幸せの話

幸せって何だろう。
旅行、食事、家族や友人との時間、眠ること、きっとたくさんの幸せのかたちがあって、それはそれぞれの人の心を造るものになるのだと思う。

私が今日見つけた幸せは、夜中にひとりで散歩することだ。そんな無駄な時間を幸せだと言える私は、色んな意味で恵まれているお気楽な人間なのかもしれない。
今日はとても寂しくなった。誰かを求めたくなった。けれど人といる時間は私にとっては疲れてしまうことだからなんだか違うと思った。
最近家の近くにできたコンビニに行ってみようとふと思い立って、ヨレヨレのパーカーとスウェットで、家族を起こさないようそっと玄関の扉を開けた。なんだか秘密の冒険をしているみたいで楽しくなった。
夜は涼しいと言うより寒くて、思わずパーカーの袖に手をくるんだ。被ったフードから出た髪が風になびくたび、なんだか私は私になれた気がした。
コンビニでカフェオレを買って、向かいの空きスペースで座って空を眺めた。今夜は満月だった。夜中は街中の明かりが消えて、世界にひとりだけな気がした。なんだか月がとても眩しく感じた。ぼーっと空を眺めていたら星が流れた、2回も。外に出なかったら、眠っていたら気づかなかっただろう。
深夜3時半。少しだけ人の息づく音が聞こえ始めた。新聞配達のおじさんが来て、数台の車がコンビニへ吸い込まれた。ああ、私は独りなんかじゃないんだなと思えた。

夜中の寂しいどうしようもなく無駄な時間は、僕たちに独りじゃないことと自分しか知れない秘密を見せてくれるのかもしれない。

あ、今夜は流れ星と綺麗な満月が見られるらしいですよ。