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8/20 あの子がいなくなった生活

深夜の証言

あの、自転車を盗まれました。盗まれたのは、自宅内の駐輪場です。

はい、鍵はかけていました。一般的なワイヤー錠です。三桁の数字の。

自転車は二十インチ、     というメーカーのものでした。

予定を終えて十八時に家に帰ってきて、疲れて眠ってしまっていました…気がついたらもう二十三時過ぎで、約束していた母との電話を済ませ、夕飯の買い出しに外にでました。
そうしたら駐輪場にあったはずの自分の自転車だけないことに気がついたんです。

全部でいつも三台の自転車が停まっていて、私の自転車だけミニベロで小さいんですよね。暗いんで、最初は全然わからなかったんですけども、いつもあるはずの場所にあるはずのものがなくて、二度見しました。思考は巡り、もしかして帰ってくる時に間違えて行き先に置いてきてしまったのかな、そんなはずない、結論に十二秒くらいかけて辿り着きました。

気持ちの変遷

最初はムカついて、そしてすぐに犯人への怒りが芽生え、なんでやねんという気持ちを経て、やはり他人を信用しきっていたという自分の中の甘えに気がつく。
ここが日本で、他人は基本的には悪いことをしないと思っていたことに気がつく。

傘を盗まれることはたくさんありますが、物の大小あれどこのなんとも形容し難い気持ちは変わらない。
虚しいです。そして自分の自転車だけなのもムカつく。

あの子がいなくなった生活

歩いて行き先に向かうことがグッと増えました。
電車もバスもありますが、やはり待ち時間や経路の兼ね合いで、歩いていく方が断然早いため、歩いて向かいます。外は相変わらず暑すぎて、自転車さえあれば外にいる時間も半分以下に短縮できるのに…と思うと思い出しムカつきが起こります。体に溜まった暑さはエネルギーとなって、怒りを生産します。暑さは人の思考回路を一本化するため、怒りみたいな単純な感情しか生まないのです。

しかし、帰ったらシャワーを浴びることだけを目的として、うなじを流れる汗には気がつかないように、てくてくと歩く。そうしたら、なんか、道端とかにいいものを見つけたりするんですよね。気になっていたお店にも入りやすい。電信柱に可愛いステッカー。横浜でやっているらしい面白そうな展示のフライヤー。てか友達に遭遇するのは大体歩いている時だから。

痛い目見て、学び。


以前、芝刈り機で旅をするおじいさんの映画の紹介を見たことがあります。映画自体はまだ観られていないですが、20年前くらいの古い映画だったかなあ。時間をかけて移動をすること、時間の遠回りをすることは意味があるっていう価値観。
結果たどり着く場所は決まっているけれども、その道のりに意味を見出す。

わたくし自身、移動は無駄だという考え方だけを持っていました。高校は家から一番近いというだけで選んだし、アルバイト先は絶対に家に近い範囲で探すし、夜行バスに乗るならば旅先で節約してでも新幹線に乗る。

案外、そうでもないのかも。
わたくしは、歩いてしか見つけられないものを探す人生を送りたいんでした。

あらゆるメソッドに溢れるこの世界では、遠回りをする時間を持ち合わせていない日々が出来上がってしまっているけど。美味しいってバズったお店は疑わず三時間並ぶし、ランキング一位の化粧品をみんなが買うけど。わたしも買うけど。

そこにたどり着くまでのオリジナルの道を、過程を、一日の終わりに日記に書く今日を作りたいと、思いました。



そんな私のワンマンライブはこちら。歌やお話を楽しみましょう。

https://www.shiyui.jp/live/in.html?liveid=52164

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