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「子供のことは親の私が1番わかってる!!」という子どもにとっての呪い


ストレス社会とはなんぞやと言うところについて以前書いたところではありますが、

若者の自殺が多いみたいな問題も社会にはありまして、職業柄そういうしんどさを抱えた子たちと話をすることがあるのですが、
みんながみんなそうとは限らないですが、どこか視野が狭いなぁと感じることがあります。

自殺未遂をする若者

自殺未遂をした子に、どうしたのか、何があったのか?
という質問をすると
「昔からずっと死にたいって気持ちがあってたまたまやっただけです」
みたいに言うんですよね
じゃあ、今までは大丈夫だったけど、今回思い立ったのはなに?って問いには
「今までは受験とか目標があって気を紛らわすこともできたけどそれも無くなったから」
って
えぇ、生きるモチベーションが受験だったの!?
ってめちゃくちゃビックリするんですよね。
話を聞けども聞けども
したいことはない、楽しいこともわからない
みたいな
あまりにも受動的で自分からなにかをしようというエネルギーが微塵も感じられない
そんな雰囲気です。

親の過干渉が子にとってのストレス

そんな子どもの話を聞いた後にお母さんと話をしてみると
「あの子は人前ではお利口なことを言うかもしれませんけど、私たちの前だったらまた自殺しようとすると思います!」
という心配の思いから始まり、
こどもの情報を事細かに
「こんな子なんです!」
「あの子は自分の状況がわかってないけど、本当はこうです!」
と教えてくれる。

親と子を同じ空間で話を聞こうとすると
なんでも親が答え、親が子に同意を求め、子は親の言うことに頷く
そんな状況になってしまう。

確かにこの状況を見ていると
母親が子のことをよく分かっているから、子はなにも反論をしないのだろう
と思ってしまうかもしれないが、

本当にそうなのだろうか。

子といえど、100%親が把握できることなんてあるのでしょうか。
自分のことがわからないなんてあるのでしょうか。

私はそういった疑問を持たざるを得ません

子に知らない側面があるのが恐ろしい、子離れできない親

親から見て子どもは生まれた時から知っており、
おむつを替えないといけない。ご飯を作って食べさせてあげないといけない。
なんでもやってあげないといけない時期があるわけですが、
子どもは子どもで、世の中に触れ、理解し、成長しているものです。
親が見ていない幼稚園や保育園、学校でたくさんのことを学んでいます。

当然そういう環境は親と共有しているわけではないので、親の知らないことを体験し、学びを得ている可能性があります。

そんな子どもに対し、
いつまでも自分の理想像の子どもであったり、よく世話をしていたころの子ども像を押し付けることは、知らない子どもではなく、私の知っている子どもにすることができるのですから、親にとっては安心です。

子どもから見た親からの干渉

しかし、子ども本人にとってはやることなすこと親に監視され、確認され、このようにした方がいいよと、自分の思いを捻じ曲げられる。
あなたは〇〇なんだからと、アイデンティティを親の理想像に固定される。
息苦しい檻の中に閉じ込められたような感覚になるでしょう。
親が子どもであったとき、なんでも干渉してくる親をうっとおしいと思ったことはないのか?
親はいつも私のことを理解してくれている。親の言うことを聞いていれば絶対正しいんだ
って妄信しましたか。
子に関してつい干渉してしまうような親御さんはぜひこの辺りを自問自答してみてほしい。
「あなたのために言っている」
こういった言葉は本当に子どものためなのか。
言っている親自身が安心するためにその姿になってほしいのではないか?
ということ。
「子が言うことを聞かない!」
それは子にも意思があるから。なんらか親に反発したい思いを持っているからです。

親の干渉に対する子の反応

親の締め付けに対して
反抗できる子は、反抗期がやってきたと言われ、
自分の芯をもって歩み始めた証と言えるでしょう。

しかし、問題は反抗できなかった子たち。
①要領よく親と自分との調和を保てるタイプ
②何も考えなくても親がレールを敷いてくれるから、言う通りしていればいいや。と考えるタイプ
③自分の思い、考えはあるけど、親の締め付けの力が強く、自己主張を諦めるタイプ
この3パターンに分類できるのではないでしょうか。

①要領よく親と自分との調和を保てるタイプ

大人すぎる部分に少し心配してしまいますが、
周りをよく観察し、行動できる頭の良い子なのでしょう。
成長するにつれて、親の言うことをテキトーに流すようになります。
適度に親へ報告しつつも、自分のやりたいことをやる
そんな成長をしていきそうな気がします。

②何も考えなくても親がレールを敷いてくれるから、言う通りしていればいいや。と考えるタイプ

親の期待通りに勉強しレールに乗ってくれる優秀な能力があれば、順調に育っていくでしょう。
しかし、親の期待が高すぎて能力に見合わなかった場合、親の敷いたレールから外れます。親の言うこともできない自分はダメな奴だ。と自信を無くし、何もできなくなってしまう可能性があります。その挫折のポイントは受験、就活、結婚などでしょう。
親の言うことばかりを聞いているので、世界のすべては親の世界観そのものになってしまい、そこからこぼれると生きる価値を感じない無気力な人間になりそうです。
また、自分で考えたり、決めたりして、失敗した経験がないので、失敗を恐れ、親が指示しなければなにもできない大人になりますので、
就活が上手くできない、結婚ができない等社会生活に挫折しやすく、ひきこもってしまう可能性があります。
そんな時に、「そろそろいい大人なんだから家を出なさいよ」と言いたくなるでしょうが、家を出られるような社会経験を積ませなかったのは、親自身でありますので、そういう子を育ててしまったのなら、歳をとっても自分のかわいい子供として面倒を見ていかないといけないかもしれませんね。

③自分の思い、考えはあるけど、親の締め付けの力が強く、自己主張を諦めるタイプ

このタイプは、初めこそ、自分の思いが認められないもどかしさなどを感じますが、そのうち、自分の考えがあることを認識できなくなります。親の考えは自分の考えであると錯覚します。本心では別のことがしたいはずですが、無意識にその衝動を抑え込んでいるので
「なんかわからないけど死にたい(くらい辛い)」というようになります。
無意識に自身を傷つけているので、
何がつらいのか、何がしんどいのか、自分では認識できず、言語化できません。
その結果
「死にたい」という表現しかできず、言っているうちに行動に移す可能性があります。
このタイプも世界観の枠組みは親でしかないので、親の世界観、価値観なんてものは小さな小さなものでしかないので、すぐに底が知れます。
子どもだってそうです。子どもが親の世界観の底を知ったとき、
「自分は世界のすべてを知ったが、いいことなんてなかった。生きていてもこの辛さは消えないんだ」と感じるようになり、自殺を考えるようになるのだと思います。
本当はよく話を聞く友達など、親から離れた世界を知ると、今まで感じたことのない世界の広さ、自分に合った世界観を構築できる可能性があるのでしょうが、
当の本人にとっては世界はすべて知り尽くしていると思い込んでいるので、
他の人と交流したって無駄
と必要性を感じないため、他者に助けを求めません。

まとめ

子どものことは私が一番わかっているという親の思いは子どもがそれを信じてしまったとき、子ども自身の可能性をつぶす呪いとなる。

ほっておいたら危ないことをするから、危ないことは事前に取り除かないと!と必死になる気持ちもわからなくはないですが、
枠組みをはめ込むことで安心するのは子ではなく親自身であるということを知り、子の成長を陰ながらサポートしてやるのが親の役割であると私は考えます。
レールを敷いて楽をさせれば、挫折からの立ち直り方も、自分で考えて行動する方法もわからなくなってしまいます。
子は親の育成ゲームのキャラクターではなく、自分と同じ考え意識を持つ人間として接してあげるのが大切ではないでしょうか。
ましてや、現代はストレス社会です。
そういうストレスに対する対処方法を知り、学んでもらうためにも、親自身の心配から障害を取り除くというのを抑えて、自由にいろんなことにチャレンジする子どもを見守って知らぬ間に成長している子に連日驚いているくらいが丁度いいのではないでしょうかね。

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