安い国 JAPAN

最近、テレビのニュース番組で訪日客を前向きに特集したコーナーが増えた気がする。インバウンド需要の増加は、経済活性化のためには素晴らしいことだ。
しかし、いつからこんなに訪日客が増えたのだろう?なぜだろう?

めんどくさいのでデータと出典は割愛し、定量的な分析もしないが、近年、毎年のように訪日客数が歴代最多を更新している。中でも、アジア人が占める割合は8割近くを占める。訪日客増加の背景の要因として、アジアの国々が日本とは相対的に、経済的に豊かになっていることが挙げられる。(実際、その様子が円安に反映されている)今年度の一人当たりGDPを見ると、日本はシンガポールや香港、ブルネイといったアジアの国々の後塵を拝し、20年前は2倍以上の差があった韓国とは殆ど同じ数値である。

イギリス留学中に驚いたことがある。アルバイトの賃金、新卒の賃金が日本とイギリスとでは約2倍違うのだ。即ち、これは日本人とイギリス人とでは金銭感覚が2倍異なることを意味する。
にもかかわらず、労働の質はあまり変わらない。イギリスで訪れたスーパーではこんなことがあった。最低賃金近くで働いていると思われるパートのおばちゃんがレジを担当してくれた際、椅子に座り、スマホで誰かにテキストを送りながら、テキトーに商品をスキャンしてくれた。翻って、今日本でアルバイトしていて思うのは、「なんでみんなこの賃金でそんなに頑張れるのだろう?」ということだ。文字通り、この国は「一億総下流社会」に突き進んでいる。

私が生まれて以降の約20年間で、この国はほとんど経済成長していない。バブル世代の企業人の話を聞くと、同じ国とは思えない。働けば、働くほど賃金が上昇した。最近は上昇の兆しが見えど、ここ20年の賃金はほとんど変わっていない。相対的には、どんどん貧しくなっている。少子高齢化も進み、労働力は減少の一途を辿る。
地政学的にも、文化・言語的にも、ユニークな国であることは将来も変わらず、国が滅亡するとは思わないが、果たしてこの国はどんな将来が待っているのだろうかとふとした折に思う。

一方で自分が生まれて以降、目覚ましい経済成長を続けていたお隣の国:中国はゼロコロナ政策の失敗や不動産バブルの崩壊を機に、経済成長が鈍化した。米国を抜いて世界一の経済大国になると言われている国であり、大学の2外選択でも「成長している国なので、とりあえず中国語を学んでおけば将来の役に立ちそう」という理由で中国語を選ぶ人が多いと感じた中で、予想外に失速の兆しを見せ始めた。最近は失業率の増加も顕著のようである。

結局のところ、未来がどうなるかは分からない。楽観的にも、悲観的にもなりすぎない方が良いのだろう。
日々できることを淡々と続けるだけ。何事も、小さな変化の積み重ねがいつのまにか大きな変化を生む。
バタフライエフェクト。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?