SPテーマ「誕生日」

 エッセイの試験対策で準備してた、いちばんの自信作。規定は、800字以上、それだけ。
付け加えるなら、、、あんなに困らせるんじゃなかった。素直に指輪が欲しいって言えば良かった。素直に、ずっと一緒にいたいって言えば良かった。でも言ってもどうにもならないって知ってるから、ほんのちょっと困らせたかった。いつもより自分のこと考えてもらえるだけで嬉しかったから。
そしてもうひとつ、これは2023年9月に書いたので、、、今は誕生日が好きです。同担に祝ってもらったから。


私は誕生日が嫌いだ。


 以上。……さすがにこれだけではSNS以下だし、単位取得も出来ないだろう。それではこのテーマで書き始めた意味がないので、思い出したことを、なるべくなら封印しておきたかったことを綴ることにする。ただ、レポート課題と試験のためではない。いつかはこうして文章にして、誰かに伝えたかったのだろう。だから、忘れられないこととして記憶してるのだ。それを吐き出すなら、今しかない。素晴らしい機会に感謝する。

 通年出稼ぎでほとんど家にいない父は、たまに帰ってきても数日でまた働きに行ってしまう。それも盆と正月の時期なのだから、10月8日に家にいたことがない。だから誕生日を祝ってもらったことがないのだ。……こんな書き方をすると、可哀そうなアダルトチルドレンの話かと思われてしまうだろうが、そうではないので続きを読んでほしい。できればで良い。

 昭和後期は、まだ長く働く労働者を社員扱いにしなければいけない法律はなく、父はずっと季節労働者だった。だから、給与は安定せず仕送りが少ないこともあって、誕生日やクリスマスなどのイベント事は、母を困らせるものだった。だから、プレゼントは小学生までで良いと言ったのは私だった。それからは、いつもより少し贅沢な食事のメニューや、滅多にしない外食をする日になった。プレゼントがなくても、母の負担が減らせるなら、それで良かった。

 ……と孝行娘な話ばかりだとつまらないので、大人になってからはプレゼントをくれようとする人を困らせてしまう反省話も付け加えることにする。自分の生まれた日に、なぜか気をつかう子供だったせいか「プレゼントは何がいい?」と聞かれるのに、素直に答えられない。プレゼントは、相手にとっての負担だと思ってしまうのだ。これは今でも変わらないし、就職祝いやクリスマスなども一緒だ。気持ちだけで充分だ、と言って納得しない相手には無理難題を突き付けて諦めてもらうほかない。例えば「今までもらったことがないもの」とか「形のないもの」「自分では手に出来ないもの」といった具合だ。困らせたい訳じゃないんだが、きっと困らせてしまっただろう。今ならそんなことは言わずに、当たり障りない返答で、やり過ごすことが出来ただろうが、若かった自分のしたことである。若気のいたり、もしくは時効ということで許してほしい。

 反省はしているが、きっと改善はできない。プレゼントを貰うと、申し訳ない気持ちになるのは、変えられそうにない。だからいつもお返しをすぐに渡すことにしている。お土産とかお裾分けとか、相手が気を使わない理由をつけて。だから何か貰っても、今は出費が増えるのが10月のこまったところだ。だから私は誕生日が嫌い。


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