グッドワイフの常盤貴子になりたかった私は、今何者なのか

幼い私は自分の力で道を開く、バリバリ働くカッコ良い女性にいつも憧れた。男尊女卑文化の影響が残る、地方都市に住む10代の未成年だった頃の話だ。


時は移ろい憧れを詰め込んだ東京の大学に通っていた私は、まさに前のめりでがむしゃらに走り続ける女だった。バイトも掛け持ち、ゼミもサークルも掛け持ち。英語の授業やビジネスディスカッションの授業を積極的に受け、世の中には自分の可能性がキラキラと散りばめられている!毎日が楽しくて、学ぶことが大好きで、スケジュール帳はびっしりと書き込まれていた。学校の成績も良く、サークルで役職も務めた。自分で言うのも小っ恥ずかしいが、友達も多く最高に幸せな学生だった。



そんな大学生の私を思い出し、今の私では到底顔向けできないと恥じたのは日曜劇場グッドワイフを見たからだ。


簡単にあらすじを書くと、幸せな専業主婦として暮らしていた常盤貴子の夫、唐沢寿明が突如刑務所に入れられる。その間、子供達を守るために10何年ぶりかに弁護士として働き始める常盤貴子と家族の物語である。(みんな大好き吉田鋼太郎もでるよ!)


回数を重ねていくごとに、常盤貴子が働く女性として輝きを増し、強く美しくなっていく。子供のことを思い葛藤しながらも、唐沢寿明と離婚する決意を固める。とてつもなく最高な自立した女性だ。素直にそう思い、最後まで裏切られることもなかった。そして私がなりたかったのもこういう女性だったと激しい川のごとく、感情が流れ込んできた。


今、何をしているのだろうとぼんやり思った。つまらない!と言い続けた会社に染まっているのではないか?ゆるい空気に甘んじているのではないか?



そして色々考えた結果、今の私って何者でもないな、と。



中途半端な反骨心と、それなりの仕事の要領の良さ。そして不健康な体と、憧れを失った空虚な心とが家と会社を往復しているだけの何かだな、と。


今は健康を取り戻すことに対して重きを置いている。でも、正直いつ取り戻せるかなんて先が見えない。勉強が大好きで、知らないことを知ると知らないことを知れる!とがむしゃらに転げていったあの私が、なんで今こんなに立ち止まって進めていないのだろう?悲しさが頭をもたげてくる。でも、どうすればいいのかわからない。わからなかったら走ればよかったのに、走れる器がない。周りから見たら大手勤めの総合職で、それで十分だと言われるかもしれない。それでも、それでも私は…




君の目標はいつもアスリート並みだね、と友達に笑われたことが幾たびかある。それが私で、不器用でもそういう生き方しか出来ないのが私だった。そのアイデンティティを取り上げられた今、私は何になったのか。このような人間はいつ、彷徨いから抜け出せるのか。



常盤貴子の強さを見た今、私は過去の自分に対して悔しいほど恥じる気持ちを隠せない。抜け出す道を探さなければならない。自分のアイデンティティを取り戻す旅だ。

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