Partner 第四章~記憶~ 前編

17年前。

祐輝がまだ6歳の頃。

相沢家の朝は、いつもと何も変わらず今日も騒々しい。母親の恭子(きょうこ)は台所から出来立ての朝食を次から次へとテーブルに運んでいる。父親の智明(ともあき)も会社に着て行く本日のスーツに合うネクタイをやっと決めたらしく襟元に結びながら早歩きで廊下からテーブルへと向かっている。祐輝はテーブルの上に並べられていく朝食を眺めながら既にちょこんと座っている。相沢家でまだ着席していないのは祐輝と少し歳が離れている高校一年生になった兄の陽一(よういち)だけだ。

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