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NSC卒業となる最後のライブ、そして“はじまり”

さて、芸人自伝13回目です。
こうして書きながらNSCでの1年間を振り返ってみると、なかなかに濃い毎日を送っていたんだなと改めて思います。
初めてのことが多過ぎて、色んな体験が出来たからでしょう。
芸人としての地盤はやはりここで作られたものが多かったんだなと感じます。
そんな今回ですが、NSC時代のお話の最終回になります。
本日も駄文乱文にどうぞお付き合いくださいませ。

2004年3月。

しずるを結成して5ヶ月が経ち、いよいよ卒業を待つだけの季節に突入しました。
そんな時分、NSCから卒業に関する一つの報せが届きました。
それは、卒業公演というものがあるというお知らせでした。
この一年の集大成です。
このライブによって卒業後の各芸人の割り振りが決まるのです。
吉本若手の最高峰ルミネtheよしもとからスタートできるか否かがこの公演に懸かっていました。
その卒業ライブは2段階に分けられていました。
まず予選となるライブが4回に分けて開催され、それを通過したコンビを合計した30組ほどが後日行われる本選ライブに出演できるというもの。
そして、その本選で上位に選ばれた僅か数組が4月からルミネの舞台でスタートを切れる、そんなシステムでした。
これを聞かされた僕たちにはピリリとした緊張感が走りました。
ちなみに、このライブはファンなどついているわけもないただの素人たちが集まって行われるものです。
その為、チケットは自分達で売らなくてはなりませんでした。
予選ライブの会場は、その後にも色々とお世話になることになる“新宿モリエール”(後にしずる初単独ライブの会場になった場所)。
キャパは満員で180人ほど。
各コンビがざっと5枚くらいのチケットを捌かないといけない計算です。
ここで大変なのは、地方から上京してきた人間です。
東京にろくに知り合いもいないやつらも多かったです。
そんな中、驚くべき行動に出たコンビがいました。

ライスです。

田所と関町は二人ともバリバリの東京生まれ東京育ちです。
知り合いがいないわけがありません。
彼らは片っ端から友達を集めました。
何故それだけのことをしたか、それはこのライブが客票による審査システムだったからです。
単純計算、友達を呼んだだけの票数が確約されるわけです。
簡単に言うと、正面突破の組織票作戦です。
姑息中の姑息です。
しかし、こういったシステム上、勿論ルール違反ではありません。
そして、特にこういう時の田所の集中力と言ったらありゃしません。
結果、ライスはとんでもない数のチケットを売り捌きました。

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