瞑想の種類と効果 その4「拡散瞑想」
何を求めて瞑想をするのか。
求めるものにより、取り組むべき瞑想法は変わります。
大きく3分類できる瞑想の種類のうち、
今回は拡散瞑想について少し掘り下げます。
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Ⅲ.拡散瞑想
自分の外にある対象物に集中、あるいは思考を放棄する
例:阿字観、焚き火、シャバアーサナ、シンギングボールなど
効果:リラックス、大洋感情、感情の解放
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どのような瞑想なのか
拡散瞑想は、ひとことで言うと「肉体を忘れてぼんやりする」瞑想です。
意識を向ける方向は、内側外側の両方の場合がありますが、どちらも意識を1点に強く集中して固定するというより、意識をふわりとさせ、おこっていることを眺めている状態です。
肉体の「放棄」と意識の「拡散」
ヨガをした後のシャバアーサナで説明してみます。
仰向けに寝て体の重さから解放されると、呼吸していることがはっきり意識できます。まるで肉体がなくなり、呼吸器のみが存在しているかのようで、動いているお腹や胸以外はあまり気にならなくなります。
意識は、肉体から出てそれを客観的に眺めているような感覚になります。今の状態について考えようとするかもしれません。けれど肉体はすっかり休みモードで、呼吸していることすら忘れていきます。これが肉体の「放棄」です。
こうなると、頭で細かく分析したり評価したりすることも忘れてしまい、やがて寝ているのか起きているのか分からない感覚になります。自分と部屋、床、建物など、自分とそれ以外のものを区別する境目がなくなっていきます。これが意識の「拡散」です。
拡散瞑想により「得られるもの」
自他の境目がなくなったり、何かと一体になる感覚は、思考や思想に大きな影響を与えます。拡散瞑想では、以下のような効果があります。
・深いリラックス
・大洋感情
・感情の解放
・まれに神秘体験
・やさしさや愛情
拡散瞑想では、潜在意識の存在や、宇宙も地球も全ての生命も自分も、皆つながっていて合一である、というのを感じることができます。これが大洋感情で、梵我一如というものです。この感覚を知り、価値観が変わることもよくあります。
もちろん、他の瞑想でもこういった神秘的な感覚になることはあります。拡散瞑想は意識の自動操縦に入るまでの時間が短く、深いリラックスを得やすいため、他の瞑想よりも体験しやすいのだと考えられます。
拡散瞑想により「失う可能性のあるもの」
通常の拡散瞑想では、大きな問題はありません。
極まれに、意識が肉体を自由に抜けだせる気になったり、全てを理解し、覚醒したような気分になってしまう人がいます。
それが現実なのか、その人の思い込みなのかは分かりません。
瞑想はあくまでもより良く生きていくための学びです。尊大になったり、地に足がついていない状態のままにならないよう気をつけましょう。人がやがて離れていってしまいます。
拡散瞑想後は、肉体の中にしっかり意識を納めて、グラウンディングさせましょう。通常の拡散瞑想では、意識を戻して通常モードに戻すルーティングまで組み込まれています。例えば、シャバアーサナであれば、起き上がってくる前に意識を戻し、手足を動かして・・・という一連の流れがあります。こういった流れを省かないようにしましょう。
拡散瞑想の例
焚き火は、日の動きをゆらゆら眺めていると、はじめはそれがどんな形だとか、暑そうだとか、心が反応して感想を持つことでしょう。しかし、そのうち反応することを忘れます。ただ、火の動きを眺める。いくらでも眺めていられる気がするのは、心の無駄な動きを自然に止められて、頭も休まっているからです。
シンギングボールは、音の広がりや余韻、バイブレーションを感じやすい、いわゆる倍音です。音が体の中を振動していくのが分かりやすい楽器です。音の振動を味わっていると、肉体という物体を忘れて自分が粒と波であり、宇宙の一部であるような感覚になることもあるでしょう。まさに自我を忘れる感覚です。
音楽を使って瞑想をする際は、実は歌詞がないことも重要です。分かる言葉であると、私たちはつい意味を考えたり、連想を始めたりします。楽器演奏のみの曲か、歌詞があっても意味が分からない曲であることがポイントです。
また、真言宗の瞑想法である阿字観は、他の拡散瞑想とは趣が異なり、座った状態で梵字の「阿」の字と月を眺めて、それと同一なっていく瞑想法です。外にあるものと一体になるにはイマジネーションが必要になるため、頭を働かせることになります。しかし、普段使っている思考モードと違う、想像モードで頭が働くので、脳と心の働きを止めることはできるのだと考えられます。また、想像モードに入ってしまえば、あとは自動操縦で勝手に進んでいくので、自我を忘れて月と一つになる感覚になります。
拡散瞑想まとめ
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○重要点
・自分の外にある対象物に集中、あるいは思考を放棄する
・肉体を放棄し、意識を拡散する
○得られるもの(あくまでも自分比)
・深いリラックス
・大洋感情
・感情の解放
・まれに神秘体験
・やさしさや愛情
○注意点
・拡散した意識をしっかり体に戻す
・ヨガのシャバアーサナから入ると安全
・1人で行う時も、意識を戻す手順を省かない
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以上に注意して、観察瞑想に取り組んでみてください。
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