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BGA版イッツアワンダフルワールドのすゝめ

はじめに

 Board Game Arena(通称BGA)ではブラウザで数百種類のゲームをプレイすることができるが、その一つにイッツアワンダフルワールド(通称ワンワル)というゲームがある。BGAの中でもそれなりに人気のゲームではあるが、日本語での攻略・解説記事が少ないという声が前からあったため、これを機に書くことにした。どんなゲームなのか、どんなルールなのかは何人かの方が書いていらっしゃるため、本noteではBGA版アリーナモード(2人戦帝国B面)に焦点を絞って話を展開したいと思う。

 本noteでは以下の流れで順に説明する。


 なお、本noteでは便宜上以下の用語の読み替えを行う。公式のルールブックと合わせて読む場合は注意していただきたい。

  • 建材・建造物→白

  • エネルギー・軍用機→黒

  • 科学・研究→緑

  • 資金・巨大事業→黄

  • 探査・発見→青

  • クリスタリウム→赤

  • 選択→ピック、取る

  • 構築→建設、建てる

  • リサイクル→売却

  • 製造フェイズ→生産フェイズ

  • 不変→固定点(タイムトラベルなど)

 その他、用語として

  • カット(相手が欲しがっているカードを妨害目的で取ること)

  • ルート(生産から最終的な得点までの一連の流れ、道筋)

  • 回る(資源の生産やカードの建設が滞りなく行われること)

  • 参照(得点のために投資家・将軍や建設済みのカードの数を用いること)

などがある。

強いカードとは

 これは他のゲームにも言えることだが、このゲームには強いカード、そうでないカードが存在する。ただ一口に強いと言っても、生産が強いカード、得点が高いカード、どんな場面でも最低限の仕事をしてくれるカード、あるカードと組み合わせたときに絶大な力を発揮するカードなど、用途や状況によってさまざまである。そのため、本noteでは「とりあえずこのカードを見かけたら(自分で使うにしろカット目的でも)ピックした方がいいカード」を厳選して紹介する。

リサイクル工場

リサイクル工場

どれだけ強大な帝国も最初はリサイクル工場から始まる

 このカードの最大の強みは1ラウンド計画フェイズ中に建てることによって以降のラウンドの白生産を4にできることである。白カードの多くは建設コストに白を3以上要求するものがほとんどなので、リサイクル工場を建てることによって、以降のラウンドで原子力発電所などの白カードを建てる際にわざわざ白キューブを売却で用意する必要がなくなる。ただ、ラウンドが進むにつれて直接的に得点に結びつかない白の価値は下がるため、3ラウンド以降は優先的に取る必要はない。また、リサイクル工場は7枚あるので、複数枚見えていたら他のカードを優先して取った方がよいこともある。

巨大ダム

巨大ダム

なんで基本セットにこのカード入ってるの?

 どう考えてもパワーバランスを間違えたとしかいいようがないほどに圧倒的な黒生産を持つカード。同じコスト数(5個)を要求する原子力発電所と比較しても黒生産が1つ多く、勝利点もついており、黄カードである(国際会議などのコンボに参照される)。こればかりは紛うことなき上位互換カードである。建設コストに黄を2つ要求するので、ピック直後の白の生産フェイズまでの建設は少しハードルがあるが、建設に成功すれば軍事国家としての華々しい幕開けとなる。1,2ラウンドはほぼ確定でピック、4ラウンドからでも十分に仕事をこなすので、必要ならば取るべきカードである。

リニアモーターカー

リニアモーターカー

リニアで懸垂式なの、かなり怖くね?

 建設済みの白カードの枚数分、黄キューブを生産する超強力カード。生産以外にこのカードの強い点として、建設時ボーナスとして投資家が2枚ついてくるので、カジノシティなどの投資家参照カードが複数枚建ってる状況では、6~12点カードに化けることである。それ故、生産が関与しない4ラウンドでも十分に建てる価値はある。また、建設コストに黒と緑を1つずつ要求するので、カットしたカードを売却したときに発生する資源が腐りにくいというメリットもある。ただし、白カードがある程度建っていないと本領発揮しにくいので、どんな場面でも使えるわけではないのは注意。

大学

大学

僕が通う大学はこんなキラキラしていなかった

 建設済みの黄カードの枚数分、緑キューブを生産する強力カード。2人戦では緑の最多生産の獲得が勝敗を大きく左右するため、緑の生産を大幅に上げてくれるこのカードは非常に重宝する。黄カードを参照するため、先に紹介したリニアモーターカーなどを駆使した白黄ルートで使えるのは勿論、諜報機関や海底都市などを使った黄青ルートでも存分に力を発揮してくれる。ただし、黄カードを参照するため、建設状況によっては序盤はあまり活躍しないこともしばしば。終盤で人体冷凍保存技術やスーパーソルジャーなどの高コスト勝利点カードを建てるための布石として主に使用するため、上級者向けのカードとも言える。なお、イラスト中に描いてある“UNIVERCITE”はスペルミスではなくフランス語で”大学”の意味を持つ単語である。

アトランティス大陸

アトランティス大陸

唯一無二の将軍×2はワンワル最大のロマン砲

 今まで紹介したカードは生産メインだったが、アトランティス大陸は勝利点極振りカードである。建設コストは青7赤1と非常に重たいが、持っている将軍の数次第ではこのカード1枚で30点以上も狙える化け物。2人戦なら黒青で最多生産ボーナスを取り続けるだけで将軍が8枚もらえるので、16点以上はほぼ確実に稼げるといっていい。また、売却が黄なので、カット目的で取っても腐りにくいのがポイントでもある。1ラウンドでこのカードが回ってきたら、ピックしておくだけで青ルートと売却して黄に進むルートの2つが選べるため、躓きにくくなる。

基本的な戦略について

 強いカードはわかったが、どう組み立てたらいいのかわからない人もいるはずなので、ここでは大雑把ではあるがどのように動くかを説明する。

白黄ルート

 このゲームにおいて一番オーソドックスな戦略であり、かつ強いルートが白黄ルートである。リニアモーターカーや港湾区域などで生産と投資家を集め、カジノシティや養殖などの投資家参照カードで勝利点を稼ぐ。生産は安定しやすい上に、100点も優に狙える堅実なルート。ただし、投資家参照カードがあまり来ない盤面では黄色は固定点が高いカードが少ないため、点数を伸ばしにくいという欠点もある。

 白黄ルートをする上で1ラウンドでピックしたいカードがこれらである。

画像にはないが、工業団地やプロパガンダセンターも候補に入る

 画像のカードに加えて白売却を2つ取ることで初動からリサイクル工場と金融取引所が回る。もちろん、リサイクル工場がないこともあるため、その場合は金融取引所から建てるか、白売却が少ないときは工業団地で手を打つことになる。これらの白カードは枚数が多く1ラウンドで1枚以上は来ることがほとんどのため、おそらくピックはできると思われる。また、港湾区域は2枚、リニアモーターカーは1枚、プロパガンダセンターは2枚あるため、1ラウンドで見れるカード20枚のうちにこれらの黄カードの中から1枚以上ある確率は約50%と、決して低くない割合でやってくる。このようにピックの難易度が低いのが特徴である。

 次に白黄ルートで3~4ラウンドにピックしたいカードがこれらである。

白黄ルートの主な勝利点カード

 カジノシティなどの投資家参照カードと国際会議などの黄参照カードが主な得点源となる。これらの他に軌道エレベーターや人体冷凍保存技術などもある。カジノシティや軌道エレベーターを建てる場合は黒が3必要になるため、3ラウンドまでに原子力発電所を建てておきたい。国際会議は建設コストに投資家2つを必要とするので、投資家参照カードと相性が悪いことは注意しておくべき事項である。

黒青ルート

 白黄ルートに並ぶ2大ルートのもう一つが黒青ルートである。巨大ダムや原子力発電所などで黒を生産し、その黒を使って砕氷船や空挺研究所などの青を生産するカードを建てて勝利点となる青カードを建てるという二段構造になっていることと、黒を大量生産できるカードがそれほど多くない(原子力発電所が5枚、巨大ダムが1枚、量子発電機が1枚)ため、難易度は少々高い。しかし、アトランティス大陸などの将軍参照カードやアレキサンダー大王の墓などの高固定点カードが数多くあるため、点数の安定度合いは白黄ルートに勝る。また青カードの多くは建設時ボーナスで赤キューブがついていることが多いため、終盤の対応力がかなり高い点も特筆すべき長所である。

 黒青ルートで1ラウンドにピックしたいカードがこれらである。

画像にはないが、飛行戦隊や空母なども優秀な生産カードである

 黒青ルートをやる上で一番重要な点は「黒生産の土台を作る」ことである。これをせずして青カードを建てるのは困難極まりない。そのため、1ラウンドは青カードよりも黒生産や青生産カードを優先して取るべきである。極論、1ラウンドで青カードは取れなくてもいい。ただし、1ラウンドで青カードが4枚以上見えている場合は、その後のラウンドで青カードがあまり来ない状況が危惧されるため、ピックする必要がある。

 ちなみに、序盤で欲しい青カードがこれらである。

建設コストが比較的安く、生産がついているカードが望ましい

 どのカードも強いので基本的にどれをとってもいいが、個人的なオススメは黄生産2とボーナスで赤2つがもらえるテンプル騎士団の財宝である。これらのカードの多くは売却が黄のため、白黄ルートにカットされやすい点は注意である。

 中盤~終盤で欲しいカードがこれらである。

画像にはないが、大量破壊兵器や月面基地などの将軍を獲得できるカードも組み合わせると強い

 どれも一級品のカードだが、特にソーラーキャノンは建設時ボーナスで将軍がもらえることと、黒青ルートで腐りがちな黄資源を置けるという点で将軍参照カードの中では割と器用である。青生産に余裕がない場合は地底都市アガルタや北極基地などの生産と勝利点を同時に補強できるカードが望ましい。

緑黄ルート

 ここからは少し変則的なルートを紹介する。上記の白黄ルートや黒青ルートと比較すると安定度などで劣るが、しっかりと回った時の得点は目を見張るものがあるため、白黄ルートや黒青ルートに行けなさそうな時は選択肢に挙がる。緑黄ルートは緑単色の問題点であった安定性のなさを黄で補うルートである。緑単色と比較すると緑カードの建設枚数は控えめになるが、緑参照や黄参照、投資家参照カードなど、得点方法に幅があるのが特徴である。

 緑黄ルートで1ラウンドにピックしたいカードがこれらである。

画像にはないが、ヒトクローンや地底都市なども優秀な生産カードである

 画像にあげたカードのうち物質変換は必須カードである。1~2ラウンドで物質変換が引けていない場合は緑黄ルートは諦めた方がよい。また、1ラウンドの黄色生産の前に物質変換を建設して、3つの黄生産を機密研究所やプロパガンダセンター、地底都市、港湾区域などの生産カードに置くのが望ましい。そのため、1ラウンドの理想ピックは以下の通りになる。

  • 物質変換(必須)

  • 黄色の生産カード(機密研究所が1番。白生産を伸ばしたいなら港湾区域や地底都市などもアリ)

  • 緑売却×2 or 研究施設+白売却×1(物質変換用)

  • 黄売却×2(物質変換用)

  • 自由枠(黄色の生産カードのコストになる売却か、得点カード。1ラウンドの白生産の置き場がないなら、白カード)

 かなり難易度は高いが、要求される白売却が少ないこと、黄の最多生産ボーナスをほぼ確実に抑えられることが利点である。物質変換の建設ボーナスに赤がついてくるため、2ラウンドに少し余裕ができる。

 2~3ラウンドにピックしたいカードがこれらである。

最優先は神経科学。黄カードではリニアモーターカーやプロパガンダセンターが候補に入る

 2ラウンドの緑生産は最低で3は欲しい。でないと、ほとんどの緑カードが建てれないからだ。そのため、1ラウンドで研究施設を建てれていない場合は、機密研究所か研究施設の建設が急務となる。対して、黄色生産は物質変換があるため、それほど心配する必要はない。3~4つの黄生産を置ける場所を確保できていたら問題ない。下の画像は2ラウンド終了時点での緑黄ルートの一例である。

2ラウンド終了時点での建設例。引きはいいが、1~2ラウンドで研究施設が引けなかったパターンを想定している。建設カードは下から順に物質変換、機密研究所、工業団地、ヒトクローン、大学、プロパガンダセンター。投資家・将軍は最多生産が獲得できるという想定である

 画像は想定のため、実戦ではここまで綺麗に回ることはないが、こんな風になっていたらいいぐらいで見てもらいたい。目安としては緑と黄の生産が5以上であると及第点である。白はリサイクル工場などを建てる余力があるなら伸ばしてもいい。赤は今回は使っていないが、狙いの売却色が取れない場合は惜しみなく使って、なるべく建設を進めることを意識したい。

 終盤で欲しいカードがこれらである。

画像にはないが、タイムトラベルや巨大タワーなどの固定点カードも強力である

 基本的には未知の技術などの緑参照カードや国際会議などの黄参照カードが主な得点源となる。そのため、これらのカードは序盤であっても1~2枚はキープしておいた方がいい。また、緑黄ルートの特徴として建設コストに投資家を要求するカードが多いため、養殖や秘密結社などの投資家参照カードと相性が悪いということが挙げられる。そのため、投資家参照カードを建設する際には、自分の投資家が何枚になるかを計算し、8枚以上を目安に建設するかしないかを判断するのがいいだろう。

 最終得点の目安は、緑参照が25~35点、黄参照が25~35点、固定点が20~25点、投資家参照が16~24点、合計で75~110点。自他の妨害やカードの出方で多少の変動はあるが、おおよそこれぐらいになると予想される。

 再三にはなるが、このルートは物質変換をはじめとする各種1~2枚しかない生産カードの有無に懸かっているため、国際博覧会や未知の技術などの魅力的な得点カードがあったとしても、生産カードがないなら潔く捨てることが肝心である。

黄青ルート

 原子力発電所も巨大ダムもないが、強力な青カードが何枚かあるときに選択肢に上がるのが黄青ルートである。海底都市や諜報機関などのカードで青生産を伸ばし、テンプル騎士団の財宝や黄金都市などのカードで黄生産を伸ばすことでコンボを狙ったルートである。安定度は緑黄ルートよりも高いが、爆発的な点数の伸びはそれほどないのが特徴である。なお、以降は触れないが、巨大ダムがあれば確実にピックすること。

 黄青ルートで1ラウンドにピックしたいカードがこれらである。

画像にはないが、諜報機関やテンプル騎士団の財宝なども候補に入る

 この中で原油採掘は必要不可欠なカードである。風力発電所でも代替はできるが、将来的に黄の生産不足で苦しむため、あまりオススメはできない。海底都市は諜報機関でも代替可能だが、その場合は緑生産を置ける場所の確保をすることに注意である。1ラウンドの理想的なピックは以下の通りになる。

  • 原油採掘

  • 海底都市or諜報機関

  • 黒ひげの財宝or黄金都市orテンプル騎士団の財宝(ソロモン王の洞窟も候補に入るが、白カードの建設が必要な点には注意)

  • 白売却×1+青売却×1+黄売却×1(白と青は原油採掘、黄は海底都市に使う)

  • 自由枠(青売却、もしくは次ラウンド用の海底都市や北極基地など)

 売却が各色1つずつなので、比較的集めやすい。そのため、1ラウンドで機能不全に陥りにくいのがメリットである。また、白を除いて生産が各色上がるため、2人戦では相手が注力していない色の最多生産が得られやすい。

 2~3ラウンドにピックしたいカードがこれらである。

黄色と青を生産するカードがメインになる。画像にはないが大学で緑を補強してもいい

 1ラウンドにピックするカードと比較すると、少しコストが重いのが特徴である。もちろん、1ラウンドにピック推奨したカードも継続して狙うべきカードである。また、緑の生産置き場かつ得点方法の一つである将軍を集めるために、大量破壊兵器や機械動物などのピックも頭の片隅に置いておきたい。下の画像は2ラウンド終了時点での黄青ルートの一例である。

2ラウンド終了時点での建設例。2ラウンドで青を生産できる黄カードを引けなかったパターンを想定している。建設カードは下から順に、原油採掘、海底都市、黄金都市、風力発電所、飛行戦隊、プロパガンダセンター、テンプル騎士団の財宝。投資家・将軍は最多生産が獲得できるという想定であるが、相手の動きによって大きく変化する

 画像はかなり理想的な想定のため、実戦はもっと崩れることが予想される。目安として黒生産が3以上、黄生産が3以上、青生産が4以上あると及第点である。白生産はソロモン王の洞窟を建てる場合にのみ伸ばす必要がある。海底都市や黄金都市は固定点の3点が積み重なるとそれなりに大きな点数になるのがメリット。また、2ラウンドは少し余裕ができるので得点カードがあるなら自由枠でキープしておくべきである。

 終盤で欲しいカードがこれらである。

黄参照や青参照カードがメインとなる。青に多い固定点カードがあると安定感が増す

 黄青ルートの短所として、空母や超音波探査といった青生産を爆発的に伸ばすカードが使えないため、高コストの青カードを何枚も建てるのは難しいという点がある。また、生産が黄と青に偏るため、投資家・将軍のどちらか一方に偏重することもできない。加えて国際会議やセンター・オブ・ジ・アースなどの投資家・将軍をコストに使うカードもあるため、投資家・将軍参照カードはそれほど強さを発揮しない。これらの点から、黄青ルートはある程度の点数は確約されるが、爆発的な伸びはしないという特徴がある。

 最終得点の目安は黄参照が25~40点、青参照が20~35点、固定点が30~40点、投資家・将軍参照が10~20点、合計で80~105点。得点方法が多様なため、妨害による点数の下振れは起きにくいが、投資家・将軍参照はあまり建てないため、終盤に得点カードが来ないと得点を伸ばすことが困難になる場合がある (白黄ルートや黒青ルートは投資家・将軍参照カードを重ねることで工業団地が5点になったり、機甲師団が6点になったりするため、4ラウンドのドラフトが地味でも点数を伸ばせる)。

 なお、大学や古代宇宙飛行士などで緑生産を伸ばして、緑の得点カードを建てたり、途中から黄色を捨ててシンプルに黒青に切り替えたりと柔軟な対応ができるのもこの動きの強みであるので、あまり黄青だけに固執しすぎないようにすることは肝に銘じておくべきである。

戦略の総括

 4つほど戦略を紹介したが、実際の場面では思うようにいかなかったり、そもそも上記のルートのどれにも進めそうになかったりと難しいことの方が多い。どの戦略にも共通して言えることは1~2ラウンドでどれだけ生産を伸ばせるか。これにさえ注意しておけば、型にはまらない動きであったとしても、きっと活路は見出せるはずであろう。

各ラウンドでの立ち回りについて

 前章ではそれぞれのルートに必要なカードについて説明したが、ここからは、各ラウンドでどのようにカードを見て、どのように優先順位をつけてピックをしていくかについて解説していく。

1ラウンド

 1ラウンドはゲームの始まりであり、考えることが一番多いという点でこのゲームで最も難しい場面である。まずは、配られたカードをどのように見ているかについて箇条書きで書き下す。

  • 大量生産カード(生産数が3以上 or 一部のカード)があるかどうか

  • 大量生産カードを1ラウンドの間に建てる場合に、必要な売却色のカードがあるかどうか

  • 白生産カードがあるかどうか。建てる場合、白売却がいくつ必要か

  • 白売却カードが何枚あるか

  • 白カードが生産した資源の置き場があるかどうか

  • 投資家・将軍参照カードがあるかどうか

  • 緑参照カード(未知の技術、国際博覧会、パラレルワールド)、黄参照カード(国際会議、国定史跡)があるか

 基本的に上に書いてあるものほど優先度が高い。各項目について一つずつ説明していく。

 大量生産カードは以下のカードである。

  1. 巨大ダム(建てやすさ3、産出5、レア度4)

  2. リニアモーターカー(建てやすさ3、産出4、レア度5)

  3. 物質変換(建てやすさ2、産出4、レア度5)

  4. 大学(建てやすさ4、産出3、レア度5)

  5. 原子力発電所(建てやすさ3、産出4、レア度2)

  6. 地底都市(建てやすさ1、産出5、レア度3)

  7. 家庭用ロボット(建てやすさ4、産出3、レア度3)

  8. 港湾区域(建てやすさ1、産出5、レア度4)

  9. リサイクル工場(建てやすさ4、産出3、レア度1)

  10. 海底都市(建てやすさ3、産出4、レア度3)

1ラウンドに取りたい大量生産カードの一覧

 巨大ダムが最も評価が高く、評価の高いものから降順に並んでいる。評価は「建てやすさ」「初期の産出資源の多さ(産出)」「代替の利かなさ(レア度)」の3つの観点と汎用性(主観)を加味して総合的に判断している。生産数が3以上のカードに関しては北極基地や気候制御などもあるが、建てやすさなどの観点から優先度は低いため今回は取り上げていない。これらのカードを合計すると23枚あるため、1ラウンドで双方に配られる20枚のうちに平均して3枚ほどは入っている。これらのカードをもとに基本的な戦略を立てる。

 次に上記の大量生産カードを建てるために必要な資源が売却で賄えるかを確認する。例えば、巨大ダムの建設コストは白3黄2なので、白1黄2を売却で集めれば1ラウンドから働くとか、リサイクル工場なら白2を売却で集めれば最初の白生産から働くとか、である。建設のための売却色の有無によって上記の大量生産カードの優先度が多少変動したりする (とはいえ必要な売却色は白や黄であることがほとんどなので、基本的には上記の順番で問題ない)。

 もし大量生産カードがない場合、または大量生産カードをすぐに建てる必要がない場合(リニアモーターカーや大学など)は白カードの確認に入る。白カードが何があって、何枚あるのかを数え優先度をつけていく。例えば研究施設が2枚あるなら相手が取った後に確保すればいいので後回しでいいとか、工業団地は建ててもいいし売却にも使えるから優先すべきとかである。

 その後に考えるのが白売却カードの数、及び自分が白売却カードを何枚取れるかである。これによって上記の白カードの優先順位が大きく変化する。例えば、白売却が1枚しか取れないので原子力発電所は建たない、だから風力を建てようとか。リサイクル工場を建てるための白売却は確保できるから、他の白カードも取ろうとかである。

 その次に見るのが白カードで生産した資源を置く場所があるかどうかである。原子力発電所は建てれるけど、黒カードがないから、このターンは先に研究施設を建てて機械動物を完成させておこうとかである。強力なカードでもそのカードの生産を活かせないなら、生産が使える他のカードを先に建てて、強力なカードは2ラウンドに建てた方がより生産が回るはずである。

 最後に得点カードの確認である。アトランティス大陸を筆頭に投資家・将軍参照カードがあるかどうか。そのカードを使うルートの生産カードがあるかどうかを確認し、使えそうならピックする。巨大ダムがあるから地底都市アガルタは取っておこうとか、リニアモーターカーがあるから秘密結社は取っておこうとかである。ただし、あまり得点カードを拾いすぎると生産が滞るので、多くても2枚までに抑えるべきである。また、国際会議などの建設物参照カードはそれを軸に考えるというよりも「そのカードは今後出てくることはない(つまり、投資家や将軍カードが引けなかった時の保険がない)」という風に考えた方がよいだろう。

1ラウンド実戦解説

 ここからは実際のBGAアリーナ戦の盤面を用いて解説をしていく。

1ラウンドのドラフト

 まず目を引くのは港湾区域だが、黄色売却が少ないため、黒カードもある原子力発電所から黒青ムーブに行くことを選択。相手方の白売却の枚数がわからない&相手方のドラフトの中身次第では港湾区域の可能性もあるため、様子見で白売却の機甲師団をピック。

相手側のドラフト。相手の初手ピックはプロパガンダセンター

 相手側のドラフト。まさかの港湾区域に不穏な空気が漂う。港湾区域を取るか悩んだ末、カットした黄色カードの売却先を作るために北極基地をピック。ただ、これに関しては先に港湾区域や工業団地でもよかったと反省。

1ラウンドの筆者のピック

 1ラウンドのピックはこのようになった。原子力発電所は2枚あるため、最後まで取らずに白2緑1売却を先に確保。さすがに港湾区域2枚は渡せないためカット。遺伝子改良がスルーされたので飛行戦隊を売却に充てなくてよくなったのは嬉しい。

1ラウンドの相手のピック

 相手のピックは画像の通り。港湾区域を軸に5枚目まではスムーズに白黄ルートに走っているが、6~7枚目がルートから外れて若干死んでいる。

2ラウンド

 2ラウンドは1ラウンドでの状況によって大きく2つに分かれる。

  • 1ラウンドで3つ以上カードを建てれた場合→建てたいカードの補充

  • 1ラウンドで生産が伸びていない場合→今建てているカードの建設コストの売却を集める

 これを踏まえて、配られたカードをどのように見ているか、1ラウンドと同様に箇条書きで書き下す。

  • 自分のルートに沿ったカードがあるかどうか(得点カードを含む)

  • 相手のルートに沿ったカードはあるかどうか(得点カードを含む)

  • 自分の建設中のカードの建設コストに合う売却色があるかどうか

  • 相手の建設中のカードの建設コストに合う売却色があるかどうか

  • 自分のルートから外れるが、生産を伸ばせるカードがあるかどうか

 上に書いてあるものほど優先度が高い。基本的に自分のルートを優先して考えていいが、相手の状況に応じて、優先度は柔軟に変える必要がある。また、好みに応じて相手の妨害を優先するのもプレイスタイルの一つである。

 自分のルートに沿ったカードとは前章で説明をした白黄ルートや黒青ルートなどのことである。自分がどのようなカードが欲しいかを整理して目当てのカードがあるか確認する。もし複数枚あった場合は、売却色としての価値や相手の利用されやすさなどを考慮して優先度を決める。

 次に相手のルートに沿ったカードがあるかどうかを確認する。この時に、相手の盤面に得点カードか生産カードのどちらが不足しているかを見極める必要がある。不足している方を優先的にカットすることで、将来的な相手の得点を減らすことができる。

 次に自分の建設中のカードの建設コストに合う売却色があるかどうかを確認する。例えば、港湾区域などは1ラウンドで建てるのは現実的ではないので、2ラウンドに黄売却をかき集める必要がある。また、地底都市がまだ完成していないときや、家庭用ロボットや機械動物が建設途中の時などである。もし、欲する売却色が少なく、かつ手元の建設中のカードを建てないと致命傷になる場合は、ルートに沿ったカードを無視してでも、売却用のカードを優先してピックする必要がでてくる。

 同様に相手の建設中のカードの建設コストに合う売却色があるかどうかも確認する。もし、相手の欲しそうな売却色のカードが少ない場合は、それを取ることで相手を機能不全に陥らせることができるかもしれない。ただ、これに関しては相手側のドラフトを見ないとわからないことが多いので、2ラウンドの最初のピックはあまり意識する必要がない。

 最後に、自分の欲しいカードも相手の欲しいカードもなかった場合は、ルートから外れてもいいので生産が伸ばせそうなカードをピックする。例えば白黄ルートから外れるが機械動物を取るとか、黒青ルートだが工業団地を建てて将来的な黄カードに備えるとかである。特に緑の最多生産を抑えられそうなカードがあるかどうかを中心に見ていくといいだろう。

2ラウンド実戦解説

 ここからは実際のBGAアリーナ戦の盤面を用いて解説をしていく。先ほどの画像の続きになっているので、筆者が黒青ルート、対戦相手が白黄ルートを選択していることを念頭に置いてほしい。

2ラウンドのドラフト

 まず確認したいのは黒青ルートの重要な要素である青カードがあるかどうかである。というのも、1ラウンドで筆者は青カードを取れていない。そのため、このままだとせっかく作った青生産が無駄になってしまうからである。

 しかし残念ながら青カードはない。そのため、次に黒生産カードや青生産カードを見る。原子力発電所があるが、既に1つ建てているので優先度が低い。次に緑を生産できる空挺研究所があるが、横に砕氷船があるため、どちらかが取れたらいいと判断して優先度が低い。そのため、これらのカードは第一ピックで取るべきカードではないと判断した。

 次に相手の欲しい売却色があるかどうかである。相手は港湾区域とプロパガンダセンターを建てているので、黄売却をかき集めたい。しかし、こちらのドラフトには黄売却が1つもないので、黄売却のカットは全く考慮しなくてもよい。

 最後に何か生産を伸ばせるカードがないかを確認する。ここで、家庭用ロボットがあることに気づく。もしこのラウンドで白カードを建てるなら家庭用ロボットは白生産を2以上出してくれる。また、相手に家庭用ロボットを取られることで将来的な白の最多生産を抑えられてしまう。これらの観点から最優先すべきは家庭用ロボットと判断。3枚目に空挺研究所か原子力発電所を取ることを念頭に、家庭用ロボットを第一ピックとした。

相手の初手ピックはアレキサンダー大王の墓

 次に相手側のドラフト。なんと悲しいことに青カードがない。相手が初手でアレキサンダー大王の墓をピックしてしまったからである。そして、黄売却も存在しない。そのため、筆者のルートに合ったカードを探す。

 まず目につくのは評価No.1の巨大ダム。しかし、黄売却がないのでこのターンには建設できない、また相手からしても黄売却がない状況下で巨大ダムを建てる余裕はないという観点から、一旦スルー。次に空挺研究所が見えるが、筆者側のドラフトにもあったため優先度は高くない。その次に見えるのがリサイクル工場。このターンでリサイクル工場と研究施設が建てられたら、白と緑で最多生産を抑えやすくなる。よってリサイクル工場を選択した。

2ラウンドの筆者のピック

 2ラウンドの筆者のピックは画像の通り。リサイクル工場と家庭用ロボットの建設を最優先にしたため、空挺研究所が取れなかったのが痛い。しかし、リサイクル工場の建設に必要な白売却×2と研究施設が取れたので、白と緑の最多生産はかなり抑えやすくなったといえよう。また、最終ピックは砕氷船も選べたが、建設コストに緑を要求するため、家庭用ロボットと相性が悪いことから飛行船を選択している。

2ラウンドの相手のピック

 2ラウンドの相手のピックは画像の通り。黄売却がアレキサンダー大王の墓しかなかったため、それ以降は筆者の妨害を目的としたピックをしている。しかし、このラウンドの筆者の狙いは上述したようにリサイクル工場と家庭用ロボットを建設することなので、奏功はあまりしていない。

3ラウンド

 ここからゲームも後半戦に突入するわけだが、その前に2ラウンド終了時点で帝国がどれくらい発展していればいいか、セルフチェックの目安を以下に箇条書きで書き下す。

  • カードが5枚以上建っているか(3ラウンド計画フェイズ中の建設を含む)

  • 生産の合計数が14以上あるか(建てたカードで10以上生産しているか)

  • 投資家が5枚以上、または将軍が4枚以上あるか

  • 得点カードを1枚以上キープできているか

 この4つを満たしていれば概ね順調であるといえる。逆にこれらのうち何か満たしていないものがあるなら、相手と接戦になる可能性が高い。また、このチェックは自分だけでなく相手の帝国でも確認しておくべきである。

 ここからは3ラウンドの立ち回りの説明に入る。1~2ラウンドまでは生産をメインに考えていたが、3ラウンド以降は得点を考慮した動きを中心に考える必要がある。

 まず、前提としてワンワルの得点方法は投資家・将軍参照カード(アトランティス大陸など)、建設物参照カード(国際会議など)、固定点カード(タイムトラベルなど)の3つに大別される。3ラウンドのドラフトを始まる前に、自分と相手がどの得点方法で勝利点を獲得しようとしているかを見極める必要がある。そして、それぞれの得点方法に関して以下の観点で評価する。

  • 投資家・将軍参照カードの場合

 参照カードの量は足りているか、また、投資家or将軍の数は足りているか。目安として、3ラウンド開始時点で参照カードは2枚以上、投資家・将軍は5枚以上あれば足りているといえる(カードは建設済みでなくてよい)。

  • 建設物参照カードの場合

 参照カードの合計倍率(国際会議の×3や国定史跡の×2などの数値を足し合わせた値)は足りているか、また建設物の数は足りているか。目安として、3ラウンド開始時点で合計倍率が3以上、倍率のかかる色の建設物の数が3以上あれば足りているといえる(カードは建設済みでなくてよい)。

  • 固定点カードの場合

 固定点カードの点数の合計は十分か。また、建てるための資源は十分か。目安として3ラウンド開始時点で合計点数が35点以上あれば足りているといえる(カードは建設済みでなくてよい)。

これを前提とした上で、3ラウンドで配られたカードをどのように見ているか、箇条書きで書き下す。

  • 自分、または相手が得点方法として使えるカードがあるかどうか

  • 現在の生産状況で足りていない生産を補えるカードがあるかどうか

  • 相手が足りていない生産を補えるカードがあるかどうか

  • 固定点カードがあるかどうか

 最優先事項である得点方法として使えるカードがあるかどうかだが、これは状況次第でかなり複雑な評価をしなければならない。というのも、2人戦で重要となる投資家・将軍参照カードは持っている投資家・将軍の枚数で価値が変動するからである。そのため、自分の得点カードと相手の得点カードが同時に来た際にどちらを優先して取るべきかはその都度変化する。また、状況次第では投資家・将軍参照カードよりも建設時ボーナスで投資家・将軍が2枚もらえるカードの方が点数効率が良い場合もある。いずれにせよ、計算をしっかりとしてどれが一番点数になるかを考える必要がある。

 次に得点カードを建てるための生産は充分か、足りない場合に生産を補えるカードがあるかどうかである。不足している生産を補えるカードが複数ある場合は、建てやすいカードや相手に建てられる可能性のあるカード、建設物参照カードの対象になるカードを優先して取る。

 ここで、生産の計算をする際には3,4ラウンドでの生産の合計で考える。例えば建設コストが緑7のスーパーソルジャーを建てたいとする。現状の緑生産が2しかない場合は3,4ラウンド合わせて緑が4しか生産されないため不足しているが、3ラウンドで緑生産を4にしておけば、3,4ラウンド合わせて緑を8生産できるので、建てることができる。

 次に相手の足りていない生産を補えるカードがあるかどうかである。生産の過不足を見極めるのは難しいが、黒青ルートでは得点カードのキープ状態に対して生産が追い付いていないことが時々ある(白黄ルートは生産カードが多いため、生産不足にはなりにくい)。そういう状況である場合は、青生産カードを優先的にカットすることで相手の得点を下げることができる。ただし、相手が初手ピックで都合のいいカードを引いていると、無意味になることもあるため、無理にする必要はない。

 最後に固定点カードがあるかどうかである。たまに点数カードがほとんど出てこずに、お互いロースコアで終わる試合がある。それの保険として、もし自分の手元に点数カードが少ないのであれば自分のルートに沿っていないカードだとしてもキープしておくべきである。また、相手が点数カードをほとんど持っていない状態ならば、カットしてしまうのも効果的である。

3ラウンド実戦解説

 ここからは実際のBGAアリーナ戦の盤面を用いて解説をしていく。繰り返しにはなるが、先ほどの画像の続きになっているので、筆者が黒青ルート、対戦相手が白黄ルートを選択していることを念頭に置いておいてもらいたい。

3ラウンドのドラフト

 まず目を引くのは青カードである契約の箱である。そしてほかに注目すべきカードとして、投資家参照カードであるカジノシティと秘密結社がある。また、将軍参照カードでロボット警備員がある。他には一応点数を出せるカードとしてジャガーノートがある。念願の青カードだったが、カジノシティの方が点数が高いため、ここはカットを優先してカジノシティをピック。相手側のドラフトに青カードがあることを祈る。

相手の初手ピックは国際博覧会

 次に相手側のドラフト。なんと悲しいことに青カードがない。さらにろくに使えるカードがない。最多生産を考慮してリサイクル工場がギリギリ選択肢に上がるが、それでも優先度は低い。仕方がないので、唯一の黄売却である金融取引所を選択。

3ラウンドの筆者のピック

 3ラウンドの筆者のピックは画像の通り。2枚目で相手に契約の箱を取られたので3枚目はロボット警備員を選択している。4枚目の軍事基地は白生産置き場にできることと、緑を生産できるカードを渡したくないという考えから選択している。2ラウンドで取った家庭用ロボットの建設を優先して、緑売却として神経科学を取ったが、ジャガーノートを取った方が点数を伸ばすという視点ではよかったかもしれないと反省。なお、7枚目の博物館はこのままでは青カードがないため0点である。

3ラウンド生産フェイズ開始時点の筆者の帝国

 ちなみに、この時点で筆者の帝国は合計生産が17(白7黒4緑3黄0青4)、将軍は4つである。将軍参照カードは3ラウンドにピックしたロボット警備員しかない。

3ラウンドの相手のピック

 3ラウンドの相手のピックは画像の通り。リサイクル工場は建つが、生産した白を置ける場所が2ラウンドで取った巨大ダムぐらいしかない。金融取引所と軍事基地をカットしたのが地味に効いているといえる。ただ、巨大ダムによって黒の最多生産を取られてしまうのが少し痛い。

3ラウンド生産フェイズ開始時点の相手の帝国

 ちなみに、相手の帝国は合計生産が9(白生産時に巨大ダムが建つので、事実上13)、投資家は4つである。投資家参照カードは1ラウンドにピックした人体冷凍保存技術と3ラウンドにピックした秘密結社の2枚。ただし、緑生産が1しかないため、人体冷凍保存技術の建設は厳しいと考えられる。他に生産カードとして優秀な港湾区域がある。

4ラウンド

 4ラウンドは今までと比べると実は考えることはそれほど多くはない。というのも、勝利点を獲得するためのルートの選別や生産の準備はほとんど終わっていて、あとは得点カードを建てるだけだからだ。そのため、4ラウンドでは得点手段を最重要事項に置いて考えていく。

 4ラウンドで配られたカードをどのように見ているかを以下に箇条書きで書き下す。

  • 自分の得点カードがあるか。そのカードが何点生み出すか

  • 相手の得点カードがあるか。そのカードが何点生み出すか

  • 既に建設途中の自分の得点カードが建つか。建たないなら、不足している生産を補えるカードはあるかどうか

  • 既に建設途中の相手の得点カードが建つか。建たないなら、不足している生産を補えるカードはあるかどうか

  • 最多生産を抑えられるようになるカードはあるかどうか

 初めに自他の得点カードがあるかどうかだが、まず得点の計算方法について説明をしたいと思う。ここに関しては分かっている人は読み飛ばしてもらって構わない。

 得点の計算は”現在の建設状態でそのカードを建てた時に何点追加で入るか”を考える。これは言い換えるとカードの左下にある点数は必ずしもあてにはできないということでもある。

 例として、以下の画像のようなシチュエーションを想定する。

4ラウンド開始時点の盤面。ドラフトでカジノシティ、国際会議、国定史跡の3枚が手元にある

 このシチュエーションでは4ラウンド開始時点の盤面を想定している。投資家は14枚持っており、軌道エレベータと人体冷凍保存技術は建設中である。ドラフトでカジノシティ、国際会議、国定史跡の3枚がドラフトで手元にあり、どれを取るべきか判断しなければならない。なお、資源の生産量は十分あるため、どのカードも必ず建てれると思ってもらってよい。もし良ければ、下の解説を読む前に自分ならどれを取るか考えてみてほしい。

 では、それぞれのカードが追加で何点もたらすかを評価する。カジノシティは持っている投資家が14枚、軌道エレベータ、人体冷凍保存技術、カジノシティの建設時ボーナスで3枚、白と黄の最多生産ボーナスで2枚取れると加味して14+3+2=19点の価値がある。そういう風に額面上は見えるだろう。しかし、これは間違いである。では、本当は追加で何点獲得できるのだろうか。

 カジノシティを建てなかった時と、建てたときの投資家の乗算スコアに注目する。

  • カジノシティを建てなかった場合……4点(もともとの1点と養殖、軌道エレベータ、人体冷凍保存技術でそれぞれ1点)×18枚=72点

  • カジノシティを建てた場合……5点×19枚=95点

  • カジノシティを建てたことによる追加得点……95-72=23点

 カジノシティの点数自体は19点である。しかし建てたことによって追加で入る点数は23点である。この差は一体なにか。それは、カジノシティの建設時ボーナスで獲得した投資家は5点の価値を持っているからである。初めの計算では、カジノシティの建設で手に入れる投資家を1点として換算してしまっている。そのため、5-1=4点の誤差が生まれてしまっているのだ。よって、カジノシティによって獲得できる正しい点数は23点となる。

 次に国際会議だ。2人ドラフトのシステム上、カジノシティ、国際会議、国定史跡の3枚のうち2枚は確実にピックできるため、黄カードは既に建っているものも併せて最低でも7枚は建設できる。よって、国際会議の額面上の点数は3×7=21点となる。

 しかし、ここにも落とし穴がある。国際会議は建設コストに投資家を2枚必要とする。軌道エレベータ、人体冷凍保存技術を建てるとすると投資家は1枚4点の価値を持っているので、4点×2枚=8点を建てるために失ってしまう。そのため、国際会議によってもたらされる実際の点数は21-8=13点となる。

 最後に国定史跡だが、これはシンプルに2×7=14点となる。投資家・将軍が絡まないカードは得点計算が単純である。

 まとめると、3枚のカードの評価は以下の通りである。

  • カジノシティ……23点

  • 国際会議……13点

  • 国定史跡……14点

 よって、ピックすべきカードはカジノシティとなる。国際会議が点数が一番低いという結果は意外だと感じる方もいるのではないだろうか。このように、投資家・将軍が関与するカードは、記載されている点数と実際に入る点数が必ずしも一致するとは限らない。そのため、それぞれの得点カードを建てたときの点数をシミュレーションする必要がある。

 自他の得点カードの評価が終わった後は、どのカードをピックするかを決める必要がある。ここで大事なのは、相対的に何点儲けることができるかである。

 例えば、以下のようなドラフトを想定する。

  • パラレルワールド……自分が建てると5点。相手が建てると16点。

  • 秘密結社……自分が建てると13点。相手が建てると2点。

  • 他の8枚……点数にはほとんど影響を与えない。

 パラレルワールドと秘密結社、どちらの方がいいだろうか。それぞれをピックした時の点数の損得を場合分けで試算する。

  • 自分がパラレルワールド、相手が秘密結社を取ったとき……5-2=3点

  • 自分が秘密結社、相手がパラレルワールドを取ったとき……13-16=-3点

 よって、パラレルワールドをピックした方が結果としてプラスになる。このように、状況次第では自分の得点カードよりも相手の得点カードを優先してピックした方がよい場面がある。

 4ラウンドではこの相対的な点数の損得の計算を、めぼしい点数カードがほぼなくなる4枚目のピックぐらいまで行う。それ以降は、取ったカードや建設途中のカードを建てるための売却色を集めていく。もし生産に余裕があるなら、最多生産を抑えられるカードをピックする。特に緑の最多生産は取るか取られるかで5~8点ほど差がつくため、緑の資源が余るとしても、研究施設や大学を建てたりするのは立派な得点行動になる。

4ラウンド実戦解説

 ここからは実際のBGAアリーナ戦の盤面を用いて解説をしていく。先ほどのゲームの続きになっているので、飛ばし読みで来た方は実戦解説だけでも読み返してもらえると、状況の理解がスムーズになるだろう。

4ラウンドのドラフト

 ここにきてようやく筆者に運が回ってきたと言えるドラフト。注目すべきカードは若返りの泉、カジノシティ、ソーラーキャノンの3枚。それに次いで固定点10点の古代宇宙飛行士もある。この時点で筆者の将軍は8枚、相手の投資家は5枚のため、カットよりも筆者の得点行動を優先。ソーラーキャノンは建設時ボーナスで将軍が1枚もらえるので点数は伸びるが、青生産の置き場を憂慮して若返りの泉を選択。3枚目でカジノシティかソーラーキャノンのどちらかを取ると決める。

相手の初手ピックは大学

次に相手側のドラフト。相手が初手で大学をピックしたため、1~3ラウンドにかけて緑生産をカットし続けていたのが意味を成さなくなってしまった。得点カードに関してはアヴァロン島が7+2(北極基地)+2(博物館)=11点、リニアモーターカーが相手が建てた場合2+4(投資家参照カードを3枚建てると想定)×2=10点なので若干アヴァロン島が優勢だが、ソーラーキャノンを建てると仮定すると黄生産が不足しているため、売却にも回せるリニアモーターカーを選択。

4ラウンドの筆者のピック

4ラウンドの筆者のピックは画像の通り。相手が3枚目にテンプル騎士団の財宝をピックしたため、4枚目でアヴァロン島を取れている。5枚目以降は青生産が足りないという事態を解決するために青生産カードを選択している。そのため、古代宇宙飛行士はあえてピックしていない。6枚目は他に潜水艦や飛行戦隊の選択肢も存在したが、黒生産が足りないため、機甲師団をピックしている。また、7枚目の原子力発電所は足りない黒生産を補うだけでなく、黒の最多生産を奪い返すことができるため、事実上5点カード(相手に1点入る状態から筆者に4点入る状態に変えるため)である。なお、原子力発電所の建設に必要な緑1は白生産の余剰から作り出す。

4ラウンドの相手のピック

相手のピックは画像の通り。大学の即時建設のために緑1黄2を優先的にピックしているのがわかる。点数カードはそれほどピック出来ていないが、大学の建設によって緑の最多生産を取れるだけでなく、建設が困難と思われた人体冷凍保存技術を建設できるようになっている。

次にゲームの最終盤面及び点数である。

筆者の最終盤面。将軍12枚、投資家4枚の68点。

筆者の最終盤面は画像の通り。画像に見えていない情報として将軍が12枚、投資家が4枚、合計68点である。3ラウンドまで深刻な青カード不足に喘いだが、結果的に将軍参照カードを3枚建てられたため、事なきを得ている。ただし、博物館が4点しか生み出していないのは残念と言わざるを得ない。

相手の最終局面。将軍2枚、投資家11枚の62点。

相手の最終盤面は画像の通り。画像に見えていない情報として将軍が2枚、投資家11枚、合計62点である。2ラウンドの黄売却不足で失速したが、上手くリカバリーして投資家参照カードを3枚建てている。ただし、中盤から終盤にかけて白の最多生産を筆者に抑えられていたため、投資家が思うように集まらず点数が伸び悩んでいる。

最終結果として筆者が68点、相手が62点で辛くも勝利を収めることができた。決して派手ではない内容だったが、最多生産を抑えることの重要性、家庭用ロボットや大学などの生産カードの強さ、進もうとしていたルートが困難な時の対処など、様々な要素が詰まったゲームであった。

終わりに

本記事ではカードの解説から戦略、ラウンド毎の思考法など多岐にわたって解説をした。本記事がワンワルを強くなりたい方の助けになれば、ワンワルを広めたい筆者としては冥利に尽きる。最後に、およそ20,000文字にわたる長い長い攻略記事を読んでくださり、本当にありがとう‼


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