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バックカントリーにいってきた


2022年の冬。

「マスダくん、バックカントリーいこうか!」

FULLMARKSのスタッフであり、山の大先輩であるタクローさんが誘ってくれた。


バックカントリー

バックカントリー(英:Backcountry / BCとも呼ぶ)と聞いてそれが何なのかすぐに分かる人は少ないと思う。地域による差もあるだろうけど、現に登山やスキー・スノーボードをやっていてもそれについて詳しく知らない人も多い。

わかりやすく簡単に言うと、滑走器具(スキー板・スノーボード)を担いで山を登り。整備されていない自然の山を滑ることを指す。


もちろん山はスキー場と違って整備されていないため危険はつきもの。雪崩や滑落、天候の悪化による行動不能など。考えられるリスクは夏山よりも遥かに多くなる。

それでも大自然を滑る爽快感や極上の雪質を求めてバックカントリーをする人は意外と多く、近年増えてきている(らしい)。それに憧れる人もまた多く、僕もその1人だ。


きっかけと延期

FULLMARKSで働くようになったことがきっかけでスノーボードにどハマりした。大学時代に始めたスノーボードも数年の間は年に1〜2回しか行ってなかった。それが今では週1ペースで行っているから自分でも驚きだ。

FULLMARKSスタッフとお客さん、大学からの僕の友人。
丸沼高原にて。


去年の3月頃、タクローさんがバックカントリーに誘ってくれた。山が好きな僕にとってスノーボードを練習する1番の理由はバックカントリーに行きたいからであった。誘いを受けた時は本当に嬉しかったし「やっと山を滑れる!」と気分は最高潮だった。


念願のバックカントリーに行く予定のちょうど1週間前、左鎖骨を骨折した。

見事に砕けた僕の左鎖骨。


友人とゲレンデを滑っている時に転んだのが原因。

その日は天気が良く、滑りながらボーッと空を眺めていた。早朝だったため所々まだ硬い雪が残っていてそこに逆エッジで顔から転倒した。

滑り始めて30分で帰ることになるとは思わなかった。しかも骨を折った状態で。

そんなわけで念願のバックカントリーは延期となってしまった2022の冬でした。


そして再び


今年もタクローさんがバックカントリーへ誘ってくれた。去年怪我で行けなかったのを気にかけてくれていたのだ。

記念すべき第1回バックカントリーの舞台は谷川岳となった。正確には谷川連峰のひとつである茂倉岳の東面、芝倉沢を滑る予定だ。

山頂から少し降りたところから見える芝倉沢。


予定していた日の1週間前になると、急に山に行くのが怖くなっていた。

雪山をちゃんと登った経験もないのに大丈夫か?そもそも雪崩は起きないのか?死ぬんじゃないか?また骨折する?などと悪いイメージばかりが次々と浮かんでくる。

去年怪我をしたことで「体って意外と脆いんだな」という実感と悪いイメージを植え付けてしまったのかもしれない。

それでも念願のバックカントリー。楽しみと恐怖心で半々の状態のまま本番を迎えた。


到着

水上ICをおりて車で20分。
谷川岳ロープウェイ駐車場に着いた。

車を降りてゆっくりと着替え始める。今回、足りない装備はタクローさんと、タクローさんの兄貴分であるサトウさんに貸していただいた。慣れない冬のギアをパッキングしていざ出発。

谷川ロープウェイから。
今年からリフトが別料金になったとか。


ロープウェイで天神平へ到着し、少し歩くと雪で真っ白になった谷川岳が姿を現した。初めて見た冬の谷川に気分は高まり、気がつくと恐怖心なんてどこかに去ってしまっていた。

真ん中の山が谷川岳。
左のトンガリがトマノ耳。右がオキノ耳。


スノーシューを履いたのは今回が初めて。これが意外と歩きやすい。初めは遅れを取るかなと思っていたけど、タクローさんの後ろについて順調に山を登っていくことができた。

立ち止まるのは写真を撮るか立ちションする時だけ。景色に見惚れながら歩いていると谷川岳山頂に到着していた。

やっぱり記念撮影ってイイ。


とくに休むことはなくそのまま茂倉岳を目指す。

途中、タクローさんが雪庇にヒビが入ってると指を差しながら教えてくれた。

右端の方に足跡がチラホラ。


「結構気付かずに入っちゃって、滑落することもあるから気を付けてね。」

そうやって危険箇所を見つける度にいろいろと丁寧に教えてくれた。

左底は急斜面。
夏山のバリエーションルートとはまた違うヒヤヒヤ感。
景色は終始最高。
新潟方面。
いつかこの稜線を縦走しながら滑りたい。


「はやく追いつきたい。」

「いつか自分も。」

なんて思いながらタクローさんの背中を追いかけ、バフバフの雪の上を跳ね気味で歩く。

前方に見えるのが茂倉岳。


気が付くと茂倉岳に到着しようとしていた。


念願のバックカントリー

茂倉岳山頂に着くと初めてちゃんとした休憩をとった。
コンビニで買ったおにぎりやパンを食べる。これがまたウマイ。

タクローさんにもらったやつ。
これはとんでもなくウマイ。病みつき。中毒。


山頂でゆっくり話しながらも、手は勝手に滑る準備を始めていた。

山で板を履くのはなんだかソワソワした。


念願のバックカントリーはもうすぐそこまで迫っていた。

「よし、行こうか!」

勢い良く後についていきたいところだが、そこは慎重に。
かと思いきや短くてカリッカリの急斜面。ヒヤヒヤしながらも通過してドロップするポイントへ。


「マスダ君はあの辺がいいんじゃないかな。」

滑り易そうな雪質の箇所を教えてもらい、頭の中ではルート取りのシュミレーションを何度もしていた。

先にタクローさんが滑る。

「フォーーーーー!!!」
叫びながら気持ちよさそうに滑るタクローさん。


心臓のバクバクが止まらなかった。
「いいよ!」と合図を貰うも足が震えた。

「よし!」

顔を思いきり叩いて滑りだした。
右へターンしようとしたら緊張で強張っていたのか、体が思うように動かなかった。2ターン目で転げ回り、前方に3〜4回転してようやく止まった。

転んだおかげで体の緊張が解けた。

地形や陽の当たり具合で色んな雪質があった。柔らかそうに見えて硬かったり、深そうに見えて浅かったり。交互に現れる重い雪と軽い雪に足を取られたりもした。

思い通りにとはいかないが気持ちよく滑ることができた。


滑っていくにつれて脚の疲労が蓄積し、どんどん思うように滑れなくなっていった。

下の沢沿いまで滑り降ると脚は疲労でパンパンになり、体が変に強張っていたせいで滑りながら何度も足が攣っていた。

それでもなんとか安全なところまで滑り切ることができた。

1本目、歓喜の万歳。


滑り終えて

スノーシューに履き替えて歩き始めると、1人反省会が始まった。

・ハイクは意外と問題なかった(天候&雪質が良かったため?)
・悪天候時のケースを考える
・雪質の変化に対応できるように滑る技術をつける
・重い荷物を背負った状態で重心を崩さないように滑る
・雪山でのリスク管理と勉強
・前後の天候から雪の状態を予測できるように
・山に圧倒されて萎縮しない(慣れるしかない)

奥に見えるのが柴倉沢。
デブリを発見。
これに飲まれたら即終了。
重そう〜。


これまで夏山しか行ったことのなかった僕にはどこをとっても刺激的な1日になった。

この日は下山しても不思議と疲労感はなかった。ずっと興奮状態になっていたんだと思う。

「温泉入って、飯行こうか!」

熱すぎないお湯が気持ちいい『湯テルメ』は帰りにサクッと浸かるのにおすすめ。

みなかみ方面の山に行った帰りは決まって『寄居PA』で晩飯を食べるのが僕のおすすめ。ただこの日は間に合わなかった。。(※レストランの営業時間は20時まで。お気を付けて。)


おわりに

というわけで最高のバックカントリーデビューをすることができました。タクローさんには大感謝。

冬の遊びがまたひとつ増えてこれからが楽しみです。
次の目標はスノーボードを担いでの長期縦走ですかね。そのためにやらなきゃいけないことは山程あるので全部楽しみたいと思います!!

最後まで読んでいただきありがとうございました!



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