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【消費税法】スタディングとTACの比較

前半スタディング、後半TACで勉強し、令和4年度の税理士試験「消費税法」を受験してきました。

試験の感触はというと、黒よりのグレーです・・・

理論は結構書けたのですが計算が・・・簡易課税を途中まで解き、残り時間で原則課税の問題をやったのですが、転記が終わったところでタイムアップ、電卓叩けず。。

原則・簡易の問題ともに標準税率と軽減税率が入り混じった、底意地の悪そうな問題がずらりと。極めつけはあの納税義務判定・・・手を付けてはいけない問題でした。

TACの答練だと最終値を集計をしていなくても転記が合っていれば部分点はもらえていましたが、本試験はどうなんでしょうか・・・

帰りの電車でTwitterを眺めていましたが、ほとんどの人が時間が足りなかったようで、やっぱりそうなんだと少し安心しましたが‥‥


で、本題ですが、
スタディングは9~11月の間、
TACは12月からと、
両方の教材を使ったのでの感想を書いてみたいと思います。

価格

これは圧倒的にスタディングに軍配が上がります。

スタディング 49,800円

TAC(Web通信/基礎マスター+上級) 155,000円

スタディングはTACの3分の1以下と、破格ですね。


講義内容

こちらはTACに軍配が上がると思います。

TACのWeb通信講座を担当している二宮講師は、講師歴20年以上(初回講義の自己紹介で言っていました)の大ベテランのようで、ものすごく教え方がうまかったです。

生徒がつまづきそうなポイントを理解しているのでしょう、そういった箇所では「大丈夫ですかね?」「よろしいですかね?」と理解度を図るように間をおいて語り掛け、丁寧に話してくれます。Web講義なので生徒が目の前にいるわけではないのに、すごいなーと思っていました。

補講や全国模試の解説などでは他の講師が出ているケースもありますが、TACの中では二宮講師の説明のうまさはずば抜けていると感じました。あと、かなり優しいです。

一方、スタディングですが、うーん、、なんというか、私は講義を聞いていてもすんなり頭に入ってきませんでした。

「ん??どういうこと??」という点がけっこう多く、その度に自分でググって調べたりしていましたが、これがものすごく効率が悪かったです。時間もかかりますし、ネットの情報の信憑性もわかりませんし。
自分で調べることが苦にならなければ大丈夫かと思います。


教材(トレーニング問題等)

まずはスタディングですが、問題数が少なすぎて地力がついてくる気が全くしませんでした。

消費税には「課税の4要件」というのがあります。初めはわからなくもて、たくさんの問題を色んな角度から問われ、徐々に理解が深まっていく部分があります。スタディングではそれがちょっと身に付きづらいかなと思いました。

スタディングでは序盤から1つ1つの論点に関して、いちいち納付税額まで求めさせる面倒くさい形式です。

例えば、非課税資産の譲渡等。

有価証券の譲渡が混じった問題で、納付税額まで求めさせる問題で1題。

土地の譲渡が混じった問題で、納付税額まで求めさせる問題で1題。

貸付金利子と商品券の譲渡が混じった問題で、納付税額まで求めさせる問題で1題。(これは論点が2つですが)

序盤から、課税標準から仕入税額控除、納付税額まで書かなければならず、面倒くさいんですよね(課税仕入れについては具体的な中身はなく、金額だけ与えられるので110分の7.8を乗じるだけ)。

一方、TACですが、非課税資産の譲渡等に関して言えば、まずは金額は書かせず、非課税資産の譲渡等に該当するかどうかを選択する問題30問とかという形式です。

他にも、国内取引か、資産の譲渡等か、課税資産or非課税資産の譲渡等か、輸出免税か、等々を判断させる問題がずらっと並びます(数字は書きません)。
それぞれ数十問(30~50問くらいですかね)ありますので、取引分類を徹底的にやらせる感じです。

これはすごく理解が深まりました。


教材(テキスト)

スタディングは紙のテキストがなく、Webでしか見れません(プリントアウトすることは可能です)。

私は簿記論と財務諸表論もスタディングを受講しましたが、この2科目は紙のテキストがなくても特に不便は感じませんでした。

が、消費税法は無理でした。

消費税法は1つ1つの論点が深く、様々なケースがあり、「これってなんだっけ?」と確認したくなる場面が多々あります。

これも非課税資産を例で挙げると、非課税とされる取引は17個が限定列挙されており、

例えば、土地の貸付けは基本的に非課税とされていますが、

貸付期間が1月未満のケースや、施設の利用に伴って使用されるケースは課税されるという例外があり、

更に、2ヵ月借りる予定だったけど15日で出ていったケースはどうなるかとか(答:貸付期間が1月未満かどうかは実態ではなく契約書上の記載で判断するので非課税)、

借地権に係る更新料や名義書換料はどうなるかとか(答:非課税)、

細かい論点が多々あります。

こういったことを都度確認するためには、やはり紙のテキストがないとしんどかったですね。

ただ、TACのテキストですが、決してわかりやすいという印象は受けませんでしたが、講義と並行して使えばよくわかりますね。書き込んだりもできますし。


講義の進み方

スタディングの方はかなりゆっくり目で、3月にすべての講義がリリースされる形となります。各論点をかなり小出しにしてくる印象を個人的には受けました。
簿・財コースと同様に、勉強時間をあまり捻出できない方には合っていると思います。

一方でTACですが、、「基礎マスター+上級コース」だと、9~12月で一通りの範囲は一応終わり、上級コースで更に細かい論点をやっていくという形です。

個人的にはTACの講義の進み方は、スタディング以上にもどかしかった部分があります。。

どういうことかと言うと、
消費税の理論は、計算にリンクしているものが多いため、講義を受け実際に問題を解いてから暗記を始めるのと、基礎知識が無いまま暗記を始めるのとでは、雲泥の差があります(私はそうでした)。

年内の基礎マスターの時期は、論点が微妙に残されたまま講義が進んでいくので、その残された論点がネックとなり、理論マスターでの暗記がはかどらないという弊害が多々ありました。

特に、高額特定資産や調整対象固定資産絡みの納税義務判定は、難しい論点なのに上級コースの最後の方(4月頃)の講義でようやく出てきます。

HPやパンフレットでは3回転学習と謳っているものの、上級コースや直前期に入ってからも新しい論点が出てくるので、これって1回転じゃね?と思いました。

まあ、そういった人のために「年内上級コース」というプランがあるのでしょうが・・・

動画の形式的な点

講義の内容は置いておいて、形式的な点にはメリット・デメリットがあると感じました。

まずスタディングですが、良い点としては、論点ごとに動画がこま切れになっているので、もう1回見たいという際に、その論点動画に容易に辿り着ける(検索性に優れている)。

ただ、簿記論に比べると、講義のタイトルと内容がうまくリンクしておらず(初学者なのでうまく結びつけられなかったという側面も正直あります)、初めは見たい講義を探すのには結構苦労すると思います。索引簿みたいのが別途あればいいですね。

一方、TACは、基本的に1講義が3時間ほどあり、何分のところで何の論点を話したかなどチャプターがあるわけではないので、もう1回説明を聞きたいと思っても探し出すのがかなり面倒くさいです。3時間の中から探し出すわけですから。

私はほとんど2度見はしませんでした(唯一、合併の中間申告、これは何度も見てしました。ほんと頭に残りづらかった。)。

また、TACはテキストに沿って講義が進みますので、手元にテキストが無いと勉強できません。つまり、家とかじゃないとできません。

一方、スタディングの方はパワーポイントを映し出しながら説明が進んでいきますので、スマホだけで勉強可です。

ただ、スタディングの大きなネックとして、事例問題等の箇所は、文字が小さくスマホでは見づらく、さらに1枚の画面に収まりきらないので、次のページに進み、問題文を映さず、解答だけが映ったりで、「あれ、これどこの説明しているんだ?」という場面が多々ありました。

なので通勤中のスマホだけでは理解がしづらく、パソコンでWebテキストと一緒に見ないとしんどい場面が結構あります。

改めて思うと、スタディングの簿記論と財務諸表論、あれはうまくできているなぁと思います。中村講師の説明もわかりやすかったですね。


理論暗記

税法科目の場合は条文丸暗記が基本なのですが、スタディングの理論暗記ツールでは、重要な部分のみを、赤マーカーで隠したようなものとなっています。

財務諸表論であれば本試験も穴埋め問題が出るのでそれで良かったのですが、税法科目ではちょっと使いづらいと感じました。

TACの紙ベースの理論マスターですと、全体的な文量が一覧で把握でき、「左半分のページにはこれとこれが書いてあって、右半分のページは真ん中くらいで終わっていたから、この論点を書き忘れたな。」と、ビジュアル的にも頭に残りやすいです。

スタディングの理論暗記ツールの、スマホをスクロールしているだけだとその辺が弱いかなと思いました。


あとがき

TACびいきな内容になってしまいましたが、私は途中で替えてしまいましたがTwitterを見ますとスタディングだけでやっている方もいるようです。

ただ、総合的に見るとやはりTACの方が良いと思います。カリキュラム通り学習を進めていくだけ十分力が付きます(最終的には繰り返し繰り返し解くことがやはり重要ですが)。

そして、書いてきたことと矛盾しそうですが、スタディングの法人税法、2023年合格目標コース、申し込んでしまいました。

理由は2つ、
1つは、法人税法はボリュームが多く1年での合格は厳しいとの声が多数あるので、足掛け2年作戦で今年はスタディングで予習、来年はTAC?で勉強し再来年合格を目指していること、
もう1つは、会計事務所への転職に向けて基礎的なところを勉強しておきたい、
というのが理由です。

来年の本命は相続税法です。消費税法ダメだったら、、そのときはそのときに考えます。

まださわりしか見ていませんが、法人税法の藤田講師、説明わかりやすいです。経歴見たら講師業が長いようで話が上手です。スタディングだけでいける?

以上となります。

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