆逃げし、レースを引っ張ります。メジロマックイーンは6番手、トウカイテイオーは8番手。
白熱の展開に、「歓声は邪魔だ」と控えめに見ていた観客も、思わず応援の声をあげてしまいます。
序盤中盤、トウカイテイオーは抑えめにメジロマックイーンについて行きます。2周目の第3コーナーからが勝負だと考えていました。
そして第3コーナー、ついにトウカイテイオーが動き出します。メジロマックイーンも徐々に加速しはじめ、二人で先頭のメジロパーマーを追い抜いていきます。
第4コーナー、先頭はメジロマックイーン。その後ろをトウカイテイオーが追いかける。
そして直線、ついにトウカイテイオーがその持ち前の末脚を活かし、スパートをかけます。前を行くメジロマックイーンを一気に差しに行きました。
しかし、抜けません。
「へぇ……やるなぁマックイーン。でも、勝つのはボクだ!」
トウカイテイオーがさらなるスパートをかけます。しかし、ここでトウカイテイオーは過去に経験したことがない現象に見舞われます。
「脚が前に行かない……。なんで? なんで!?」
恐れていたことが起こりました。距離適性の差が出たのです。どれだけスタミナを鍛え上げても、もともと長距離に天賦の才を持つメジロマックイーンとは才能の差があります。過酷なトレーニングも、そこを埋めるまでには至りませんでした。
そして、メジロマックイーンはまだ余力を残していました。トウカイテイオーの前を走るメジロマックイーンがさらに加速、突き放しにかかります。
「負けられない……! ボクは無敗のウマ娘になるんだ!
会長と約束したんだ……!!
マックイーン!!!」
しかし、メジロマックイーンとの差はどんどん開いていき、トウカイテイオーは徐々に沈んでいきます。メジロマックイーンの天賦の才はやはり本物でした。
現役最強ステイヤー・メジロマックイーンは、最強の名を守ったまま、天皇賞春を制しました。この瞬間、連覇の夢が叶い、そして、
無敗の夢が破れました。
「あのトウカイテイオーが……負けた……」
メジロマックイーンの勝利を祝う喝采の中に、無敗の帝王が敗れたことへの戸惑いのどよめきがありました。
トウカイテイオーは5着。初めての1着以外の結果に、トウカイテイオーはしばらく掲示板の順位表を見たまま固まっていました。
そして祝福されるライバルの姿を見やり、喉の奥から嗚咽が漏れ始めます。しかし、「負けても泣かないでくださいます?」というメジロマックイーンの言葉を思い出し、表情を作り直します。
「マックイーン」
トウカイテイオーが声をかけました。
「天皇賞連覇……すごいよ」
その言葉を聞いたメジロマックイーンは、
「テイオーがいたから……あなたがいたから、今の私になれました。」
時に刺々しく、時に挑発的だったメジロマックイーンでしたが、心の底からトウカイテイオーを認めていたからこそ、そんな存在が傍にいたからこそ、メジロマックイーンはメジロマックイーンであれたのです。
言葉を紡ぐメジロマックイーンの言葉を最後まで聞かず、トウカイテイオーは、
「おめでとう、マックイーン」
親友の勝利を祝福し、抱擁しました。
「ボク、負けちゃったんだね……」
抑えきれない悔しさは心から溢れ出し、涙となって頬を伝いました。
Ep.5・総評
メジロマックイーンの天賦の才の凄まじさを感じさせつつ、初めて無敗の天才・トウカイテイオーが敗北を味わい、夢を打ち砕かれる、そんな複雑な想いを抱かざるを得ない回でした。
普通であれば、ここで主人公がメジロマックイーンに移るか、もしくはトウカイテイオーが更なる目標を見つけてカムバックしてくることになります。しかし、現状ではトウカイテイオーが次にどんな目標を掲げるのか見えてきません。無敗の三冠の夢が叶わず、無敗の夢も打ち砕かれた今、トウカイテイオーの心の支えは何になるのでしょうか? そしてメジロマックイーンがもし主人公となるなら、何処まで勝ち続ければ良いのでしょうか? 物語は一つのチャプターが終わり、新しい章が幕を開けることになります。
というわけで今日はここまで。また次回お会いしましょう、SHO+XENONでした。
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